日経ビジネスの特集記事(59) デュポン 200年企業が見る未来(2) | 藤巻隆(ふじまき・たかし)オフィシャルブログ

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<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の
概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>



日経ビジネスの特集記事(59)

デュポン
200年企業が見る未来

2014.06.02


今週の特集記事のテーマは

「会社の未来」をどう描き、歩むべき道を決めるのか。
自らこう問うてきたのが、創業212年の米デュポンだ。
100年単位の戦略で動く米国の巨人は、何を見据えて
いるのか

ということです。


今回は、まず下図をご覧ください。
デュポン、独BASF、ダウ・ケミカル、三菱ケミカル
ホールディングスの4社の比較が出ています。


少し見にくいかもしれませんが、円グラフで、農業関連
事業(赤色)の比率で、デュポンが突出していることが
見て取れますね。

『日経ビジネス』 2014.06.02号 P.038

(『日経ビジネス』 2014.06.02号 P.038)



 
PART2 未来に不要なら中核でも手放す

デュポンの凄さは、現在中核事業となっていても、
未来に不要なら手放すことです。


目先の利益よりも長期的視野(100年単位)に立って、
事業経営を行うというコーポレート・カルチャーが
あるからです。


デュポンの製品で消費者に知られているものの一つに、
テフロンがあります。他にナイロンがあります。


例えば、テフロン加工されたフライパンなどをご存知だ、
と思います。


テフロンを含むデュポンの主要事業の一つだった高機能
化学部門を分社化するそうです。


 2013年、この部門(高機能化学部門)の売上高は、

 67億ドル(約6800億円)、営業利益は約10億ドル

 (約1000億円)だった。それぞれ全社に占める割合は、

 18%(ナイロン)、17%(テフロン)と主力事業の

 一角だ。利益率では15%だから優良事業と考えていい

 だろう。
 

  (P.036)


優良事業を本体から切り離すだけでなく、他社への売却
も検討するそうです。


通常では手放すことはできないでしょう。
敢えてそこまでしようとするのは、なぜなのでしょうか?


その理由を象徴するような言葉があります。


 「トランスフォーメーション(事業の再編)は

 デュポンのDNAの一部になっている」

 こう語るのは、1998年から2008年までデュポンを

 率いた前CEOのチャールズ・ホリデー氏(現バンク・

 オブ・アメリカ会長)だ。
 

  (P.036)


デュポンの歴史を振り返ってみましょう。


 デュポンのスタートは火薬製造だった。

 フランス革命の混乱から米国へ逃れてきた

 創業者のエルテール・イレネー・デュポンが、

 仏政府で研修を受けた経験がある火薬製造を、

 米国での最初の事業に選んだ。


 決定打は第1次世界大戦の集結だ。需要急減

 で大規模な人員削減を余儀なくされた。火薬

 製造に固執していては、企業は存続できない。


 火薬で培った化学のノウハウを生かし、合成皮革

 や樹脂、塗料、染料などの分野に次々と参入した。


 1935年には、ナイロンの基礎となるポリマーを

 開発した。


 衣類の歴史を変え、化学品メーカーとして20世紀

 の繁栄を謳歌する。


 その方向を大きく転換したのが、1998年にCEOに

 就任したホリデー氏だ。


 現在進めているバイオ技術を活用した総合科学企業

 への転換だった。

 火薬で100年、化学品で100年、そしてバイオ技術

 で100年――。

 一方で、会社が目指す戦略に合わないと判断すれば、

 すっぱりと事業を手放してきた。
 

  (P.036、38)


上図をもう一度ご覧ください。
日本の化学大手、三菱ケミカルホールディングス
(以下、三菱ケミカル)がありますね。


三菱ケミカルとデュポンの比較をしている個所があります。


 5月13日、三菱ケミカルは産業ガス大手の大陽日酸の

 買収を発表した。これによって、売上高で三菱ケミカル

 がデュポンをしのぐことを話題を呼んだ。

 ただし、指標を株式時価総額に変えると様相は一変する。

 5月21日時点で三菱ケミカルの時価総額は約6200億円、

 それに対しデュポンは約6兆2000億円とほぼ10倍になる。
 

  (P.039)

企業価値はデュポンは、三菱ケミカルの10倍あるということ
になります。投資家がデュポンを高く評価しているとも言えます。



PART3 長い視野でも敏捷に

デュポンのコーポレート・カルチャーの一つに、
「経営を超長期に考えること」があります。


なかなか100年後を考えることは難しいことだ、
と思います。


「3年先さえ読めない」という経営者は数多くいます。
デュポンには超長期に考えるノウハウが蓄積されて
いるからでしょう。


ただ、長期的視野で考える一方で、今まさに事業を
行っているわけで、「長期」と「短期」をどのように
両立させているのかという点が気になりました。


 デュポンでは、どうやって「長期」と「短期」

 を両立させようとしているのか。その問いを

 エレン・クルマンCEOにぶつけてみたところ、

 「アジリティ(敏捷さ)」という答えが返って

 きた。
 

  (P.040)


デュポンと言えども、読み違えることはあります。
その際に大切なことは「アジリティ」に軌道修正し、
実践するということでしょう。


デュポンに関するキーワードは「イノベーション」です。


イノベーションには、大別すると技術の革新と、
もっと広い意味の、例えば、経営や考え方の革新など
の2つがあります。


デュポンは化学メーカーですから、技術の革新の意味の
イノベーションを中心に据えているように思います。


 「イノベーションが起きるのは研究所だけではない。

 市場、顧客との関係からも生まれる」。センターの

 世界展開を推進したチーフ・イノベーション・オフィ

 サー(CIO)のトム・コネリー上級副社長は言う。
 

  (P.041)


デュポンの凄さは、たぶんもっとずっと幅も深さもある、
と思います。


デュポンに興味を持ちましたか?


今特集には、エレン・クルマンCEO(最高経営責任者)
への編集長インタビューが掲載されています。


これから他のブログで取り上げますので、そちらもぜひ
ご覧ください。





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