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藤巻隆(ふじまき・たかし)オフィシャルブログ

私のテーマは6つあります。
(1)ビジネス書の紹介(2)医療問題 (3)自分ブランド力
(4)名言 (5)ランキング (6)ICT(情報通信技術)
このブログでは、主に(1)~(4)を扱っています。
(5)と(6)はそれぞれ別のタイトルで運営しています。

<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の
概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>



日経ビジネスの特集記事(112)

2015 株主騒会
ROEで社長失格になる日

2015.06.22


テーマ

今週の特集記事のテーマは

緊張の面持ちで居並ぶ経営陣に、対峙する株主。
年に1度の株主総会シーズンがやってきた。
今年、その光景がガラリと変わる。
株主はROE(自己資本利益率)や配当などの還元策に
厳しく目を光らせ、満足しなければ容赦なく「社長失格」
の票を投じる。
アベノミクスが演出するこの株主“騒”会を何とか乗り越えようと、
新たな経営計画やROEの目標を打ち出す企業が続出している。
押し寄せる大波にのみ込まれるか、株主との対話を成長に
つなげるか。多くの日本企業がその岐路に立つ。

 (『日経ビジネス』 2015.06.22 号 P.027)

ということです。







2015 株主騒会
ROEで社長失格になる日

(『日経ビジネス』 2015.06.22 号 表紙)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.22




今特集のスタートページ

今特集のスタートページ

(『日経ビジネス』 2015.06.22号 PP.026-027)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.22







第1回は、
「PART.1 ROE目標、中期経営計画、株主還元・・・
 企業を揺さぶる 『普通の株主』」
を取り上げます。


第2回は、
「PART.2 アベノミクスが舞台回し
 踊り出す投資家 沸き立つ市場」
「PART.3 本誌独自ROE“分解”ランキング
 持続力を見極めよ」
を取り上げます。


最終回は、
「PART4 圧力を活力に変える
 脱・後ろ向きROE 解は1つじゃない」
をご紹介します。




今特集のキーワードは次の5つです。

キーワード

 ROE 
 持続力 
 株主還元 
 脱・ROE 
 自律 




6月は、2015年3月期決算企業の株主総会が集中する月です。
今年の株主総会は、例年と異なり、「騒動」のある株主総会
ということで、『日経ビジネス』特集班は、株主「騒」会と名付け
ました。


この件について、飯田展久編集長は、「編集長の視点」に
次のように書いています。


 今年は多くの企業で想定問答集の中身に

 変化が見られるのではないでしょうか。

 一般株主の間にも株主還元策に異常な関心が

 集まっているためです。

 ROE(自己資本利益率)の向上に目を光らせ、

 ROEの低い企業には取締役の選任案に「ノー」を

 突き付ける動きも出始めています。

 現実に否決されることはまれですが、否決されない

 案にあらかじめ作り直す例もあるようです。

 こうした状況を本誌は「株主騒会」と名付けてみました。

 総会をめぐる劇的な変化は一種の騒動のようだと見た

 からです。
 

  (P.003)



株主総会と言えば、昔は総会屋対策が重要な課題でした。
決算内容うんぬんよりも、総会屋をどう黙らせるかの方が、
大事だったのです。お金を握らせるという違法行為が公然
と行われてきました。


その後、総会屋の数が減少し、代わって増えてきたのが、
外国人投資家や外資系ファンドです。彼らは株式を買い
増し、株主の要求を経営者に突きつけます。


内部留保が多い企業には、設備投資や株主還元を強く
要求します。株主還元とは、配当金の割増です。
企業価値を高め、株価を上昇させる施策を採ることも、
当然要求します。


最近では、外資の「モノ言う株主」だけでなく、一般投資家
(今まではモノ言わぬ投資家と呼ばれてきました)が、
議決権を行使し、代表取締役の再任に“No!”を突き付ける
ケースが出てきたそうです。


ステークホルダー(利害関係者)には、社員、取引先、得意先、
株主、社会などがありますが、この中で株主の発言力がさらに
強くなってきていることが、今特集で再確認できます。





では、本題に入りましょう!


 PART.1 ROE目標、中期経営計画、株主還元・・・ 
 企業を揺さぶる「普通の株主」 

新株価指数「JPX日経インデックス400」の選出に関して、
「異変」が起こったそうです。2013年11月のことです。


 「どうしてうちが漏れたんだ!」

 2013年11月、新たな株価指数「JPX日経インデックス400」

 の構成銘柄に、同業で業界2位のAOKIホールディングスが

 選ばれた。JPXはROEなど複数の基準で銘柄を選出する。

 AOKIのROEは青山商事を上回っていた。
 

  (P.028)



明確な理由があるはずです。
その理由とは?


