『ビジネス・ウエポン』(初版 2002年12月20日 小学館)は、
大前研一さんがマッキンゼーに在籍した時に自ら開発した、
スキルなどの多くを披露している本です。
サラリーマンの武器(ウエポン)は論理力と創造力である、
という言葉はとても説得力を持っています。
今日の名言 1 〈139〉売価からコストを引けば利益が出る。
その利益に売上数量をかければ全体の
利益額が出てくる。要は売価を上げて、
コストを下げて、売り上げを伸ばせば
企業は安泰、というわけである。
今日の名言 2 〈140〉売る、という行為には2通りの選択肢
しかない。自社で売る(直売)か、
他人に売ってもらう(代理店)である。
自分で売れば情熱がこもり、
製品の説明もうまくできるだろうが、
接触できる人の数が限られているので、
売り上げを伸ばすには大量の販売員を
抱えなければならない。
今日の名言 3 〈141〉代理店型の販売は何らかの形で影響力を
持っていないと売れない。多くの会社の
商品を取り扱う代理店が好んで取り上げ
たくなるためには、顧客の要望が強いか、
マージンが他社の類似品よりも大きいこと
が必要だ。しかも、マージンを代理店
または販売店が好むような形で渡さなくては
効き目が薄い。
私の体験をお話しましょう。
私が30歳から50歳直前まで、外国の書籍・雑誌の
輸入卸会社に勤務していました。
その会社は、「TIME」「Newsweek」「The Economist」
などのビジネス雑誌、「Playboy」「Penthouse」などの
男性誌、「Vogue」「ELLE」「Seventeen」などの女性誌、
話題のペーパーバックスやハードカバー、豪華美術本等
を輸入し、トーハンや日販などの大手取次や、全国チェーン
の紀伊國屋書店や丸善、三省堂書店などの大手書店、
さらに街の書店へ卸していました。
ほとんどの商品は返品可能(出版社によって返品率に
制限がありました)でしたが、写真集などのアート
や豪華な美術本は買切り商品でした。
買い切り商品は利幅は大きかったですが、まとまった
数量が売れるわけではありません。
あまり旨味はありませんでした。
実際、売れ残ったアートや、美術本は不良在庫
となりました。
国内で出版されていた「ハーレクイン・ロマンス」の
代理店にもなっていました。日販が「ハーレクイン」の
営業権を取得するまでは。
入社した当時は、全て船便で輸入していました。
ところが、アマゾンが日本に進出すると、スピードで対抗
するため、航空便で輸入するようになりました。
コストが大幅アップしましたが、アマゾンが低価格攻勢を
強めたため、当社はコストアップ分を価格に転嫁すること
はできませんでした。
決済は、ドル建てが60%、ユーロ建てが30%、ポンド建て
その他が10%でした。
為替変動で、円安になると、円での支払いが増加し、
円高になると、円の支払いは減少します。
しかし、どちらになっても厳しい状況に変わりません
でした。
というのは、円安の場合、円の支出が多くなっても、
卸価格の見直しは容易にできませんでした。
一方、円高の場合、卸価格を下げなくてはならず、
売上も利益も減少したからです。
顧客は書店で現物の本や雑誌を店頭で見て、アマゾンで
注文するという「ショールーム化」が進行しました。
当時は、「ショールーム化」は全く想定されていなかった
ため、書店も当社も売上の低下はアマゾンの低価格による
ものと考えていました。
後になって分かったことですが、書店店頭で買わなくなった
人が増えてきていたのです。インターネットで注文すれば、
自宅や希望する場所に届けてくれます。
これでは勝ち目はありませんでした。
私が退職後、数年してその会社は、破綻しました。
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