■JR脱線公判に注目=「救助3日」、温州事故と対比―中国紙■

【北京時事】中国浙江省温州市の高速鉄道事故に関連し、31日付の中国紙・新京報は、兵庫県尼崎市で2005年4月に乗客106人が死亡し、29日にJR西日本前社長の論告求刑公判が開かれたJR福知山線脱線事故を1ページの特集で報道した。

「救助捜索3日3晩、責任追及6年なおやまず」と題した記事は、JR事故で救出活動が3日続き、福知山線の運行が55日間停止したことを指摘。事故原因調査に2年間かけ、捜査当局に押収された車両がJRに返還されたのは6年後だったことなどを伝えた。「時間は真相と正義の追求を風化させることはない」という学者の見解も掲載した。
温州の事故では、捜索は1日足らずで終了。追突した列車の運転席は解体されて地中に埋められ、1日半後には列車の運行が再開された。 
(時事通信 7月31日)

今回の中国高速鉄道の事故について、経過はあげましたが、記事としては今回はじめて書きます。
思うところはたくさんあるのですが、現状で事故そのものは不幸でしたが、新幹線技術の特許や事故は氷山の一角に過ぎないと考えています。

ただ、中国政府というより中国共産党の中で何が起こっているのかはだんだんわかってきました。
この高速鉄道は、中国の海外向けの技術の集大成と考えていることで、今後中国が国家的ハード部門の新技術輸出としてリードしていこうとしていた代物です。

鉄道省が江沢民の息がかかっていたことが中国国内でもいろんな意味を持っていたということです。江沢民については、すでに多くの日本人が承知しているとおり、華国鋒が中国の国家元首になって以降、最も反日的姿勢を持ち、中国内に反日分子を10億人以上にした張本人でもあります。

現政府は、鉄道省を『統制』できないでいたのは、この江沢民の息のかかった上海グループが治外法権であったことがあげられるでしょう。
開業までの過程で今年2月に中国の鉄道行政のトップで高速鉄道導入の旗振り役だった劉志軍・鉄道相(58)が「重大な規律違反の疑い」で鉄道省の党書記職を解任されましたが、鉄道整備のための支出増から鉄道省は09年末時点で1兆3千億元(約16兆5千億円)の負債を抱えている状況も賄賂問題と併せて中国国内では重要な問題であることは確かです。

今回の事故で中国国民は中国政府の組織の硬直化と腐敗に加え、中枢の権力闘争が根源であることをしっかりかぎとっており、政権にとって「天安門事件」を彷彿させる状況になりつつあり、中国全土に広がるのを恐れています。

時同じくして、中国はある行動に出ています。
尖閣諸島沖に巡視艇を派遣したことと、福島で放射能測定を行った結果(通常の300倍)を出したことです。日本人の中には、これは中国高速鉄道絡みだということがわかっていると思いますが、具体的にどのような読みを持ってこのようにしたか推論します。

ひとつは日本のマスコミ策動です。
現在、中国内で中国高速鉄道批判の事例が出ていますが、これを中国政府は日本側から細かく出されたネット情報によるところが大きいと考えており、これらの報道を根拠として中国の反体制分子が煽りたてている考えています。
つまり、細かい日本側の鉄道事故処理や新幹線情報は『中国政府打倒の引き金』になりかねないと考えており、その情報を減少させるためには、日中間の懸案事項を出させ、日本のマスコミを中国高速鉄道から目をそらさえようということでしょうか。

そして、唐突な印象を受ける福島沖の調査については、これも日本側の反発を食うことが十分わかっていながら、これらのデータを出すことに、日本側のマスコミが世界に向けて放射能汚染について問題ない論調を出すか、あるいは四国電力の「やらせ問題」に追従して、これらがマスコミに大きく取り上げることで、対中高速鉄道報道を減少させるための工作ではないかと考えています。

ただ、中国としても日中間の問題を一挙に悪化させることは、下手をすると内部・外部の両方で問題を解決しなくてはならないことから、少なくとも中国側からでなく、日本側に反中対応を取らせることにより、中国内の国家主義者に火を付けさせ、内部の問題を忘れさせ、対日非難の機運に一挙に持っていき、高速鉄道事故問題をうやむやにさせたいと考えているグループがいるのは間違いないと思います。

これは主に江沢民の息のかかった上海グループではないかと思われます。
同グループは権力闘争の中で賄賂問題で一掃させられる可能性があり、非常に立場が弱くなりつつある中で、国民の目を「反日」に舵を切りたいというのは考えられることです。

すでに中国政府が報道規制に入る一方、鉄道省陸東福次官がずっと「先頭車両を埋めたわけでない」「真相究明を行う」という言葉を繰り返し報道しているようですが、これは政府がどれだけ処分をできるかということも重要なポイントになると思います。
先頭車両を埋めたことについて「工事現場がぬかるんで作業できないため」と言い続けているようでは納得しないでしょう。
事故の象徴をいつまでさらしておくのは国の恥であることのほか、車両の金属を周辺住民に持って行かれることを防止したためではないかと思われます。

民主国家であれば、あっさり隠ぺいを認め、処分する姿を国民に見せる方がガス抜きになるのですが、中国共産党内の派閥抗争にかかる体裁ばかり、気にしているのがあの始末だったということです。政府のメンツを守り続けていると、国内だけでなく諸外国への信頼も失ってしまうのではないでしょうか。

ここまでくれば、大きな損失は受け入れるしかないでしょう。政府として最悪の事柄を避けることを考えるべきではないでしょうか。「チャイニーズスタンダード」をいつまでも振りかざしていると、今まで以上にメード・イン・チャイナの粗雑性を外に向かってPRする結果になるのですけどね。

ただ、そのように舵をきっても、高速鉄道運営はうまくいきません。かならず日本に支援を求める対応になると思いますよ。