 明暗を分けたのは本業以外だった。

 青山商事は紳士服事業が営業利益の9割を占める。

 一方、AOKIは結婚式場やカラオケ店の運営などの

 新規事業が営業利益の4割以上。

 「紳士服事業が生むキャッシュを新規事業に回す循環

 が定着した」とAOKIの田村春生副社長は語る。

 手持ち資金を有効に使えていない青山商事と、

 資本効率を上げたAOKI。

 JPX採用銘柄の発表後、1カ月間の株価上昇率では

 差が付いた。
 

  (P.029)


将来への投資をしたAOKIと、しなかった青山商事に
明暗が分かれました。


ちなみに、ROEを比較しますと、青山商事は5.4%で、
AOKIは7.5%です。


この話には伏線があります。
青山商事のROEが5%を超えるかどうかが、ポイント
でした。


 青山商事は2015年3月期決算を締める前まで、

 ROEが5%を超えるという確証がなかった。

 5%を切れば、総会で青山社長再任案への反対率が

 高まる恐れがある。

 そこで、約100億円の自社株買いを断行。

 ROEの計算式の分母である自己資本を圧縮し、

 帳尻を合わせた。

 宮武副社長は怒涛の1年半をこう振り返る。

 「過去の苦労から、キャッシュを手厚く持っておくべき

 との考えが裏目に出た。

 総会を乗り越えるメドがついたが、これがスタート

 地点だ」。
 

  (P.029)



ROEについては、次表をご覧ください。



ROE(自己資本利益率)

ROE(自己資本利益率)

(『日経ビジネス』 2015.06.22号 P.029)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.22




ROEは、最終利益を自己資本で割った数値です。
ROEの数値を向上させるためには、分子の最終利益
を増やすか、分母の自己資本を小さくさせるしかあり
ません。分母の自己資本を圧縮するほうが容易です。


理論的には、分子を大きくし、分母を小さくすればよい
のですが、現実には最終利益を調整することは困難
ですし、ヘタをすると粉飾決算になりかねません。


ですから、自社株買いにより、自己資本を縮小させる
手段が使われるようです。



自社株買いのメリットは、次のことです。
「自社株買いが行われると発行済株式の総数が減ります。
 総数が減るので1株あたりの資産価値やROEが向上
 します」 
自社株買いのメリット 「初心者の株式投資道場」から)






株主総会が様変わりしているそうです。
株主総会の変遷を『日経ビジネス』は次のように
伝えています。


 かつて企業が恐れたのは「特殊株主」。

 総務部門は、大物総会屋の一挙手一投足を気に

 した。逆に、その他の株主は、さして気に留める

 必要がなかった。

 しかし今は違う。怖い相手は「普通の株主」だ。

 ROEが低く、ガバナンスに不備があれば即「社長

 失格」の票を投じる。そんな株主“騒”会を乗り

 切るには、株主やその助言役であるISSなどと

 対話し、理解を求めるしかない。
 

  (PP.029-030)


ここにあるISSというのは、
「米インスティテューショナル・シェアホルダー・
サービシーズ(ISS)。議決権行使を投資家に
助言する最大手だ。
ISSはROEが過去5年平均と直近決算期で
いずれも5%を下回る企業に対し、総会での
経営トップ選任案に反対する指針を表明して
いる」 (P.028)という組織で、企業にとって
怖い存在です。


『日経ビジネス』は、「今年は『ROE総会』の
元年だ」と述べています。


経営トップ選任案への賛成率とROEの数値との
関係を示すグラフがあります。



ROE5%未満の企業の賛成率は9割以下に<br />・3月の総会におけるROE別経営トップ選任案への賛成率

ROE5%未満の企業の賛成率は9割以下に
・3月の総会におけるROE別経営トップ選任案への賛成率

(『日経ビジネス』 2015.06.22号 P.030)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.22




ROEが5%以上であることは、経営トップにとって
自分の地位を守る条件と言えます。


ROEを逆手に取った企業があるということで、
じっくり読んでみました。


 ROEの神通力を逆手に取った企業もある。

 「ようやく承認された」。

 6月12日、ゲーム大手、カプコンの小田民雄副社長は、

 深い安堵感に包まれた。

 この日開かれた総会で、昨年否決された買収防衛策議案

 が可決されたからだ。

 復活劇の裏にはROEがあった。

 同社は今年の総会で初めてROEの数値目標を議案に

 入れた。

 2017年3月期までの3年移動平均のROEを、前期の6.7%から、

 8~10%に引き上げるというものだ。ROE目標を総会の議案に

 入れるのは異例。株主に中期的な成長の青写真を見せ、

 買収防衛策への理解を求める狙いが功を奏した。
 

  (P.031)



買収防衛策のため、ROEの数値目標を掲げた、
ということです。必達しないとなりませんね。





ポイント

ROEの向上は企業価値の向上

ROEが向上することは、1株あたりの利益が増えること
ですから、株主にとってもメリットがあります。


株価上昇や、配当金の増額も期待できます。
企業価値も向上します。自己資本を活用して利益を
上げていることになるからです。


ROEが5%というボーダーラインが果たして高いの
だろうか、という疑問が残ります。


そこで、日米欧のROEの推移を調べてみました。
日本企業のROEが欧米の企業より低いことは、
理解しています。


欧米企業のROEは二桁台はザラにあるということです。
10%以上でなければ、株主から経営者失格の烙印を
押され、CEO(最高経営責任者)を解任される、
という話を読んだことがあります。


次のグラフを見ますと、欧米と日本は乖離していること
が一目瞭然ですね。
2013年までのデータですが、日本は欧米との差を縮める
ことは容易ではないことが、分かります。


長年続いた円高から円安に転換し、少しは改善したの
でしょうか?


