上信電鉄の小型凸型電気機関車は、1924年(大正13年)にドイツから輸入されました。
製造したのは、よく知られるシーメンスシュケルト社です。
輸入されたのは3両ですが、そのうちデキ1とデキ3の2両が大切に使い続けられ、今も健在ですから、上信電鉄にはもっと敬意を表するべきですね。(デキ2も1995年まで現役だったそうです)
上信のデキの#16の鉄道模型としては、カツミ模型製品とその後に出たワールド工芸の製品があります。
両社の模型としての構造的なところにも違いはありますが、形態的には、ワールド工芸製は、現在の姿を再現したものであるのに対して、カツミ模型製では、原型タイプを模型化しているところに違いがあります。
ずいぶん前にカツミ模型製キットの仕掛品を入手し、パーツの欠品、組み立ての不良箇所を確認した後、箱に戻してそのまま長期間仕舞い込んでいました。
今年になってそのことを思い出して、組み上げてあげることにしました。
カツミ製品が原型であることの、もっとも分かりやすい外形的な特徴は、シーメンス社製の大型パンタグラフが装着されているところです。
ですから、ぜひとも、ここはそのまま製品オリジナルなパンタを付けたかったのです。
ところが、ふと操作した時に関節部が外れてしまい、1時間以上格闘したのですが、修繕できるどころか真鍮線の曲がりのところが折れてしまい、一貫の終わりにしてしまいました。
(左はシーメンス社のオリジナルパンタ、中はKATOのPS13、右は碍子を固定するのに用いたストレートピン)
それでオリジナル原型大型パンタグラフの装着は諦めて、KATOのPS13を若干の加工をしたうえ載せることにしました。
KATOのPS13は、屋根上中央のφ1.2の孔をφ2に広げれば、取付が可能なところが好適でしたから、これ一択でした。
ただ、パンタ側にも、キャブまで突き出る部分を糸鋸で裁断するなど加工が必要でした。
また、PS13化された前と後とでは、右側の標識灯が無いなど違いが出来てしまいました。
色は、いわゆる黒鉄色をしていて、そのままにしましたが、シルバーに塗り替えたいところです。
また、本来は下枠は板材ではなく、線材で組むべきですが、ここも目を瞑りました。
上信デキらしい印象づけるのに欠かせない窓枠の白の色差しには、ポスカの「しろ」丸芯/細字を使いました。
下回りの方に行くと、元はカツミ製のパワトラ用の動力を使うべきところ、それが入っておらず、天賞堂(花園)の旧パワトラ(軸距24.5mm)、スポーク車輪付きを取り付けました。
それから、前照灯を点灯化するために、リード線を床上に持って行くためφ2.6mm程度の孔を開けて通しました。
これができるのは、デキ1の機械室が横幅一杯に広げられたスタイルをしているゆえです。
結線、ウエイトパランス調整、銘板、社紋を付けて、上下をネジ止めして完成です。
社紋については、一つお断りしなければいけないことがあります。
実は、上信電鉄ではなく、秩父鉄道のものです。
トラムウェイの「私鉄の昔の社紋インレタ(TWF001)」に秩父鉄道の社紋があり、違うのは分かっていて、他に上信の社紋を手に入れることはないだろうと考え、貼ってしまいました。
「上信の野州は8本、秩父の武蔵は6本のスポークを表している」と聞いたことがあります。互いを意識しつつ、それぞれ地域の旅客、貨物の輸送を支えてきた両社の関係は良好とのこと故、ここはお許しを…と思います。
そられから前照灯の点灯化には、チップLEDを採用しました。しかし取付途中で一度球切れさせてしまい、再度やり直してまたも片側が点灯しなくなってしまいましたので外してしまいました。
調整していて、塗装やらインレタを痛めては元も子もないですから。
そんなカツミの上信デキ1ですが、凸型電気機関車好きの私は、眺めているだけで、一時いろいろなことを忘れてうっとりできます。