長い間、『伊藤雅俊の商いのこころ』の中の名言に、
お付き合いいただき、ありがとうございます。
今回が最後になります。
伊藤さんは、「革新は辺境、苦境から生まれるのは
確かですが、革新を続けられるかどうかは別の問題
です」と書いています。
繰り返し説いていた、「原理原則」を守ることは、
不変の考え方です。
ユニクロの運営会社、ファーストリテイリングの
会長兼社長の柳井正さんは、日経ビジネス
(2014.01.06 No.1723)で、京セラの創業者、
稲盛和夫さんと新春対談を行なっています。
その中で、次のように語っています。
「僕の実家は1階が店舗で2階が住居という商店街の
小さな店でした。それも生まれたのは炭鉱の町です。
地元の小学校が消え、廃山で中学の同級生は何分の1
かがいなくなった。同時に商店街もシャッター通り
になりました。つまり、決して恵まれた環境で
スタートしたわけではありません。
炭鉱町の小さな商店が世界4位のアパレル製造小売業
になったんです。あなた方は何でできないんですか
と思いますね。一人ひとりが気概を持って働くことが、
日本再生の一歩でしょう」(PP.12-13)
「初心忘るべからず」という言葉があります。
慣れから生まれる気の弛みや、謙虚さを失って
傲慢になることを戒める言葉です。これを商売
に当てはめると、「初心」は「創業のこころ」
と読み替えることができると思います。「創業」
は業を創るということですから、無から有を
生み出すようなところがあります。人と違った
特別のことではなくても、創業者にとって全て
がはじめての経験であり、ゼロからの出発です
から、不安で一杯になるものです。
(P.250)
(085-1-0-000-286)
ヨーカ堂の戦後の創業の地は東京・千住でした。
千住は戦災に遭わなかったとはいえ、商業の立地
としては恵まれた街とは言えません。お客様が
わざわざよそから買い物に来てくださる商業地とは
違います。だからこそ、お客様に来ていただける
店作りに挑戦できたのです。
(P.252)
(086-1-0-000-287)
革新は辺境から生まれるという法則は、アメリカ
でも実証されています。全米最大にして、世界
最大の小売業になったウォルマート・ストアーズ
の創業の地は、全米で最も貧しい小さな州といわ
れるアーカンソー州です。
中央から革新が生まれにくいように、大企業から
も革新は生まれにくいという問題があります。
企業規模が大きくなればなるほど、社員が会社は
潰れないと思うようになり、ハングリー精神が
希薄になって挑戦の気概が薄れるからです。革新は
辺境、苦境から生まれるのは確かですが、革新を
続けられるかどうかは別の問題です。
(P.253)
(087-1-0-000-288)
次回から、ソニーの創業者の一人、盛田昭夫さんの
『21世紀へ』(盛田昭夫 ワック 2000年11月21日
初版発行)から名言をご紹介します。
盛田さんは、現在のソニーを見たらどんな感想を述べる
でしょうか?
そんなことを考えながら、名言をご覧になってください。
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