日経ビジネスのインタビュー(179) 1兆円達成で挑む次の10年 | 藤巻隆(ふじまき・たかし)オフィシャルブログ

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1兆円達成で挑む次の10年
2015.07.13

平野 信行(ひらの・のぶゆき) 氏

[三菱UFJフィナンシャル・グループ代表執行役社長]





 2005年に三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が

 発足して今年でちょうど10年を迎えるわけですが、

 私どもが積み重ねてきた努力が一定の成果を上げた

 と言うことはできます。しかし、今なおできていない

 ところ、あるいは挑戦しなくてはいけないところが

 むしろ明確になりました。次の10年をどう考えようか

 ということから見つめ直し、このほど中期経営計画を

 1年かけてまとめたところです。


 シニア世代を中心に個人金融資産は1700兆円規模あると

 言われていますが、これを次の世代に継承していくという

 動きが強まるのは間違いありません。「運用」と「継承」に

 大きな流れができるでしょう。


 大企業と中堅・中小企業の金融サービスを別々に捉える

 のではなく、両者をつなぐ役割が果たせるのもメガの強み

 ですね。


 注目している分野の一つが、金融とEコマース(電子商取引)

 の境界領域です。金融機関がEコマースをどう扱うのか、

 この分野に参入する自由度は欲しいなと思っています。

 具体的には決済のビジネスを「B to B プラスC」に広げて、

 企業間取引と消費者をつなげる新しいサービスが提供でき

 ないかと考えています。


 Eコマースの運営企業は決済や取引履歴を得ることができ

 ます。これを基に私どもがテナント企業に運転資金を提供

 するなどして、信用力を下支えできないだろうかと考えて

 います。これは必ずしも銀行が手掛けなくてもいい。

 例えば、グループ傘下の三菱UFJニコスはクレジットカード

 会社でありながら、ペイメント(代金決済)サービスの

 機能も持っていますから。


 私どもは国内にしっかりと軸足を置いて、そのうえでさら

 なる成長の機会を海外に求めていきます。これは次の10年も

 揺るがない。

 なぜかというと、これは2008年秋のリーマンショックの時に

 痛いほど経験したことですが、国内に比べて海外の事業基盤

 が過大になった金融機関が経済環境の悪化に対していかに

 脆弱なことか。端的にはスイスの金融機関がそうですし、

 オランダ、英国など枚挙にいとまがありません。

 でも私たちは違う。米中に次ぐ世界3位かもしれないけど、

 日本という極めて大きな経済圏を持っている。


 規模を追うよりも市場、お客様ごとにきめ細かく対応すること

 が海外戦略のコアです。


 まずシャープが様々な課題を抱えていることは間違いありま

 せん。私どもは2013年、金融支援だけでなく人材も送り込み、

 一緒に経営改革に取り組んできたという思いです。


 私どもも反省するところは多くあります。

 だからこそ、シャープが持続的な発展をできるように改めて

 支援していこうというわけです。


 今回は同じ過ちを繰り返してはいけないわけですから、

 私どもも思い切ったサポートを行うし、シャープにも思い切った

 改革をやってもらう。先だって発表された事業計画では詳細が

 明らかになっていないところや課題がいくつもある。

 だから不退転の覚悟で迅速に意思決定し、具体的な施策を

 実行に移してもらう。それを一緒になってフォローしていきたい

 と思います。


 どちらかと言えば三菱グループが従来、率先して株式をお互い

 に持ち合ってきたのは事実でしょう。でも三菱グループでも

 経営の課題は率直に申し上げる。先方は銀行のそのやり方は

 悪いんじゃないかと率直に言われます。その関係はどの企業

 とも同じです。
 

  (PP.082-085)




三菱UFJフィナンシャル・グループ代表執行役社長 平野 信行 氏

三菱UFJフィナンシャル・グループ代表執行役社長 平野 信行 氏
(『日経ビジネス』 2015.07.13 号 P.083)
「日経ビジネスDigital」 2015.07.13






タイトルの中の「1兆円達成」とは、「前記決算で最終的
なもうけを示す連結純利益が邦銀で初めて1兆円を超え」
(P.082)たことを指しています。


金融機関のトップとして、平野さんは一歩踏み込んだ
意見を述べています。


「私どもは2013年、金融支援だけでなく人材も送り込み、

 一緒に経営改革に取り組んできたという思いです。


 私どもも反省するところは多くあります。だからこそ、

 シャープが持続的な発展をできるように改めて支援して

 いこうというわけです」



シャープは現在、相当厳しい状況にあります。
以前、『日経ビジネス』は「シャープの解体は免れない」
という主旨で記事を掲載したことがあります。



 「一体全体、誰が事業を見るんだ」

 方志(教和専務)と中山(藤一専務)を取締役から

 外す人事に、各工場から悲鳴が上がった。

 液晶パネルや電子部品の技術に明るい方志と、

 複写機事業に精通した中山は現場の人望も厚く

 「自力再建」を引っ張るけん引車だった。


 髙橋(興三社長)が何を言おうと、銀行には逆らえ

 ない立場に今のシャープは置かれている。

 方志、中山が姿を消した今、「解体」の流れを止め

 られる人間は、社内に残っていないだろう。

 もちろん、今すぐ「解体」というわけではない。

 事業売却には買い手が必要だし、撤退する場合も

 顧客に迷惑はかけられない。
 

  (『日経ビジネス』 2015.05.25 号 
  「それでもシャープは解体される」 P.020)


三菱UFJフィナンシャル・グループは、シャープを支援し
続けることができるのか、という点が一番の注目点です。





キーセンテンス


キーセンテンスは、

 注目している分野の一つが、金融とEコマース 
 (電子商取引)の境界領域 
です。


このキーセンテンスに続いて、平野さんは次のように
述べています。


「Eコマースの運営企業は決済や取引履歴を得る

 ことができます。これを基に私どもがテナント企業

 に運転資金を提供するなどして、信用力を下支え

 できないだろうかと考えています」


つまり、三菱UFJフィナンシャル・グループは、
Eコマースの運営企業(アマゾンや楽天など)と、
テナント企業の間に入り、テナント企業に資金面の
サポートをしていきたいという意向の表明です。


それは、テナント企業にとって「金融機関の信頼性が
強みにな」(P.084)るからです。






私見



下の表をご覧ください。
世界のトップ1000銀行ランキングのベスト10の
顔ぶれです。


三菱UFJフィナンシャル・グループは10位に
ランクインしています。


ですが、徐々にランクが下がってきています。
一方、中国系銀行は4行がベスト10にランクイン
していて、しかも大きくランクアップしていること
がわかります。


The Top 1000 Banks in the World 2014

The Top 1000 Banks in the World 2014

The Top 1000 Banks in the World 2014
Financial Services Club Blog by Chris Skinner から



三菱UFJフィナンシャル・グループには、
何とかベスト10位内に踏み止まってほしい
と思います。


グローバルバンクとして、国内、海外で
プレゼンス(存在感)をさらに高めてもらい
たいものです。







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