ED71形交流電気機関車のこと 鉄道模型の屋根上の塗装について | 模工少年の心

    ED71形電気機関車は、1959(昭和34)、東北本線の黒磯~白河間の交流電化に備え、ED70形の出力を2000kW級に向上させ、始めに3両が試作されました。その後、電化の進捗とともに、量産1次型として444号機、続いて2次型として4555号機が製造されました。メーカーは、日立、東芝、三菱です。

   ここでは機関車のスペック等には触れることなく、専ら模型化するのに目立つ外形上の特徴等について書きたいと思っています。といっても、外形のデザインは、機能により決まってくるものであり、そこから機関車の構造や特性が見て取れるものと思います。

   外形と機能の関係は、新幹線と吊り掛け電車の比較でもわかると思います。もっとも、羊の皮を着たオオカミという車もありましたね。(古い)

  ED71の外形について、まず、妻面をみると、同時期の先輩にあたる、DF50ディーゼル機関車、直流機のED60ED61、北陸本線用のED70とよく似ています。重連総括制御を考慮した前面貫通形であり、側面まで回り込んだパノラミックウィンドウ化されていない3枚窓のデザインです。

 

  ED71ならではの魅力は、側面のルーバーの数とその位置です。 試作12号機と量産1次型は、いわゆる「田の字」のルーバー8個のタイプ。試作3次型は、1エンドのみ「田の字」、2エンドは「日の字」のルーバー6個のタイプ。

量産2次型は、側窓と一列に6個のルーバーが配置されています。こうしたルーバーの数や配置にバリエーションがあるところが、この機関車の面白いところです。

 

  さて、ED71の模型は、最近(2、3年前)になって、各社から相次いで発売されました。16番では、トラムウェイと天賞堂から出ています。

  

  過去を振り返ると、16番では、鉄道模型社から、実車が、まだ新車として脚光を浴びていた1964年に1次型が、翌年65年には2次型が発売されました。続いては、長らく本命と言われた安達製作所製が1978年に登場、発売年は判明しませんが、試作型まで作り分けたキットがホビーモデルから出ています。

  Nゲージでは、(詳しくありませんが)マイクロエースに加えてkato製品があります

 

   このように、多くのメーカーが模型化しているED71ですが、私が保有しているのは、鉄道模型社の2次型を3両、1次型を1両で、模型社ばかり4両です。そうなったのは、ご縁と価格重視の結果です。

2次型3両は、長い年月をかけて別々に手に入れたもので、どれも上回りのキット(ジャンク)の形で購入したものです。下回りは、その時々に手に入るパーツを使って組み立てたので、全く共通化が図られていません。どれも、重連運転出来ないのが難点です。

1次型は、つい最近、ヤフオクで落札しました。

ED7151

これは、非常に古くから保有していて、うちのヌシのような車両です。屋根上を何度も塗り替えし直し、現在の塗装になりました。台車は、宮沢模型のDT129、インサイドギヤも同社のものです。モーターはカツミ  DV18シリーズ。なぜか、片側のみ、アダチのスノープローが付いています。


ED7148

51号機に合わせて、屋根上を黒に塗装しました。台車はカツミのDT129MPギヤ化しています。屋根に吹いた赤は、赤2号(マッハ)をベースに側面の色に似せて調色しましたが、くすんでしまいました。


ED7146

屋根の塗装は、オリジナルへのリスペクトの気持ちを込めて、そのまま手を加えず、シルバー、ランボード焦げ茶色です。変わった塗装と言われますが、屋根の塗装については、後でまた触れたいと思います。 

下回りは、カツミのDT129に夢屋のインサイドギヤ、エンドウのCN22缶モーター、ウォームはスパイクモデルの20:1を組み合わせています。調子良く走行します。夢屋のさんには、電話で在庫を問い合わせしたところ、気持ちよく対応していただいたのを覚えています。

