今日は何の日?
365日、毎日がいろいろな記念の日に指定されているようです。
今日、12月26日は、宮沢賢治の短編「氷河鼠の毛皮」というお話の日。
ずいぶん北の方の寒いところからきれぎれに風に吹き飛ばされてきたお話。
その中で極北の都市ベーリング行きの急行列車がイーハトヴを旅立った日です。
『どれ位ご支度(したく)なさいました。』
「ラッコ裏の内外套ね、海狸の中外套ね、黒狐の表裏の外外套ね。なかでも贅沢なのが、氷河鼠450匹をつがった毛皮の外套。」
氷河鼠というのがどういう動物なのか、私は知りません。
レミングだ、という人もいます。
とにかく貴重な野生動物の毛皮を獲ることが自然を破壊せるものとして警鐘を鳴らすことなど、当時、賢治のほかに誰も思いもしなかったでしょう。
同じ賢治の『注文の多い料理店』の二人の青年紳士が猟に出て、散々な目に遭ってしまうお話と共通するものがあります。
テーマが、こうした風刺にかかわるものであることが、作品に奥行きを与えているのですが、鉄道ファンの私には、表層と言われるかもしれませんが「8時発、イーハトヴ発ベーリング行きの夜行急行列車」という設定だけで、ロマンを感じてしまうのです。
そのフレーズだけで、「日本にも氷河急行が走っていたならなあ」と空想する気持ちを
満足させてくれます。
本棚の片隅にあるのを見つけた岩波書店の『地図』という月刊の雑誌の1992年3月号。
「北をよむ」という特集テーマになっていて、ゴルバチョフ後の北の辺境の開発への期待、ベーリング海に浮かぶ米露国境の島リトル・ダイオミール村のイヌイットの暮らしなどとともに、北海道の明るい未来が語られていました。
原武史さんのコラムでは、北の定番・三題として、「お相撲さん」「鉄路」「恋人とラーメン」が挙げれれています。
前二者は、今ではすっかり薄らいでしまいましたが…。
でもやはり、もう一度、札幌には行きたくなりました。
そんな思いを込めて、エンドウの古いインサイドギヤ動力のローズピンクのEF81に、北斗星のトレインマークを付けてあげました。
(ランボードを黒からマッハ模型の赤13号を吹いて色を変えています。)
マークが付いただけ(少し大きいか?)で、北斗星の息遣いが感じられてきますから、不思議なものです。
宮沢賢治の短編の朗読は、睡眠導入にものすごい効果があり、特にお気に入りの、島永吏子さんの動画は良く聴きます。
ただ、一度としてお話の最後まで聴けたことはありません。
感謝です。