コストと感性の二律背反
貴島 孝雄(きじま・たかお)氏
[山口東京理科大学工学部教授]
1989年発売の初代から3代目までの
主査を担当した経験から、経営者の方に
お伝えしたいことがあります。「技術者
に二律背反の解決を要求することを、
ためらってはいけません」と。
ロードスターの開発は、常にコストとの
戦いでした。このクルマの価値は、「人
馬一体」をキーワードとする運転の楽しさ
を、手頃の価格で提供することにあります。
運転を楽しくするには、まず軽さが大事で
す。
「軽く、面白く、しかも安く」作るしかな
いんです。
「感性」と「コスト」の二律背反を乗り越え
られない商品は短期間しか売れないし、儲か
らなければ続けられない。つまり、経営者が
お金に対してシビアでなければ、世の中に
長く愛されるモノにはなりません。
もちろん、お金にシビアなだけでいいなら、
経営者なんて要りません。
経営者自ら、時代や人間への「感性」を
磨き、そのうえで「利益」に悩む。そんな
姿が見えてこそ、二律背反を突破せよと
いう指示に説得力が生まれて、世の中に
長く愛される商品が出てくるのではない
でしょうか。
(2013.11.4号から)
「二律背反」(英語でtrade-off)とは、こちらが立てば、
あちらが立たず、という通常は両立しないことです。
しかし、貴島さんはマツダで「ロードスター」の開発に
携わっていた際、「コスト」と「感性」という二律背反
に挑んだということです。
そして、両立させたのです。その貴島さんが、経営者に
向けて発している言葉は、日本が現状を打破するための
警鐘だ、と思いました。
「技術者に二律背反の解決を要求することを、ためらっ
てはいけません」
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