現時点では、データが見つからないため確定的なことは
言えませんが、少なくとも、劇的な改善はないでしょう。



ROE(自己資本利益率)

ROE(自己資本利益率)

日米欧の主要企業の財務指標の比較
 三井住友アセットマネジメントのサイトから)










今特集のキーワードを確認しておきましょう。

キーワード

 ROE 
 持続力 
 株主還元 
 脱・ROE 
 自律 




次回は、
「PART.2 アベノミクスが舞台回し
 踊り出す投資家
 沸き立つ市場」
「PART.3 本誌独自ROE“分解”ランキング
 持続力を見極めよ」
をお伝えします。


ご期待下さい!





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本当に役に立つビジネス書
ソフト力で丸の内に魅力
2015.06.22

杉山 博孝(すぎやま・ひろたか) 氏

[三菱地所社長]





 大手町と丸の内、有楽町に本社を置いている企業の

 売上高を合計すると、日本企業の総売上高の約10%

 になるはずです。集積している強さは確かにあると思い

 ます。

 しかし単にオフィスがある、ビルがあるだけではいけ

 ません。街ににぎわいを持たせるタウンマネジメントが

 必要です。それが街の強みになると思います。

 街というのはハードだけじゃなくて、ソフトがあって魅力的

 になるのです。その意味でソフトが非常に充実している

 ことは大きな強みです。


 人が楽しめる街や通りにするといった構想は舛添要一・

 東京都知事も表明されています。


 当社は東京駅前の新丸の内ビルディングで2007年の

 開業以来、ベンチャー企業の育成に取り組んできました。

 EGG JAPANというベンチャー育成のための場を用意し、

 外資系のベンチャー誘致にも力を入れています。


 外国人の方への生活の支援という意味では、英語の話せ

 るスタッフが常駐するクリニックも設けました。

 2012年秋に大手町にできた高層ビル、大手町フィナンシャル

 シティに進出してもらった聖路加国際病院のクリニックです。


 我々が考えているのは、東京がグローバルな都市間競争、

 特にアジアの都市との競争の中でどういう位置を占められ

 るかということ。今それが重要になっていると思っています。


 一時期は2016年から2017年頃にオフィスビルの大量供給が

 あると言われていましたが、工事費が上がったこともあり、

 計画が先送りされているケースもあるようです。

 2020年の東京オリンピックまで、それほど大きな供給がある

 わけではないですね。

 一方、需要の方は企業業績の改善でオフィスニーズが高まっ

 ているという感じがあります。

 我々の場合、丸の内に隣接する大手町では今、高層ビル

 建設を柱にした開発を進めていますが、強い引き合いを

 頂いています。

 当面はタイトな需給が続くと思います。


 我々は、投資資金が入るのであれば出し手は海外の投機家

 でも構わないという考え方はしません。

 むしろ重要視するのは、開発する街をどうマネジメントするか、

 どう魅力を高めるかという点です。

 そこが折り合わなければパートナーとなることはありません。


 ゼネコンさんは今まで厳しい環境下に置かれていた。

 足元で需給がタイトになっているわけですから、これまでの分

 を取り戻そうという気持ちがあるのでしょう。

 一方、我々は巨額の建設投資をつぎ込み、それによって頂く

 家賃を計算してプロジェクトが成り立つかどうかを考えています。

 当然、出せる工事費には限界があるわけです。

 三菱地所は設計会社も持っており、工事費がどの程度かかる

 のか、どうすれば下げられるのか、いろいろなノウハウがあり

 ます。それとゼネコンさんの考え方をすり合わせていくしかない

 のだと思います。


 シンガポールでアジア有数の不動産会社、キャピタランドと

 一緒に、当社としてはアジアで初めてのオフィスビル開発を

 進めてきました。

 約1270億円の事業費で当社のシェアは約10%。今年1月から

 テナントの入居が始まりました。

 他の東南アジア諸国連合(ASEAN)の国でも、バンコクや

 ジャカルタなどちゃんとした物件の選び方をすれば、

 十分面白いのかなと思っています。

 欧州でもパリで9階建てのオフィスビルを昨年末取得しました。

 ロンドンでは30年以上、ビジネスをやっていて7棟のビルを保有

 しています。

 米国も同様で、これらの国では我々はもうローカル企業だと

 思っているくらいです。


 現場とのコミュニケーションを大事にしています。

 でもただ言うだけではだめ。「実現するためにはどうすれば

 いいかを考えて提案しろ」と言っています。

 まだ具体化したものはありませんが、談論風発の場であり、

 教育の場として大事にしています。
 

  (PP.050-053)




三菱地所社長 杉山 博孝 氏

三菱地所社長 杉山 博孝 氏
(『日経ビジネス』 2015.06.22 号 P.051)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.22






