トイレの紙まで変える
その先に大きな飛躍がある
成毛 眞(なるけ・まこと)氏
[元マイクロソフト日本法人社長]
俺のやり方に絶対に口を出すな。それが社長を
引き受ける条件だ――。
マイクロソフト日本法人の社長を引き受ける時、
前任者にそう言いました。そして、就任して最初の
仕事は、当時の副社長に「辞めてくれ」と引導を
渡すことでした。
狙いは指揮系統のラインを1本にすること。
それが現場の社員を働きやすくするのに何より
必要なことだからです。
私が社長の時は「副」が付く役職は一切置きません
でした。平社員から課長職や部長職がいて、私が
いて、その先にビル・ゲイツまで1本のラインでつな
がる形にしました。
グローバル化の拠点が米国なら、日本の担当者は
米国の担当者と直接やり取りするのが一番ムダが
ない。となれば、その瞬間から英語を使わざるを得ない。
現場の士気が上がって私がやらなきゃいけないことは
減り、すぐに黒字化。なぜ多くの企業がそうしないのか
不思議です。
トップに立つ時、何より大事なのは、変えること。
私が後任に引き継ぐ時に言ったのは「トイレットペーパー
まで変えろ」。銘柄も色も変えろ、徹底的にやらないと
2年でクビだぞ、と。
2年後、後任が交代することになった時、「俺がトイレット
ペーパーまで変えろと言ったのを覚えているか」と聞くと、
答えは「冗談だと思ってました」。
トップが「現場目線」で何かを変える。すると現場に
「変われる」「変わっていいんだ」という気持ちが芽生えて
きます。その先の「大きな変化」は、そこから始まります。
(2015.03.02号から)

元マイクロソフト日本法人社長 成毛 眞 氏
「日経ビジネス」 2015.03.02 号 P.001
キーワードは、「現場目線」で何かを変えるです。
日本企業や公官庁には、「副」や「次」、
「補」(「補佐」)等の付く役職が多数存在します。
副社長、次長、副支店長、課長補佐、副主任、
次官、次官補・・・・・。
肩書の乱発です。
どんなに肩書を作っても、肩書と仕事の上の
明確な違いがなく、直属の上司が異動したり、
栄転(?)したら、部下が自動昇格するのでは
意味がありません(他部署から横滑りしてくる
こともあります)。
ですが、現実にはこのような人事が頻繁に
行われていますね。
あなたの会社ではどうですか?
トップが交代する時には、成毛さんが指摘して
いるように、「小さなこと」であっても前任者が
行ってきたことを変えることに躊躇していては
後任を任された意味がありません。
ただ、伝統のある日本企業の場合、なかなか
「変える」ことができません。「前任者のやり方に
敬意を払い、継承してまいります」といった就任
挨拶をすることが多いように見受けられます。
その点、外資企業ではそのような態度では解任
されます。変な「しがらみ」がないからかもしれません。
「なぜ交代するのか」「何が求められているのか」
を熟慮して、前任者のやり方を否定することから
始まるのです。
これは「言うは易く行うは難し」です。
「トップが『現場目線』で何かを変える」心構えが
不可欠でしょう。
人間は変化を嫌う傾向があります。
現状維持のほうが居心地がいいからです。
ぬるま湯につかっている方が気持ちがいいです
からね。ですが、それでは「ゆでガエル」になって
しまいますぞ。
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