🔷「結婚前」の中の「初デート」を掲載します。🔷
タイトルは『由美子のいなくなった夏 亡き最愛の妻への想い』
(ハードカバー 四六版 モノクロ264ページ)です。
2016年1月25日 発行
著者 藤巻 隆
発行所 ブイツーソリューション
✍『由美子のいなくなった夏 亡き最愛の妻への想い』(第18回)✍
「結婚前」の中の「初デート」を掲載します。
結婚前(3)
初デート
平成二年(一九九〇年)九月二十八日の出来事でした。当社の決算日は九月三十日でした。その日は金曜日(しかも大安)で、翌日は土曜日で会社は休みでした。
終業時刻が近づいた頃、由美子から「今夜お時間はありますか? 食事をご一緒にいかがですか?」と誘われました。すでに由美子に好意を抱いていた私に、断る理由はありませんでした。二人きりの楽しいディナータイムを過ごし、気が付くと、すでに深夜十二時近くになっていました。
帰ろうとした時に、突然、「今夜は帰りたくない。終電に間に合わないので帰れないから」と由美子が言い出しました。私は戸惑いながら、由美子のご両親の元へ由美子を送り届けるのが男だと考えていました。「ご両親が心配するから、送っていくよ」と私は言いました。
ところが、由美子はどうしても私の言うことを聞こうとしませんでした。「家に電話して」と私が言っても電話しません。当時、携帯電話はまだありませんでしたので、公衆電話から電話するしかありませんでした。どうしても由美子は電話しようとはしませんでした。私は諦めました。その晩はホテルに泊まることにしました。
その頃、我が家では大騒ぎになっていました。そんなことはまったく考えていませんでした。母は心配性で、私がいつまでも帰宅しないことで不安になり、心当たりのあるところに片っ端から電話したことを後日知ることになりました。電話を受けた方々に大変ご迷惑をおかけしました。この場をお借りしてお詫びいたします。
由美子のご両親に連絡もせず、交際の許しをまだいただいていないお嬢さんと一晩過ごしたことは、ご両親にたいへん申し訳なく思いました。反省と同時に、たいへん複雑な気持ちになりました。
この一件以来、結婚を前提に由美子と真剣に交際することを心に決めました。もう後戻りできない! 「男はだまって・・・」という当時の流行語を思い出しました。
人生には決断すべき時が何度もあると思います。これが、そのうちの最も大切な一つだったと思っています。
(PP.48-50)
➳ 編集後記
第18回は「結婚前」の中の「初デート」を書きました。
私が由美子に好意を抱いていた以上に、由美子は私に好意を抱いていたことを実感しました。私に決断を迫ったのです。今でもその決断は間違っていなかったと信じています。