キーセンテンス


キーセンテンスは、

 街というのはハードだけじゃなくて、
 ソフトがあって魅力的になる 

です。


建物はハードです。それをどう使うかはソフト力に左右されます。
街づくりを考える場合、職住近接を考慮する必要もあるでしょう。
オフィス街だけを作って、土日祝日は人通りがなく、ガラガラの
状態ではいただけません。生活の場でなくてはなりません。


『日経ビジネス』は、FILE.丸の内 「『脱・10%の街』へ改造に向け
10年の計」というタイトルで丸の内のスペシャルリポートを掲載して
います。


その記事の中に、50年前の丸の内と、現在の丸の内を比較した
写真が掲載されています。50年間で大きく変貌したことが分かり
ます。



丸の内仲通りも様変わりした

丸の内仲通りも様変わりした
(『日経ビジネス』 2015.06.22 号 PP.046-047)
「日経ビジネスDigital」 2015.06.22








ポイント1


都市間のグローバル競争の中での位置付け


アジアの金融センターを考えますと、シンガポールに差を
付けられています。


日本がシンガポールを抜いて、アジアの金融センターに
なれるか、注目していきたいと思います。


外資系企業のオフィスが東京にどれだけあるかということ
も重要です。東京に魅力がなければ、企業は集まって
きません。当然、人もです。


東京の魅力的な都市(街)づくりが、大きなテーマです。





ポイント2


長期的視野に立って協力できるパートナー探し


米国の不動産投資ファンドは、不動産を取得した後、
十分な収益が得られると売却するというのが、
基本的なスタンスです。「ハゲタカ・ファンド」と揶揄
されましたが、彼らは全く意に介さなかったですね。
勝負に勝てばいい、という考え方が優先されたから
です。


一方、三菱地所などの日本のディベロッパーの多くは、
数十年という長期的な視野に立ち、収益を上げてゆく
ことを基本にしています。


どのような街づくりをしようと考えているか、いないか
の違いです。単なる金儲けだけではありません。
エコ・システムも考慮の対象です。


杉山さんは、「重要視するのは、開発する街をどう
マネジメントするか、どう魅力を高めるかという点です」
と述べています。





ポイント3


海外事業


国内のオフィス需要を見込んでのビル建設だけではなく、
海外の不動産を取得し、長期的にマネジメントしていく
ことも成長のために大切なことです。


不動産事業には莫大な金額がかかります。
短期間で回収しようとすれば、無理が生じます。
日本のディベロッパーは、米系企業のように、割り切って
金儲けすることに躊躇する気持ちが強いようです。


「厚顔無恥」という評価を受けることを潔しとしないからだ、
と考えています。





私見



2020年に開催される東京オリンピックは、
多数の訪日観光客を呼びこむ絶好の機会です。
あと5年のことです。


新・国立競技場建設計画が、当初の予定から
大きくズレました。建設費用が高騰したからです。
設計図面通りに建設することはできなくなりました。
とりわけ屋根の建設にコストがかかることが判明
したからです。


また、オリンピック開催期間中は真夏で、
炎天下で競技を行なうことに懸念も表明されました。
ですが、今さら日程の変更はできそうもありません
ので、予定通り実施しなくてはなりません。


競技を行なうトラック内などの温度を下げるシステム
開発が急がれるでしょう。そうした措置をとらないと、
好記録は望めません。


交通機関の利用しやすさや、案内図や標識などの
表示方法などオリンピック開催期間に限定した措置
ではなく、今後も訪日観光客を増やすための工夫が
必要です。路線図や地下街の案内図など、
私たちにも分かりにくい表示が多いですね。


セキュリティや危機管理の問題も大変重要です。
テロ対策は特に重点的に講じてもらいたいものです。


オフィスビルを含めた街づくりは、何も東京に限定
された課題ではありません。


大都市圏(東京、大阪、名古屋、横浜、札幌、福岡の
周辺地域)のどの地域でも、規模の違いはあるにせよ、
共通の課題と言えます。


近い将来、新幹線網が日本全国に拡大されます。
ますます物理的な距離が縮まります。
インターネットだけでなく、空と陸の交通機関の拡充に
よって、人々の移動する手段や、情報伝達手段が増え、
情報量が幾何級数的に増大していくことでしょう。


今後は、どこに住み、どこで働くかが、果たして重要な
意味を持つのか、を考えるべき時代がやって来ると、
私は考えています。


物理的な距離は、心理的な距離を反映していました。
遠く離れていると、気持ちも離れていくという現実が
ありました。


ですが、物理的な距離が一旦縮まれば、心理的な
距離も縮まるのでしょうか?


