バックナンバー(67)
ここに掲載しているのは、管理人・藤巻隆が
携帯サイトで運営していた時のコンテンツです。
2007年1月8日号からスタートしています。
1カ月分毎にまとめてあります。
● 2012.07.30
(No.5)<281>
顧客は「神様」にはあらず
石井 茂(いしい・しげる)氏
[ソニー銀行社長]
私は顧客を「神様」だとは思っていません。コールセンターの社員にも「顧客は王様くらい偉いかもしれないが、神様ほど偉くないんだよ」と言っています(笑)。
顧客の要望を最大限に尊重して、求めていることを金融のプロとして解決したいと思います。ただ、プロとして金融の世界を知っていれば、答えることができる限界があるのも分かるはずです。
当社の顧客はほとんどが個人です。企業への融資はほとんどありません。正直に言うと、相手が個人だから、時にその人が正しくないときっぱり言える面があります。
顧客満足度はアフターサービスとやや異なり、顧客の期待と実績の差だと言えるかもしれません。
従って、顧客の期待に正しく対応していくことが大切になります。手を抜かず、愚直にやるべきことをやるということです。もう1つは、常に新たな挑戦が重要になるでしょう。
● 2012.07.23
(No.4)<280>
社長業は人生の通信簿
古森 重隆(こもり・しげたか)氏
[富士フイルムホールディングス会長・CEO]
転換期になったのは、80年代初頭に写真の世界にデジタル技術が登場したことです。そこで我々は多角化を図りました。フィルムだけではなく、露光材料や感光材料、現像材料などの周辺へと広げていきました。コダックもやりましたけれど、うちの方が多角化における幅と深さがありました。
いざデジタルカメラの市場が立ち上がった時に、彼ら(コダック)は市場に参入していくうえで十分な競争力がある商品を持っていなかった。
2000年以降に当社は相当なカネを使って、医薬や化粧品、液晶用材料を強化したり、富士ゼロックスへの出資比率を引き上げたりして写真以外の分野を伸ばしていきました。
当社は業績が苦しい時期にも、毎年のように研究開発におよそ2000億円を投じてきました。だけど、そんなにすごい製品ばかり出てくるわけではないです(笑)。
経営とは、最後は数字です。自分たちが生き延びていくためには競争力のない事業を減らして、埋め合わせられる部分を作り出す。そんなそろばん勘定が必要になります。
● 2012.07.16
(No.3)<279>
誰も参入できない砦を作る
津賀 一宏(つが・かずひろ)氏
[パナソニック社長]
プラズマで液晶に対抗できるのは画質の面だけで、それ以外の側面では、プラズマでは非常に戦いにくいという状況になってきました。
悪い商品を作っているとは思いませんが、お客様が何を選ばれるのかが一番大事です。こういった意味で、お客様から遠い存在になってしまったという反省があります。
基本的に、自社製テレビのためにはもうパネルは作りません。これが我々が学んだことです。
コアコンピタンス(競争力の源泉)よりも、参入障壁の有無の方が大事だとも思っています。
お客様からの大きな要求のある商品(「Let'snote(レッツノート)」や「TOUGHBOOK(タフブック)」)を大事にしなければならない。我々から見れば、頑張れば頑張っただけのかいがある商品なんですから。
● 2012.07.09
(No.2)<278>
「頂上作戦」で世界に挑む
尾山 基(おやま・もとい)氏
[アシックス社長CEO(最高経営責任者)]
過去、うちは「世界中でアシックスの花が咲けばいい」という考えで、ライセンスを供与して海外展開を進めてきました。それで各国が勝手にマーケティングをしていました。
(カタログやポスターなどを)全世界で定点観測し始めて、ようやくブランドイメージが統一されてきました。それで「日本のグローバル・ブランド」の調査でも、評価が高まったんだと思います。
(アシックス創業者の)鬼塚(喜八郎)さんも言っていた「頂上作戦」。頂上とは、日本ではオリンピック選手だし、世界でいくと世界記録を出している選手ですね。このトップラインは、(ライバルの)ナイキやアディダスも勝てるかどうかの厳しい世界ですよ。そこで選手のニーズをくみ取って、徹底的に技術と商品を磨く。頂上が取れれば、その後で中間層も追随します。そうやって商品は浸透するんです。
当社にはスポーツ工学研究所があって、大阪大学などと組んで科学的な研究を重ねてきています。
スポーツは1人でやろうがチームでやろうが、ファイティングスピリットがなかったら無理です。
特にスポーツは、ユニバーサルランゲージで取っつきやすい。あとはやれるかやらないか、カネをかけるかかけないか。経営者の判断です。
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