宮沢模型C58をリファインする | 模工少年の心

(改修作業の実際をお知りになりたい方は、「C58をリファインする」からどうぞお読みください。)

 

秩父鉄道 長瀞駅にて (2017/11/4) 点検窓付デフのC58363
 

 

はじめに

 

 かつては、鉄道模型売り場がデパートにもありました。その頃は、宮沢模型のC58は、SL好きな少年の「ぼくらの憧れ」のモデルだったのだと思います。

 月刊「模型と工作」誌に塗装済キットの組立案内が、二度掲載されています。

 新しい方が最終刊の19689月号。国内から、そろそろ蒸気機関車の退場の時期が近づいてきた頃です。(価格 4500)

 その前は、1960年代の早い時期と思われます。高木有造さんという方が書かれた記事の中で、宮沢模型のC58を「すばらしい性能・驚くほど精巧な」という修飾語を付けて紹介されています。

 販売価格は、モーターその他一式付で3700円とあり、当時のスケールモデルの中でも、超低価格です。お年玉で手が届く「驚くほど精巧な」鉄道模型このような商品があったことが、とれほど多くの子ども達の心に響いたことか、容易に想像がつきます。

 

  その宮沢模型製品のオマージュとなるような模型を目指すことが私の模型づくりの原点だと思っています。そのようなことを考えながら、長い間片方のデフが取れ、無残な姿をさらしていた宮沢模型のC58を、宮沢らしさを残しつつ、実物のC58に近づけるためにリファインしました。

 今回実施した改修方法は、塗装を剥がし一から作り直す「レストア」でもなく、不良な箇所を元どおり直すだけでもないので、「リファイン」という言い方が相応しいのかなと思います。

 

宮沢模型C58をリファインする

 

 どこからどこまでも実物そっくりの模型こそ究極の理想ですが、プロトタイプの特徴がよく捉えられていれば、他の部分は大雑把でも「それらしい」モデルになると考えています。 

 

C58の特徴(外観上の)は、つぎのとおりです。

①密閉型キャブ

D51と同じように、ボイラーの上に給水温め器が乗っかっている。

③公式側のコンプレッサー、非公式側の給水ポンプ、どちらもボイラー上を這う配管にカバーが付いている。

④製造当初は単式コンプレッサーだったが、複式コンプレッサーに改められた。

 

 これらの特徴が備わっていれば、他機種との区別化が図られ、C58の特徴をしっかりつかんだモデルが出来上がるはずです。

 こうした視点をもち、上の①〜④までのチェックポイントをみていきました。

 

    モデルは、当然ですが密閉型キャブになっていて問題ありません。後部妻板の表現が簡略化されていますが、そのまま手をつけないこととしました。

    給水温め器にボイラーから出ている配管が全く付けられていないので、逆止弁を取り付けるとともにパイピングを施すことが必要と考えました。

    コンプレッサーと給水ポンプの配管カバーは.C58だけにみられる装飾であるため、必ず付けたいものです。幸い、金岡工房からパーツが発売されているので、使うことにします。(ここは、宮沢のC58を良くするポイントだと思います!)

         複式コンプレッサーの方が見慣れているので、複式コンプレッサーに交換します。(改修作業をしていて、気づいたことですが、もとの給水ポンプの材質がホワイトメタルだったので、給水ポンプも真鍮製のものに交換することにしました。

 

 それから、この個体はデフレクターが片方、行方不明だったので、デフを特徴あるものに交換したいと考え、秩父鉄道のC58363バイオエキスプレスに付けられている後藤工場式デフレクターを取り付けることにしました。(少しオーバースケールですが、D51用を利用)

 同様のデブは、志布志線で使われていたC58112にも装着されていました。(といっても、こうした特定機を作ろうとしたわけではありません。)

 

使用したパーツ

 

使用したパーツは、以下の通りです。

給水ポンプ配管カバー  金岡工房0176  900

コンプレッサー配管カバー  金岡工房0175  1000

複式コンプレッサー  ニワモケイ  1209-1

1400(クリーナー別です)

給水ポンプ  アダチ 8117N  600

逆止弁  アダチ  S118S  500

チリコシ  マイクロキャスト 1013 180

汽笛  ウィストジャパン  2113 330

砂箱蓋 アダチS165 500

信号炎管  アダチ  S214  400

キャブ吊り環  マイクロキャスト2006 400

冠水清浄装置大C57D51 ウィストジャパン2125 500円

切り取りデブ  後藤工場G5-1 500

モーター  PPN13kA11C  価格不明

シリコンチューブ  アダチ

 

その他留意点

 

◯作業は、必要以外は、出来る限り塗装を剥がさず行う。

◯強度の必要なところは、(デブの取付等)ハンダ付けで止めるが、接着剤の使用もいとわない。)

◯ハンダ付けが手早く出来ず熱が回って、塗膜を痛めてしまったときは、再塗装に支障かでないよう見極め、必要な部分だけ塗装を剥がす。

◯接着剤は、瞬着、ゴム系を併用する。ゴム系接着剤は、パーツのズレを防止でき位置決めがしやすくなる。

 

接着剤の使用について

 

 パイピングの固定には、強度の点でハンダ付けが好ましいのはわかっていますが、パーツや線材の取付穴をユルユルではなく、キツめにすると、差し込んで接着剤で接着すれば、実用強度は十分得られると思います。コンプレッサー配管カバー等は、接着剤で止めてあります。

 

 作業の過程は、写真で確認してください。

デフとコンプレッサー配管カバーを取り付ける前

下回りは、缶モーターに交換しただけ

 作業は、今年1月中旬から始めて1ヶ月程度でした。

 宮沢のC58に愛着があり、「何とかしたい」と思われている方の参考になれば幸いです。