これはなんとも言えないと思います。
いつでも連絡できる、いつでも会えるということに
なれば、むしろ煩わしさが先に立つと考えられるから
です。束縛されることを嫌うのは普通の感覚でしょう。


人間の願望には際限がなく、ある一定の願望が満た
されると、さらにもっと多くを望むようになります。
不便や不快の解決策を提示するのが企業の重要な
役割の一つですが、不便や不快は尽きることがあり
ません。


それが進歩ではないか、と言われれば、「そうです」
と答えるしかありませんが、一旦立ち止まって、
じっくり考えてみることが大切だ、と思っています。






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本当に役に立つビジネス書
本社を出されて触れた異文化
米国流の合理主義が
危機を乗り越える原動力に


持田 農夫男(もちだ・のぶお)氏
[日立製作所取締役]





今週の言葉


 経営者になるとは、全く思っていませんでした。

 日立金属で技術者として生きるのは居心地が

 良かったし、そのまま60歳まで勤めれば一つの

 完結した人生になるかなと。

 経営の一翼を担うことになった際、何が評価された

 のか振り返りました。

 思い当たったことは、異文化体験に恵まれたこと

 です。


 31歳の時、私は米国に追い出されました。

 組合活動に力を注いでいたので、会社からすれば

 目障りでしょう。義理の親父は事業部長、仲人は

 工場長という立場で突っ張っていましたから。

 追い出されたのは、いわばパニッシュメントですね。


 日本人は私だけ。組合活動で英会話の研修を

 さぼっていたから、英語も話せない。

 それでも本社は、何とか立て直せと命令してくる。

 現地社員の帰宅後や土日を使って、生産性改善など

 何でもやりました。休んだのはクリスマスだけ。

 その努力のかいあって、1年半で黒字になりました。

 これが、経営者としての私の原点です。

 日本の大きな組織にいたら、経営の勘を若くして身に

 付けることはできなかったでしょう。

 特に、米国的な合理主義は、その後の会社人生に

 おいて重要な判断基準になりました。


 日本に戻りしばらくすると、また外に放り出されました。

 日立金属が住友特殊金属を買収してNEOMAXをつくった

 時に、常務として転属したのです。

 ところが、業績が回復すると、再び日立金属に兼務で

 呼び戻されました。その1年後の2006年に、社長になり

 ました。


 日立金属の社長時代に一番苦しかったのは、リーマン

 ショックです。


 事業規模をもっと拡大する必要性を痛感したのは、

 この時です。リーマン前には7000億円ほどあった売り

 上げは、5500億円程度までしか戻りません。

 1兆円はないと、経営は安定しないと考えました。

 その後の日立電線との合併は、こうした流れの中に

 あった話です。


 今、私は日立金属の親会社である日立製作所の取締役

 として、監査委員をしています。

 リーマンショックを乗り切った功績が評価されたのか、

 2010年から昨年まで日立製作所の副社長としてグループ

 経営に携わりました。



                    (2015.06.22 号から) 

 




日立製作所取締役 持田 農夫男 氏

日立製作所取締役 持田 農夫男 氏

「日経ビジネス」 2015.06.22 号 P.001
「日経ビジネスDigital」 2015.06.22





キーワード

キーワードは、 異文化体験 です。



持田さんは若い時から、海外へ出されました。
しかも、日本人は持田さん一人。
そんな追いつめられた環境の中に(?)放り出され、
本人がどのように解決するか、会社は試したのでしょう。


将来、会社を支えていける人物かどうか見極めるため
だったのかもしれません。


こうした状況で、本人がどう感じ、どう行動するかで現状
が好転するかさらに悪化するか、決まります。


持田さんの体験とは大きく異なりますが、私にも異なる
意味の「異文化体験」があります。


20年近く勤務した会社が、合併することになりました。
吸収合併された会社に在籍していた私は、そこで経理を
担当していましたが、在庫管理・出荷業務の現場に出され
ました。それもその現場の責任者ではなく、肩書だけ課長
でも、在庫出荷作業員の一人としてです。


持田さんが言われた「パニッシュメント」です。
いえ、私にとっては左遷でした。
退社するか、不当な異動を受け入れるか、の2つの選択肢
しか残されていませんでした。


私は異動を受け入れました。
通勤時間は、ドア・ツー・ドアで片道2時間半、往復で5時間
でした。しかも、忙しい時期は、夜11時頃になることもしば
しばあり、帰宅時間は午前1時過ぎになることもありました。
睡眠時間は数時間で、早朝出勤が当たり前でした。


異動当初、現場では周囲の人たちから冷ややかな態度を
とられ、四面楚歌の状態でした。


一時、このままでは精神的に参ってしまうので、いっその
こと退社してしまおうかと考えたことがあります。
ですが、思いとどまりました。


今は逆風が吹いているが、いつか必ず、逆風が止む時が
来る、と考え直したからです。


考え直すことができたのは、家族の理解と協力があった
からです。


ふたまわり近く若い人たちと、在庫出荷業務に精を出す
ことに決めました。開き直りでした。


最初は皆から敬遠されていましたが、黙々と皆んなと
同じ作業(必ずしも仕事とは言えない)をしているうちに、
周囲の態度に変化が現れてきたことに、気づきました。


たわいない話でも、若者たちが気さくに声をかけてくれる
ようになったのです。いつの間にか「ラポール(信頼関係)」
が築かれたのでしょう。


心が通じあうようになったのです。
今、振り返ってきますと、自分にも本社にいたという驕り
がどこかにあったために、周囲から冷たい目で見られて
いたのかもしれないな、と反省しています。
そんな気持ちを見透かされていたのでしょう。


