よく取り上げられる理由(1)
マザー・グースとは何か?
マザー・グースをご存知でしょうか?
英米ではマザー・グース(Mother Goose)を
通常、ナーセリー・ライム(Nursery Rhymes)と
呼んでいます。
日本では、マザー・グースのほうが知られて
いますので、以後は、マザー・グースに統一
します。
マザー・グースは伝承童謡です。
英米人にとっては、幼少時から慣れ親しんだ
ものです。
『ロンドン橋』の歌は聞いたことがあるかも
しれませんね!
London Bridge is broken down,
Broken down, broken down
London Bridge is broken down,
My fair lady.
早口言葉もあります。
Peter Piper picked a peck of pickled pepper;
A peck of pickled pepper Peter Piper picked;
このセンテンスを繰り返します。
Pの連続で英米人でも舌がもつれるのかもしれません。
tongue-twister(舌をもつれさせるもの→早口言葉)と
言います。
英米の新聞や雑誌、小説にマザー・グースの一部が
引用されることがあります。
英米人は幼少時から慣れ親しんでいるため、引用文を
見ると、新聞や雑誌の文脈の中でどう使われているか
直感的に理解できるのです。
私たち日本人は、マザー・グースにあまり親しんで
いないため、マザー・グースの引用文がどのような意味
なのか理解できないことが多いのです。
そのため、非英語圏の私たちにはなかなか深く理解する
ことはできませんね。
特に、マザー・グースなどはそうかもしれません。
童謡だからとバカにしてしまう傾向があるからです。
ですが、言葉と文化は不可分お関係があるので、とても
重要な部分なのです。
文字どおりに(literally)、意味は分かったとしても、
マザー・グースの一部が引用された原典の前後が
分からないと、つまりどのような文脈で使われていた
のかを知らないと、深く理解できないのです。
引用文の背景を知っていると、新聞や雑誌の文章の
「奥行き(深み)」を感じることができるわけです。
英語圏の言葉や文化のバックグラウンドの知識が
欠かせません。
言葉は単独で成立したものではありません。
必ず文化とつながっています。
マザー・グースの知識は、聖書やギリシャ神話、
ローマ帝国の歴史などの知識が不可欠なことと
同様に、大切な意味を持っています。
マザー・グースは童謡
マザー・グースに相当するものが、日本にもあり
ますね。昔から伝わる童謡です。
『どんぐりころころ』『めだかの学校』『赤とんぼ』
『海(は広いな大きいな)』『ぞうさん』『赤い靴』
など、たくさんあります。
小さいころのことを思い出してください。幼稚園や
保育園、小学校で歌いませんでしたか?
マザー・グースの原典
私がマザー・グースを知ったのは、大学に入学して
からのことでした。
平野敬一さんの
『マザー・グースの唄―イギリスの伝承童謡 』
(中央公論新社 (1972/01))
を読んだことがきっかけでした。
マザー・グースの中から、英米人に親しまれて
いる言葉を紹介している本です。
平野さんは、文化的背景を理解するがとても
大切であることを指摘し、多くの実例を取り上げ、
平易な言葉で説明しています。
この本は、今から42年前(1972年))に出版
されました。何度も重版されて、現在でも入手
できます。価値のある本であることの証しです。
詩人・谷川俊太郎訳などのマザー・グース本が
出版されていますが、まず、平野さんの
『マザー・グースの唄』を読むべきです。
平野さんは、英文学者、東京大学名誉教授で、
マザー・グースなどの研究者でもあります。
私は、この本を読み終わってから、どうしても
原典にあたってみたくなりました。
平野さんの本を読んで、ピーター・オーピー夫妻が、
マザー・グース研究者として著名であることを
知りました。
その本を探したのです。
大学2年生の時で、40年近く前の話です。
私も若かった(笑)!
洋書を求めて、丸善や紀伊國屋書店、三省堂書店
などで探してみました。
洋書コーナーの棚を、目を皿のようにして、
ゆっくり目を移しながら見つけようとしました。
ところが、なかなか見つかりませんでした。
でも、諦めませんでした。
私は、渋谷にある青山学院大学に通学していました
ので、渋谷駅周辺の大型書店で、探しました。
そして、遂に見つけることができました。
渋谷駅前にある、大盛堂書店にあったのです。
これが、その本です。
ハードカバーの研究書です。総ページ数467。
さすがに40年近く前に購入した本なので、カバー
は一部が破れていますが、本体は綺麗です。
この本は、下記のものです。
THE OXFORD DICTIONARY OF Nursery Rhymes
EDITED BY IONA AND PETER OPIE
OXFORD UNIVERSITY PRESS
First published 1951
Reprinted 1952,1955,1958,1962,1966,1969,
1973(with corrections)
£4.00 NET IN U.K.
7回も重版されています。
この本は、オックスフォード辞典(オックスフォード
大学出版会)の一つの形態をとっていますが、
オーピー夫妻が編集した研究書です。
当時、私は洋書を購入すると、巻末に、「購入年月日」
「金額」を書き留めていました。
その記録によれば「June 26,1975 T.Fujimaki」
となっています。
20歳になる直前に購入したことになります。
ちなみに、今月末(2014年6月30日)に59歳に
なります。還暦直前です!
まったく意識していませんが。
万年筆で書いていたことは、すっかり忘れていました。
もう万年筆で文章を書くことは、なくなりましたね~。
いつの日か復活するかもしれません。
当時の価格は3520円だったことも分かりました。
今回は、マザー・グースの背景についてごく簡単に
説明しました。
次回は、マザー・グースが、実際に、どのように
引用されているのか、ご紹介します。
小説のタイトルや、誰もが知っている小説の中に
引用されていたり、一部を変えて使われている例を
エピソードを添えてお伝えします。
お楽しみに!!
藤巻隆でした。
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