今週の言葉(88) ソニーの礎は「ドキドキ」 失敗してこそ人は育つ 萎縮していては明日はない | 藤巻隆(ふじまき・たかし)オフィシャルブログ

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ソニーの礎は「ドキドキ」
失敗してこそ人は育つ
萎縮していては明日はない


盛田 昌夫(もりた・まさお)氏
[ソニー・ミュージックエンタテインメント
代表取締役会長]




 ソニーの創業者である盛田昭夫の次男として生まれ、

 もう1人の創業者・井深大と盛田が働く姿を子供の頃

 から見てきました。強烈なリーダーたちの行動の原動力

 を私なりに言うならば、「ドキドキする気持ち」ではないか

 と思っています。

 
 人間は未知のものに実際に触れ、自分で体験した時に

 ドキドキします。井深・盛田はその気持ちを大切にし、

 楽しんでいた人たちでした。

 このドキドキは人から教わるだけでは実感できません。

 自分で行動して初めて分かるものです。そのことを知って

 いる盛田の教育は徹底していて、子供の頃は何も教えて

 くれなかった。「昌夫どう思う?」と言って答えを言わない。

 「自分で考えてみなさい」で終わり。全てがこの調子です。


 おかげで生き延びるために必要な行動力と楽観的な

 考え方を身につけることができたと思っています。
 

 米国のモルガン銀行を経て1981年にソニーに入社しました。

 今日までハード分野を15年間、ソフト分野を15年間やって

 きました。不思議なもので、人生の節目に、技術やサービス

 の革新に直面してきました。

 例えば、ソニー・ミュージックエンタテインメントに来た98年

 には音楽のデジタル配信サービスが出てきました。


 確かにレコードやCDを売るというビジネス自体は減っていく

 かもしれません。が、人が音楽を聴くこと自体は絶対になく

 ならない。アーティストを発掘して育てるという音楽ビジネス

 の基本は変わりません。


 ここで大切なのは、「新しいアイデアがあれば、萎縮せずに

 まずやる」ということです。まず人より先にやる。そうすれば

 失敗しても、2度目の挑戦ができます。

 ただし、部下に「やってみろ」と言うだけでは無責任です。

 挑戦にはリスクが伴います。最近の人たちは頭がいいので、

 やる前にいろいろ考えて失敗しそうだと思うと何もやりま

 せん。トップが責任をとる姿勢をみせることも大切です。


 「ドキドキする気持ち」の楽しさを社員一人一人がもう一度

 実感する。そうすれば、これからも感動を伝えられる企業で

 あり続けられると確信しています。



 
             (2015.04.27・05.04 合併号から) 

 




ソニー・ミュージックエンタテインメント<br />代表取締役会長 盛田 昌夫 氏

ソニー・ミュージックエンタテインメント
代表取締役会長 盛田 昌夫 氏

「日経ビジネス」 2015.04.27・05.04 合併号 P.001
「日経ビジネスDigital」 2015.04.27・05.04 合併号




キーワードは、 ドキドキ感 です。



「盛田の教育は徹底していて、子供の頃は何も教えて
くれなかった。『昌夫どう思う?』と言って答えを言わない。
『自分で考えてみなさい』で終わり」
と盛田昌夫さんは語っています。


私は、こうした教育法が大切だと思っています。
と言いますのは、親あるいは教師が答えを教えると、
刷り込み(ある種の洗脳)が行われるからです。


必ずしも親や教師の答えが正解とは限りません。
日常生活や仕事をする上で、正解が前もって用意されて
いるわけではなく、答えは1つとは限らないからです。


大前研一さんは、その点を自著で指摘しています。
全く同感です。


さらに問題なのは、自分で考えるという、とても重要な
習慣が身につかなくなるからです。


テレビは典型的な二分割思考(精神科医の和田秀樹さん
が著書の中で述べています)です。0か100という考え方
です。0と100の間には1~99まであります。それを無視
する考え方です。あまりに物事を単純化しすぎます。



「ドキドキする気持ち」が大事、とも盛田さんは述べています。
しかも、「ドキドキは人から教わるだけでは実感できません。
自分で行動して初めて分かるものです」と説明しています。


私の造語に、「自調自考自動(自分で調べ、自分で考え、
自ら行動する)」があります。実を言いますと、「自調自考」
は中高一貫教育の進学校、渋谷教育学園幕張の教育方針
です。その「自調自考」に「自動」を加えました。


盛田さんが指摘していることは、まさにこのことです。
そして、父親の昭夫さんは息子の昌夫さんに素晴らしい
教育を施しました。


『日経ビジネス』(2015.04.20 号)の特集は「ソニーが変わ
れぬ10の理由」でした。


<参考>
日経ビジネスの特集記事(104)
 ソニーが変われぬ 10の理由(1)


日経ビジネスの特集記事(104)
 ソニーが変われぬ 10の理由(2)


日経ビジネスの特集記事(104)
 ソニーが変われぬ 10の理由(3)



盛田さんのお話を読んで、社員に「ドキドキする気持ち」
をもう一度実感してほしいという、切実な想いが伝わって
きました。


製品を企画・製造・販売する社員にワクワクドキドキ感が
なければいけないと思うのです。その気持ちがないと、
消費者に想いが伝わってこないばかりか、消費者からも
ワクワクドキドキ感が生まれてきません。購買意欲が湧いて
きません。


ソニーに元気がなくなったように見える根本原因は、
「そこだ」、と考えています。




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