そうした気持ちや態度が、周囲の人たちを遠ざけていた
理由だったかもしれません。


結局、現場には1年半いました。
会社は、私がすぐに音を上げ、自己都合退職するものと、
たかをくくっていました。


ところが、一向に辞職しようとしない私に、リストラのため、
会社は割増退職金を支払うという条件を出してきました。
私は、退職勧告を受け入れ、退職しました。


現場で一緒に働いた人たちは、私が現場を去ることに
残念がってくれました。現場で働いていて、こんなに嬉しく
感じたことはありませんでした。


今では、そうした貴重な体験をしたことを誇りに思って
います。リストラされましたが、それ以上に大切なことを
学んだからです。年齢差は関係なく、現場の皆んなに溶け
こんでいこうとする姿勢が大切なのだ、と実感しています。


こうした体験から学んだことは、本を読んだり、他の人から
話を聞いただけでは、決して得られないことです。


無駄ではなかった、とつくづく感じています。




ポイント

ポイントは、
 経営者は生まれるのではなく、作られる
です。



持田さんは、日本人は持田さん一人の会社に「追い出され」
ました。「社員30人ほどの大赤字の町工場に、肩書も権限
も与えられないまま放り出された」(P.001)そうです。


そんな最悪の条件下で、持田さんは必死に考え行動し、
「休んだのはクリスマスだけ」で、「1年半で黒字になりました」
と語っています。


それが、「経営者としての私の原点」と述べています。
会社は持田さんならできると見込んで、事に当たらせたと
思います。持田さんは腐らず、現状に真正面から対峙し、
何がなんでも成し遂げてみせる、という強い決意で臨んだ
と思います。


そのように考えますと、経営者は生まれるのではなく、
作られるのだ、という気持ちがいっそう強くなります。


あなたはどう思われますか?






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本当に役に立つビジネス書
『マキアヴェッリ語録』 (09)





『マキアヴェッリ語録』 塩野七生 新潮文庫
平成4年11月25日 発行


目次
第1部 君主編
第2部 国家編
第3部 人間編






マキアヴェッリ(日本ではマキャベリと表現されることが多い)
は『君主論』の著者として知られ、「マキャベリズム」が
人口に膾炙しています。


その思想を端的に表現する言葉は、
「目的は手段を正当化する」
です。


目的のためならどんな手段を講じてもかまわない、と解する
ことが多いですね。


実は、私もこの書を読むまではそのように解釈していました。
言葉を文脈の中で解釈せず、言葉が独り歩きすることの怖さは、
風説の流布でも経験することです。


福島第一原発事故以後、周辺にお住まいの方々は風説の流布
に悩まされ続けています。拡散した誤情報はさらに誤情報を加え、
拡大していきます。容易に訂正されることはありません。



話しを戻しますと、マキアヴェッリの実像はどのようなもので
あったのか、そして「目的は手段を正当化する」と言っている
ことの真意は何だったのか、を知りたいと思いました。


先入観を取り払い、大前研一さんが言う、「オールクリア
(電卓のAC)」にしてマキアヴェッリの説くことに耳を傾ける
ことにしました。


マキアヴェッリは、1469年5月3日にイタリアのフィレンツェで
生まれ、1527年6月21日に没しています。15世紀から16世紀
にかけて活躍した思想家です。500年位前の人です。


ニッコロ・マキャヴェッリの肖像画

ニッコロ・マキャヴェッリの肖像画 Wikipedia から
 


塩野七生(しおの・ななみ)さんは、「まえがき」に代えて
「読者に」で次のように記しています。塩野さんが解説
ではなく、また要約でもなく、「抜粋」にした理由を説明
しています。


尚、10ページ以上にわたる説明からポイントとなる言葉を
「抜粋」しました。




 この『マキアヴェッリ語録』は、マキアヴェッリの思想の

 要約ではありません。抜粋です。

 なぜ、私が、完訳ではなく、かといって要約でもなく、

 ましてや解説でもない、抜粋という手段を選んだのかを

 御説明したいと思います。

 第一の理由は、次のことです。

 彼が、作品を遺したということです。


 マキアヴェッリにとって、書くということは、生の証[あか]し、

 であったのです。


 マキアヴェッリは、単なる素材ではない。作品を遺した

 思想家です。つまり、彼にとっての「生の証し」は、今日

 まで残り、しかもただ残っただけではなく、古典という、

 現代でも価値をもちつづけているとされる作品の作者でも

 あるのです。生涯を追うだけで済まされては、当の彼自身

 からして、釈然としないにちがいありません。


 抜粋という方法を選んだのには、「紆曲」どころではない

 マキアヴェッリの文体が与えてくれる快感も、味わって

 ほしいという私の願いもあるのです。そして、エッセンスの

 抜粋ならば、「証例冗漫」とだけは、絶対に言われない

 でしょう。


 しかし、彼の「生の声」をお聴かせすることに成功した

 としても、それだけでは、私の目的は完全に達成された

 とはいえないのです。マキアヴェッリ自身、実際に役に立つ

 ものを書くのが自分の目的だ、と言っています。 

 

  (前掲書 「読者に」から PP.3-5、14)