パンタグラフは、3両ともフクシマのps100を、取り付け足を曲げ直し、元の孔にビスどめしました。




ED715

最近やってきた1次型のモデルです。車体側面に歪みがあったり、塗装の荒れもあったりしますが、前オーナーが施した赤の艶有り塗装が実車に近い色で魅力的です。パンタグラフが、トミックス のカバー付きPS101で、それほど昔にレストアされたものではないと推測しています。屋根は、ランボードも含め、黒分の多い塗装になっています。下回りは、模型社オリジナルの床板3分割構造で、オリジナルのDT107、インサイドギヤも同社のものです。モーターは、秋葉原等で売られている缶モーターです。残念ながら、集電不良で、しかも走行すると横揺れします。

横揺れの原因は、台車を保持するボルスターが小さすぎるところにあると考えられます。46号機を見習って、動力関係パーツ交換をしたいと思っていますが、ネックは、3分割の床板です。

床板から作り直すのも、厄介ですから。もう少し、考えます。


 

  交流機でよく、問題になるのは、側面の赤2号の色合いです。

  5号機は、Nゲージのkato.トラムウェイ、天賞堂とも近似の色合いです。過去に論争があったかもしれませんが、この色で決まりだと思います。模型社の素の朱色ぽい色は、塗装が陽に焼けてくると、あり得なくはなさそうです。

 

 塗装については、上から見ることの多い模型の場合、もっと屋根の色に気遣いがあってしかるべきです。

   直流機の場合、JR時代の電機は、大宮工場仕様以外、青15号でも、ぶどう2号でも、側面の色と同じで迷うことがありません。

 交流機の場合、なぜ屋根が黒色なのか、理由を聞いた記憶はあるのですが、よく覚えていません。交流二万vが流れていることが関係していて、汚れが目立たないようにだったか?塗装の回数を減らせるだったか?

   その屋根の黒色塗装の妻面の境界線が、どうなっているのか、おおよそ、分かっていただけるよう図にしてみました。

   黒色分の濃い順に、A 妻板の際、BorC ヘッドライトのケースの付け根あたり

DorE パンタグラフの中間線あたり。(Eは塗り分け図省略)

 これまで販売されてきた模型でも、A〜Eのいずれかに塗り分けられているのがほとんどです。(さらに、汽笛や信号炎管の処理もモデルによって異なりがあります。)

 

 それから、ランボードが、黒か赤2号かも、モデルによって違いがあります。

 各社のモデルをざっくりと、分類すると、以下のようです。

A  メーカー完成品はなし

B  kato  トラムウェイ

C  マイクロエース

D  安達 

E 天賞堂

 

 以前に、東芝の工場で写された竣工前のED71 1号機のモノクロ写真を見たことがありますが、そのときは、黒、赤2号の境界はDタイプで、ランボードも赤2号とは別色のように、感じました。その記憶が事実通りだとすれば、ED71の屋根の塗り分けは、Eが正解かもしれません。

 

 それから、製品としては、Aタイプのものは、私の知る限り、見当たらないのですが、ご自分でキットを組み立てられた方の多くは、妻板際まで黒、ランボードも黒に仕上げられることが多いのではないかと思います。

  実際、Aタイプの塗り分けがしっくりくるように、私も思います。

 機種は異なりますが、滋賀県の長浜鉄道スクエアに保存されているれているED70が、まさにAタイプに塗り分けられていて、あれを見たら、正解はAと思ってしまいます。

 

 いやいや、もしかしたら(大穴)、鉄道模型社オリジナルのシルバー塗装が正しいかもしれません。

    残念ながら、黒磯まで行ったことがなく、実際にED71を見たことがないので、想像するほかないのです。

 

 ちなみに、私の模型社51号機、48号機は、後継のED75に習って、同じだろうと単純に推量した結果です。

   ED71など交流電機は、周波数の縛りや使用線区を特定して開発されたことゆえ、他線へ転属することなく廃車されることが多く、逆にそれゆえに、コアなファンが多いのかもしれません。

 

 東北本線船岡駅にED71 37号機が保存されているそうなので、機会があったら、一度実際に見てみたいと思います