アリイ製の80分の1スケールプラモデルの鉄道車両は激安というわけでもないのに、鉄道模型として再生を試みられるモデラーは少なくありません。
形態的にも、走りも、そして価格的にも、どこにも欠点の見当たらないkato製品があるのに、どうしてまた、アリイなの?と思いました。
しかし、「いじり回していくうちに、自分のものになっていく」というプロセスも楽しいものです。
今回私が手に入れたのは、ボディーとプラ製の床板(スカート付き)のみのジャンク中古品で五百円でした。
当初、この値段ならば、「派手にJR貨物の試験塗装機への塗り換えを楽しもう」と考えたのですが、オリジナルの特急色のクリーム1号の帯がしっかりと塗り分けられているのをみて気持ちが変わりました。
はみ出したり、太さが不安定になっていたりせず、クリームの帯をこんなに綺麗には自分では塗れない、と思うと、オリジナルの塗装のままに決まりです。
ここで、プロトタイプの選定に入ります。
これは、自分の思いと実車のデータの突き合わせから絞っていきます。
まず、パンタの前に扇風機カバーが付いていて前面通風口がないから、1970年以降製造の1040号機より後の号機となること。
ナンバープレートは、視認性の向上を図った青ナンバーにしたい。
ランボードの高さの違い等、ツッコミどころは色々あるにせよ、1056号機に決定し、あとは実車と少し違っても自分の好みを入れて、「それらしく」製作を進めることにしました。
パンタは、トミックスのPS16パンタ(HO03)が1基990円で手に入るので(PS22は1188円で少し高価)、PS17装着機を想定してトミックス製を採用しました。
なぜかパンタ取付孔が17✖️19になっていて、そもそも実車に忠実な適正サイズのパンタを取り付けることはできませんので、これで「よし」にします。
モニター屋根に僅かな凹みがありましたので、パテで埋めてグリーンマックスの青15号を上から吹いておきました。
つぎに製作上最大のネックである前面の窓ガラスの厚みの処理です。
2mm強のプラの厚みのため、裏から窓セルを貼ったのではまったく冴えません。
そこで、窓枠の切り口を斜めにカットして薄く(1mm)に見えるようにするとともに、少し厚めのプラ板を窓にはめ込むようにしました。
この窓ガラスは、100円ショップで見つけたシャンプー等を入れるための透明な替えボトルを用いて作りました。
厚みは0.6mmほどになります。
切り口をもう少し丁寧に加工すれば、より良い雰囲気になったと思います。
ボディーと面一にできるのはうれしいですね。
手すり類は基本、プラモデルの「らしさ」を尊重して、そのままと考えていたのですが、前面のクリーム1号の再塗装を施すことにしたので、窓下の手すりのみφ0.5mmの真鍮線で作りました。
汽笛は向かって左側に表現されていました。
モールドを削り、その上に無線アンテナを取り付け、その斜め前に汽笛、向かって右側に汽笛カバーを付けました。
この辺りのパーツは、トミックスのHOS18 無線アンテナ・信号炎管・ホイッスルカバーのパーツセットのものです。
これで、594円ですから、庶民の味方だと誉めてあげたいです。
屋根上のセンターにあり、見た目にも目立つ高圧引込線については、0.8mmのリン青銅線で自作しましたが、出来は納得できるものではありません。
いいものがあれば、交換したいと思います。
あまり無理をせず、加工はここまでに留めました。
工作の雑なところは、素人手作り感はが漂って来て、それはそれで楽しいと思っています。(続く)