マキアヴェッリの名言をご覧ください。


第1部 君主編



 君主は、自らの権威を傷つけるおそれのある妥協は、

 絶対にすべきではない。たとえそれを耐えぬく自信が

 あったとしても、この種の妥協は絶対にしてはならない。

 なぜならほとんど常に、譲歩に譲歩を重ねるよりも、

 思いきって立ち向かっていったほうが、たとえ失敗に

 終わったとしても、はるかに良い結果を生むことになる

 からである。

 もしも、正面衝突を回避したい一心で譲歩策をとったと

 しても、結局は回避などできないものだからだ。

 なにしろ、譲歩に譲歩を重ねたところで相手は満足する

 わけでもなく、それどころか相手の敵意は、あなたへの

 敬意を失ったことによって、より露骨になり、より多くを

 奪ってやろうと思うようになるのがオチなのだ。


                    ―― 『政略論』 ――

                              (PP.108-109)

         (025-1-0-000-502)
 



 


 指導者ならば誰でも、次のことは心しておかねばならない。

 それは、個人でも国家でも同じだが、相手を絶望と怒りに

 駆りたてるほど痛めつけてはならないということだ。

 徹底的に痛めつけられたと感じた者は、もはや他に道なし

 という想[おも]いで、やみくもな反撃や復讐[ふくしゅう]に

 出るものだからである。

  
                    ―― 『政略論』 ――

                              (P.110)

          (026-1-0-000-503)
 






 元老院議員の中には、戦争経験豊かな人物は多かった。

 だが、現場にいないことと、それゆえ作戦実施に際して

 必要な種々の小さな、しかし生きた情報に接しられない

 立場にあっては、危険はやはりまぬがれない。

 それゆえに、古代ローマでは、軍を率いる指揮官は自らの

 考えるままに行動し、勝利の栄誉も、彼個人のものである

 ようにしたのであった。


                    ―― 『政略論』 ――

                              (PP.113-114)
                              
          (027-1-0-000-504)
 








ポイント

人間を「性善説」と「性悪説」に基いて、分けることがあります。
さしずめ、マキアヴェッリは[性悪説」に基づいて、人間観察を
している、と考えています。


君主(指導者、リーダー)は、「性悪説」に則り、国民や部下を
扱っていかないとならない、ということになります。


ある意味では、「信賞必罰」で臨む必要がある、ということです。
成果を挙げたものにはカネを、信用、信頼できる者には地位を
与えるのです。


成果を挙げられないものにはカネを与えず、信用、信頼でき
ない者は放逐することになります。


そのように、君主には「非情さ」が必要である、と教えている、
と考えています。


ただし、相手を追いつめてはなりません。
必ず、逃げ道を作っておいてやる必要はあります。
手痛い報復や逆襲に遭わないためです。


「窮鼠猫を噛む」の例え通り、開き直られると怖いもの知らず
となり、非常に危険だからです。







キーセンテンス

現場にいないことと、それゆえ作戦実施に際して
必要な種々の小さな、しかし生きた情報に接し
られない立場にあっては、危険はやはりまぬが
れない。



『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』
野中郁次郎他 中公文庫 1991年8月20日 初版発行
に日本軍の作戦の失敗の本質が語られています。


マキアヴェッリが語った内容と酷似しています。


この書の中から、一例を挙げます。
「ノモンハン事件」についての分析です。


 第二三師団の攻撃の場合は、ソ連軍に比較して火砲数、

 とくに弾薬量が少なく、また火砲自体の性能も劣っていた。

 さらに敵情の捜索、観測を十分に行なわずに実施した

 攻撃が失敗するのは当然であった。

 第一次世界大戦において見られたような本格的近代戦の

 実践的体験を持たない日本軍は、物力の意味を理解して

 いなかった。弱体もしくは少数の戦車、航空兵力、砲兵力

 をもって、ソ連軍が構築した近代式陣地を突破しようとした

 のは本来無理であり、結局攻撃部隊はソ連軍砲兵の猛射

 を浴びて大損害を出し、攻撃は停頓した。
 

  (前掲書 P.57)




 ノモンハン事件は日本軍に近代戦の実態を余すところなく

 示したが、大兵力、大火力、大物量主義をとる敵に対して、

 日本軍はなすすべを知らず、敵情不明のまま用兵規模の

 測定を誤り、いたずらに後手に回って兵力逐次使用の誤り

 を繰り返した。情報機関の欠陥と過度の精神主義により、

 敵を知らず、己を知らず、大敵を侮っていたのである。
 

  (前掲書 P.68)






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本当に役に立つビジネス書
『お金の流れが変わった!』
新興国が動かす世界経済の新ルール
PHP研究所 2011年1月5日 第1版第1刷









<目次>
第1章 超大国「G2」の黄昏
 Ⅰアメリカ-「唯一の大国」はいかにして崩壊したか
 Ⅱ中国-バブル崩壊はいつやってくるか

第2章 お金の流れが変わった!
 Ⅰ「ホームレス・マネー」に翻弄される世界
 ⅡEU-帝国拡大から防衛のシナリオ
 Ⅲ新興国ー21世紀の世界経済の寵児

第3章 21世紀の新パラダイムと日本
 Ⅰマクロ経済政策はもう効かない
 Ⅱ市場が日本を見限る日
第4章 新興国市場とホームレス・マネー活用戦略
 Ⅰ新興国で成功するための発想
 Ⅱ日本経済再成長の処方箋



