1. 吉祥寺、歌川模型店とUトラック 職人気質のその製品は使えるものだった | 模工少年の心

その店は、東京都武蔵野市、中央線と京王井の頭線が通る吉祥寺の北口にありました。

 

ハーモニカ横丁と名付けられた商店街の一画に店を構えた歌川模型という鉄道模型店。

 

ご夫妻で店を切り盛りせれていた頃、たしか2002年ごろだったと思います。そのお店を訪れたのは。

 

これから紹介するUトラックというオリジナルパーツを購入するためですが、すでに鉄道模型の世界では有名だった「模型店のおやじ」(職人気質の店主に敬意を表して)さんに一度お会いしたかったというのが本音です。

 

「Uトラック、ありますか?」

「どこのメーカーの台車に使うの?」

「まだ決まってません。こういう歯車がいっぱいついたやつが好きなので、ストックしておきたいと思って」

「カツミと日光だと規格が違うから、車軸は両方入れとくね。モーターは?」

 

懐が寂しかったので、モーターを買わず、「Uトラック」のみ、1組、4950円で買って帰りました。


店主のおやじさんが亡くなられたのは、それから2年後、再度お目にかかることは出来なくなってしまいました。

 

そして、このUトラックはその後使うことなくパーツボックスにストックしたまま、20年以上の歳月が過ぎてしまいました。

 

軸距が可変であるため、どのような台車にもオールマイティに対応することができる「Uトラック」だから、そこを活かしてもっとも効果的な使い方をしたい。

 

どうせならば、軸距31mmとか、35mmとか、普通にMPギヤ等を使える車両以外に何か作るときにきっと役に立つだろう。

 

しかし、特殊な軸距の台車を履いた車両を作る、機会が訪れることはありませんでした。

 

近頃もう潮時だろうと思い、Uトラックの装着を考え、カツミのED70交流電機を選びました。

 

昭和30年代から長い間、黙々と生産され続けられたこの車両は、歌川さんの歩まれた模型屋人生に重なるような気がしました。

 

値段が安いし、好きな形態であるため、ED70 は何台も所有していますが、今回使うのはボディと台車等のみのジャンク、大量生産された製品です。


続いてUトラックについて。

 

Uトラックのパーツ構成は次のとおりです。

 

左から平ギヤ付きの車軸、ウォームホィール、Uトラック本体、ボルスターです。


左は小さな六角レンチ。ウォームホイールの調整など、六角穴付きボルトになっていて、その締め緩めに不可欠なレンチが付属しているのはいかにも歌川模型さんらしい。その右は使わない軸受など。


Uトラックはインサイドギヤの軸距が可変であるという他に、もう一つ、一般的なインサイドギヤでは、縦に降ろしたモーター軸がウォームギヤと接触することで前後動が生じることにより、回転が安定ませんが、その弱点が克服されている、というメリットがあります。

 

組んでみて、手持ちの缶モーター(CN22両軸)の軸が短くてモーター軸支えに届かず、ひと工夫必要になりました。




モーターと反対側から2mmビスをウォームギヤに通すことにより軸のガタ付きを防止できました

(写真右のビス。これで、ガタ付きはなくなります。)


あのとき歌川模型店でモーターを買わなかったことがここへ来て裏目に出たようです。

 

本日は動力台車を組み上げたところまで。

この後、下回り、ボディを作って行きます。

 

Uトラックの方式を採れば、インサイドギヤもまだまだ捨てたもので無いと思うのですが…。


今どき、このような製品を出すメーカーはないでしようね。