イメージ 1

 4月28日。いよいよゴールデンウイークに入りました。遊びに行くということでは、僕にはあまり関係ないことです。但し、5月3日から6日までは休みます。神戸に行く予定・・・・
先週の木曜日がショスタコーヴィチ第11番、そして今日がマーラーの『第8番』となかなかハードな週です。カラヤン特集も残すところ2日となり、なかなか充実?の日々をおくっています。今回のインバルは東京都交響楽団プリンシパルコンダクター就任記念のコンサートでマエストロの得意なマーラーの大曲です。この曲を聴くのは10年前に小澤さんの演奏を聴いて以来です・・・・

 

 また、こんな日が迎えられるなんて夢にも思いませんでしたが、チケットもきっちりGETし、コンサートに臨みました。
今年度に入ってコンサートはいつも雨だったのですが、Jinさん、さえさんという雨コンビを擁しながら天気はまずまずでした。年度がわりで僕が雨男になってしまったのでしょうか。

 

 ちなみに現在、萎縮性胃炎を患っていますが、土曜日に胃カメラ写真を持参して病院に行ったところ、「ストレス性の胃炎ですね」とニコヤか!に言われました。現在胃薬を張り切って飲んでいますが、微妙に胃が痛いです・・・
なお、この演奏は29日に川崎のミューザ、30日にはサントリーホールと立て続けに3日演奏します。どれもチケットは完売になっていました。この日も客席は完璧にいっぱいでした。
演奏前から東京文化会館は異様な熱気に包まれていました。なんせ演目は数年に1回しか演奏されない代物です。それも当代稀有のマーラー指揮者エリアフ・インバルとくれば当然です。

 

 この曲については、4楽章形式でないとか第1部と第2部が言葉が異なる(ラテン語とドイツ語)ので交響曲でないとガタガタいう偏狭なファンもいますが、そんなことはどうでもいいことです。『大地の歌』だってそうです。作曲者が交響曲と言えば、交響曲でいいのです。Rシュトラウスなんて、楽章が構成されているのに皆『交響詩』にしています。そんなつまらないことで文句を言う頭の固さしかないのであれば、聴かなければいいのです・・・

 

この音楽はシェーンベルクの『グレの歌』とも深く関わっています。

 

 演奏開始のアナウンスは予定通り19時になりました。すると合唱団が入ってきました。後ろから順番ですが、配置は後ろ4列が男声合唱、次の4列が女声合唱、最後の2列が少女合唱団となり、総勢300名ぐらい。文化会館の奥が深いといってもきちきちになっていました。さらにオーケストラが100人編成でソリストの8名もあわせると合計400名以上が前に並びます。それだけで充分暑いです。
 19時5分から並び始め、配置が完了するまで、ゆうに5分以上経過しました。

 

【エリアフ・インバル プリンシパル・コンダクター就任披露公演】
第660回定期演奏会
マーラー:交響曲第8番 変ホ長調 『千人の交響曲』
会場:東京文化会館

指揮:エリアフ・インバル
ソプラノ:澤畑恵美
ソプラノ:大倉由紀枝
ソプラノ:半田美和子
メゾソプラノ:竹本節子
メゾソプラノ:手嶋眞佐子
テノール:福井敬
バリトン:河野克典
バス:成田眞
合唱:晋友会合唱団
児童合唱:NHK東京児童合唱団
合唱指揮:清水敬一
児童合唱指揮:加藤洋朗

 

 さて、マエストロの登場。指揮台にあがるとなんと2本ある指揮棒のどっちを使用するか決めかねます。とりあえず2本とも軽く振ってみてやや短めな指揮棒に決定します。さらに指揮台の位置をごそごそ・・・・
やはり今回の曲は万全の形でやりたいのがありあり。
さあ、棒を振り下ろすと、オルガンの1音とともに「創造の主、聖霊よ現れたまえ」の詩。

 

 今日の合唱団はあの晋友会合唱団。『カルミナブラーナ』を小澤さんとともにベルリンフィルと競演している名合唱団です。
テンポよく音楽を刻んで行きます。
これだけの大編成、インバルも大きな身振りで指揮にまい進します。
いきなり地響きをしそうな合唱。打楽器のゆったりとした音に対し、弦が速めのアンサンブルで答えます。

 

 もう一揆、いや一気の演奏・・・

 

 弓を強めに弾く弦群。非常にメリハリのきいた音です。この第1部は約24分間、押し捲る音楽です。
マエストロはとにかくチェロ群に対し強く弾くよう威嚇をしかけていました。もう強いうなり声をあげ・・・
ちなみに弦配置ですが左から第1Vn、第2Vn、ビオラ、一番右にチェロを配置。チェロの中央部すぐ後ろにオルガン、さらに右側の奥はコントラバス。

 

 僕は今日もやや右側の3列目に座っていたのですが、すぐ目の前にあるチェロが必死に弓をひいても豪音のためにかき消されました。まさに宇宙が鳴り響き続けました。
 東京文化会館にはオルガンがないので、普通に持ってきたものに増幅用のアンプを使用して音だしをしています。

 

 どこから音がずれてもおかしくない曲でインバルは必死に決壊しないように音の調教をしながら振っていました。特に合唱の指示にはかなり気を遣っていました。
 しかし、オーケストラも合唱もすさまじい勢いで音楽を続けます。
なお、音楽も変なアゴーギグをつけず、自然の流れで音楽を展開しました。
この音楽は多分今回の3公演を活用してCD化されるのは間違いないと思いますが、金管も自信をもって最強音を鳴らし続けました。