 
Ⅱ日本経済再成長の処方箋



 私にいわせれば、所得税率は上げるのではなく、

 むしろ下げるべきだ。

 所得税率を下げて税収が減った国などない。

 レーガン時代のアメリカも、サッチャー時代の

 イギリスも、所得税率を下げて下げることで
 
 税収は大いに増えた。

 理由は簡単で、正直に申告しようとする者が

 増えるからだ。

 金持ちの手元の現金が多く残れば、彼らが消費

 を牽引するという効果もある。

                
(今日の名言 20  通算 516 )

 



 個人の固定資産と金融資産の総計は3500兆円

 程度であるから、ここに毎年1パーセント程度の

 税金をかければ35兆円の税収となる。

 これは金持ちに対する正当な要求だろうし、

 所得の伸びない日本では貴重な財源となる。

 これなら、もたざる者は税金を払わなくてすむし、

 余分な資産をもっている人はそれを売却するという

 選択をすればよいだけだ。

                
(今日の名言 21  通算 517 )





 減価償却期間の短縮は、税金を使わない景気刺激策

 の最大の起爆剤である。

 財源のないいま、日本政府はこの力について認識を

 新しくすべきだろう。

                
(今日の名言 22  通算 518 )





 日本は世界では20分の1、中国経済に対しては

 10分の1の存在価値しかない国家。

 悔しいが、これがリーマン・ショック後の世界から

 突きつけられた日本の40年後の姿なのである。

 このままいけば2020年には中国のGDPは日本

 の倍になり、さらに10年もすればインドにも

 抜かれるだろう。

 そのときにはブラジルやインドネシアがすぐうしろ

 に迫っているはずだ。

 いずれにせよ日本は早晩、経済大国の看板を下ろさ

 ざるをえない。

                
(今日の名言 23  通算 519 )





円安が進行し、93.60ー.62円/ドル(2013年2月14日現在)
で取引されています。


円安傾向が進行すればするほど、自動車産業などの輸出
基幹産業は収益が大幅に改善されます。


今まで円高に苦しめられてきた呪縛を解かれ、一気に回復
することでしょう。


一方で、原油や食料品など、商品によっては90%近くを輸入
に頼る日本は物価が上昇しています。


インフレターゲットで2%の上昇を目指す自民党政権の思惑
通りいくとは限りません。


2%どころか4%~5%、極端な場合10%以上の物価上昇に
なることもありえます。

所得税に関して言えば、医師優遇税制と宗教法人への課税
強化は実施すべきだと考えますが、いかがですか?


開業医は所得の72%が経費と認められ、所得のわずか28%
にしか課税されません。


日本医師会は開業医のための団体で、長年にわたって
自民党に献金してきました。


ですから、残念ながら、この構造は変えられないでしょう。


宗教法人への課税強化は可能ではないでしょうか。
お坊さんは、宗教法人から給料をもらっている構図になります。
お坊さんの中には高級スポーツカーを乗り回す人がいますが、
宗教法人名義にしているため、本人の懐は傷みません。


以上2例は、私たち一般人とはかけ離れた存在ですね。


長らく、『お金の流れが変わった!』の中から名言をご紹介して
きましたが、今回で終わりになります。


次回からは『リーダーの条件が変わった!』を取り上げる予定
です。


ご期待下さい!






以上の記事は、2013年2月14日のものです。


2年で円安がさらに進行しました。
現在では、1ドル120円台で推移しています。


円安、円高というのは相対的なものです。


ある基準日と比較して、円安、円高と言っているに
過ぎません。


固定相場制が施行されていた当時の為替は、
1ドル=360円でした。


ところが、ニクソン・ショック(1971年8月15日)
以後、変動相場制に移行し、円高が進みました。


360(円)→ 300 → 250 → 230 → 200
180 → 160 → 140 → 120 → 100 → 80
→ 100 → 120 → ?


本来、自国通貨は、経済が強ければ、円高になります。
弱ければ、円安になります。


今や、日本円は世界で最も安全な通貨の一つとなり
ました。ただし、基軸通貨は依然として米ドルです。
世界中で流通するのは米ドルです。


今後、円安が更に進行するのか、あるいは逆に、
円高になるのか、為替の専門家でも見解が別れます。


円安にせよ円高にせよ、メリットとデメリットの両面が
あることは、ご存じのとおりです。


輸出産業にとっては、ドル建て決済が通常ですから、
円安になると、増益になります。円高になると、
減益になります。


輸入産業にとっては、輸出産業での状況の真逆のことが
起こります。


消費者の立場から見ると、円安になると輸入品の値段が
高くなり、円高になると安くなります。


では、ドルのまま受け取ればいいではないか、と考える人
がいますが、給料をドルで受け取れますか?


必ず、円転(ドルから円に転換)しなければなりません。
日本国内では、ドルのままで、ものを買うことはでき
ませんね。 






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