昔からワーグナーの音楽が好きである。


神話の世界を元にした物語性にまず惹かれるけれども、なんと言ってもそこに付随する深く沈んだ別世界の音楽が私を魅了します。


どの作品が一番好きかと言われたら、一度だけ通して聴くなら「トリスタンとイゾルデ」と「パルジファル」、何度も聞けるのは「ニーベルングの指環」


今回「トリスタンとイゾルデ」前奏曲をゾルタン・コチシュがピアノ編曲したものにオーケストラにより近い響きとなるように私が少し手を加えて演奏してみました。





トリスタン和音と言われる冒頭から、ワーグナーの雰囲気全開ですが、私はオケでこの部分を聞き始めるだけでドキドキします。クラシック界のロミオとジュリエットともいえるこの作品の奥深さがPreludeに全て詰まっています。ワーグナー自身もオペラのPreludeを単なる前奏ではなく、全体を包括するものでなくてはならないと語っています。トリスタンとイゾルデで冒頭の根幹動機からバッハに始まる機能和声から終わることのない無限旋律をまるで溢れるように生み出していきました。それは奇跡のような響きであり、ワーグナー自身も驚いたといいます。


ピアノでオーケストラの響きを出すのはジレンマも多くありますが、しがない演奏家の一人としてその世界を表現してみたいと思いました。


ほのかに暗い雰囲気で撮りたくて夕方から撮り始めたのですが、何テイクも取っているうちに真っ暗になってしまいそれにも気が付かずにいたため、全体が少し暗い感じとなってしまいました。


ピアノでの少しでもワーグナーの世界観に興味を持っていただけたら嬉しいです。



2024年もマイペースな私のブログにお付き合い頂きありがとうございました。来年もよろしくお願い致します。