セブン-イレブンの営業権を取得するまでは、紆余曲折
があったようです。伊藤さんは腹が座っていました。
自分のことをペシミストと言っているくらいですから、
決断までにはいろいろなことが去来したことでしょう。
私は、迷いに迷った末、最悪の場合、一千億円
の損失を覚悟して、神様を拝む気持ちで引き
受けることにしました。ヨーカ堂グループの
キャッシュフロー(現金収支)から計算して、
そこまでならば借金をせずに、自己資金で何
とか賄えます。最悪の想定が現実のものに
なれば、経営責任は免れませんが、会社が
潰れるところまではいかないだろうという
計算はありました。
(P.132)
(025-1-0-000-226)
一九九〇年にヨーカ堂とセブン-イレブン・
ジャパンが折半で、六百四十億円を投資して
サウスランドを買収しました。分家が本家を
のみ込む、ヨーカ堂にとってはじめての
本格的な企業買収でした。
サウスランドの再建は想像以上の苦労の連続
でした。何とか格好がついて、これでもう
大丈夫と安心できる状態にするまでに十年
かかりました。
(PP.132-133)
(026-1-0-000-227)
土地や株式さえあれば何でも可能になるような
傍若無人の「含み経営」を目の当たりにし、
そこから最も距離を置いた経営に徹した私に、
迷いがなかったといえば嘘になります。
マスコミは、土地の含み益を基盤にした
ダイエーの「ストックの経営」と、本業の
利益に立脚したヨーカ堂の「フローの経営」
を対比して、その時々で優劣を論じたもの
ですが、財テクがもてはやされ、ピークを
迎えていた時代です。自分の常識が世の中
の常識からあまりにもかけ離れてしまった
ため、経営者として失格なのではないかと
不安になったのです。
(P.135)
(027-1-0-000-228)
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