 

 音の洪水に今晩の観客も固唾を飲んでいます。どこまで音を出し続け、どこまで正確な音を刻み続けるのか・・・
 展開部管絃楽のはじまりで音が動き合唱が続く部分も圧倒的な音でなり続けます。

 

 そして、客席3階に配置された金管が呼応します。8番にはこのような仕掛けがあったのですね。

 

 第1部が終わったところで拍手がパラパラでます・・・
この気持ちはよくわかります。しかし、各パートの音はともかく金管がノーミスでこの曲の第1部を弾ききってしまったことが驚きです。もう奇跡としか思えません。この曲を聴いただけでも、今晩ここに来た甲斐がありました。

 

 さて、第1部が終わるとマエストロは楽譜にしたがい、舞台の下手にいったん引っ込みました。
2~3分すると会場に戻ってきました。

 

 さて指揮台につくと指揮棒選定はありませんでしたが、また譜面台をゴソゴソ・・・

 

 第1Vnの音で始まります。第1部の豪快な音から一変、第2部はそれぞれのパートさらにソロが多く出ます。コンサートマスターだけでなく各弦の首席のソロもふんだんにあります。
管弦楽だけの音のバリトン(河野さん)の一声で歌が動き出します。

 

 弦のすすすりなく音も続きます。ここでも音は平面的にならず、かなり意識して音幅をとっていました。弓はかなり強めにひかれ、アクセントを出しています。
 インバルからの指示もそれが見て取れました。この2部のアンサンブルは非常にむずかしく、オーケストラ同志だけでなく歌とのからみもあります。

 

 そして後半部まで。

 

 昇天した童子たちの合唱に変わります。ここからが第2部のクライマックス。実に澄んだ声を展開します。
グレートフェンの歌の後、栄光の聖母になります。

 

 なんと、ソプラノの半田さんは3階席で歌います。
「さあいらっしゃい。高い領域までお上りなさい」と歌います。
なお、「ファウスト」には天使は出てきますが、聖母は出てこないのですがまあよしとしなくてはいけません。
とても美しい声(容姿も素敵なのですが・・・・金色とおうどう色の間の色の細身のドレスがとても映えていました)で奏でます。ちなみに、第1部ですが、この交響曲のソロはアルトがいないのですよね。アルトパートらしきものをメゾソプラノが歌います・・・

 

 そして終曲へ。もうとにかく音がひっくり返らないことだけを祈りました。最後金管が再び3階席にひかえ、ステージと両方から大きな響きをあげました。東京文化会館は大きいホールですが、この器いっぱいに大団円に向かいました。
もう、解釈がどうのというより、この大編成の音がほとんどミスなく走り続けたことに感動しました。
演奏終了後は「ブラボー」の嵐です。これだけのブラボーもなかなか聞けません。僕の右隣の人も後ろも1人おいた左もブラボーと張り上げていました。そういえば、僕の席のそばに音楽評論家黒田恭一氏を見かけました。さりげなくこういう人がいたりするんですね・・・
 29、30日にも同曲が演奏されますが、多分、演奏の感想がこのブログにも踊ることでしょう。ベタほめする大方のファンのに嫌気がさして、きっとへそ曲がりの批判記事を書くお馬鹿なファンもいることもいるでしょうけどね。
 この日の演奏は「すさまじく凄かった」としか言えません・・・・

 

都響の演奏は本当に素晴らしい。間違いなく在京トップのオーケストラです!!

 

イメージ 2
 終演後です。マエストロもかなり満足していたご様子でした。とにかく大拍手が続きました。この演奏会もきっと日本クラシック界の歴史に燦然と残るのでしょうね。この場に立ち会えたことを本当にうれしく思います。
 写真はぼけていますが、エリアフインバルです・・・





 

 

イメージ 3
 ちなみにオーケストラが引っ込んだ後の状況です。これだけの歌手がこの東京文化会館に押し込まれていたのです。よくこれだけの人を配置できたことに驚きました。29日のミューザはともかくこれだけの歌手をどうやってサントリーホールに乗せるのでしょう。P席は当然合唱団でしょうけどステージにまで配置されるのでしょうね。
 「復活」の時にはP席に陣取りました。
 なお、この日にはインバルの「プリンシパルコンダクター」就任ということで記念品を配っていました。


 

イメージ 4
 さて、コンサート後は楽屋口。今回も待ちました。8時40分にコンサートは終わりましたが、レセプションをやっていたためか約1時間楽屋口にいました。
 主催者の方が何度も足を運び、「マエストロはお疲れのようでサインができないかもしれませんが、ご容赦ください」と丁寧な言葉。さらに「サインがしていただけるように交渉していますので」というお言葉。
 そして1時間20分も過ぎると楽屋口内の席に座らせてもらえることになりました。残ったファンは20名弱だったでしょうか。あまりにも長かったので多くのファンが断念しました。

 

 ビールを手にしたマエストロがにこやかに登場。とても気さくな感じのマエストロでした。持参した「第8番」のCDに4/28の日付けもうってもらい、無事サインもいただき意気揚々と帰ることになりました。きちんとCDもって行きました。
後ろに写っているのがインバルの奥さんです。もちろん右の人ですよ!!


 

 今日は、僕以外にブログのお仲間3人と一緒でした。さて誰だったでしょうか??

 

イメージ 5
ちなみにいただき物です・・・

 

 左はサインです。右は就任記念で帰り口全員に配布していました。多分3日間配布するはずです。