バックナンバー(61)
ここに掲載しているのは、管理人・藤巻隆が
携帯サイトで運営していた時のコンテンツです。
2007年1月8日号からスタートしています。
1カ月分毎にまとめてあります。
● 2012.01.30
(No.5)<255>
エコカー戦線で独自色
伊東 孝紳(いとう・たかのぶ)氏
[ホンダ社長]
EV(電気自動車)は欠くべからざるハードウェアです。ガソリン車と比べて残念ながら航続距離は劣りますが、こきゃくがEVという存在を認識するようになり、社会からの要請も強まっています。
(問 2020年を予測した時に、ガソリン車と次世代エコカーの比率はどうなっているでしょうか)現実的にはHV(ハイブリッド車)中心の市場になっているでしょう。シンプルで高効率なHVは、最も有効な手段であると考えています。
日本で商売するからには、軽自動車は外せない。これは当社だけでなく、トヨタ自動車も日産自動車も同様に考えているでしょう。これから活性化されて面白い市場になっていきます。
ホンダが成功してきたのは、北米での成功体験を世界で応用することにありました。しかし、リーマンショック以降、世界は大きく変わりました。欧米の後追いで世界が発展するのではなく、新興国は新興国なりの成長をするようになった。その変化への準備が足りなかったのだと思います。これは、大きな反省です。
将来にわたって技術のレベルを維持することは絶対に必要で、可能性のある技術についてはふたをせずに開発を続けていきたい。ただ、事業として展開するかどうかは、その技術の先行きを考えて取捨選択します。
● 2012.1.23
(No.4)<254>
タイヤ産業はまだ伸びる
荒川 詔四(あらかわ・しょうし)氏
[ブリジストン社長]
最大の強みは、円高の影響を受けにくい体質にあると思います。当社の海外生産比率は約7割、売上高で言えば8割強が海外です。円高の影響をまともに受けるのは10%台の前半にとどまります。
1980年代後半から、米ファイアストンを買収するなどM&A(合併・買収)戦略を積極的に展開し、2000年代半ばにグローバル・ナンバーワンの地位を獲得したことが今になって効いてきています。タイヤ産業は何より、規模のメリットが業績に直結する業界なんですね。量産効果が大きいんです。
常々、名実ともにナンバーワンであり続けようと言っています。シェアや財務面だけでなく、CSR(企業の社会的責任)活動などに力を入れているのも、そのためです。
今やブリヂストングループの従業員は約7割が外国人です。彼らを見ていて思ったのは、日本人は、緩やかな方針でもあうんの呼吸で動いてくれますが、外国人はそうはいかないということでした。
世界市場を二分している仏ミシュランは侮れません。ミシュランはユニークで素晴らしい会社です。彼らは欧州からスタートして東へとビジネスを広げ、当社は日本から西へ進出したため、得意とするマーケットがお互い異なります。技術力も高く、鉱山用など特殊なタイヤも手がけることができる。しばらくはミシュランとのつばぜり合いが続くでしょう。
● 2012.1.16
(No.3)<253>
IT事業は不況にも強い
山本 正巳(やまもと・まさみ)氏
[富士通社長]
従来のスパコンは性能争いの象徴みたいなところがありましたが、ここへきて、イノベーション〔技術革新〕を起こすためのツールとして実用段階に入ったと思います。
世界一になるには、今までにない新技術を注入しなければなりません。モノマネだと2位止まりなのです。過去の技術を参考にしているだけでは1位にはなれない。2位ではなく、1位にこだわるという意味は、モノマネでなく、新規の世界に挑戦するということなのです。それに世界一になることは、富士通の知名度を高めるのに効果があります。
「つなぐ」というのはICT(情報通信技術)なしにはできません。スマートシティの実現には、我々のようなIT(情報技術)サービス事業者が貢献できる部分が大きいわけです。
「ICTをフル活用して、不況を生き残る」というのが、企業の大きなテーマになっています。
我々は中長期ビジョンで、ICTの利活用によって人がより豊かに安心して暮らせる社会の未来像「ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ」というのを掲げています。これを実現するために、パソコンやスマートフォン(高機能携帯電話)は重要な端末です。
● 2012.1.9
(No.2)<252>
危機こそ進化を加速する
野路 國夫(のじ・くにお)氏
[コマツ社長]
中国の動向なんて全く読めません。(販売した建設機械の稼動状態を把握できる)KOMTRAX(コムトラックス)の数字では、2011年10~12月の中国の稼動状態は一段と低迷しました。受注状況も、前年同期と比べれば半分程度に落ち込んでいます。低迷の理由はお金が社会の末端まで回っていないことに尽きます。
前期までの当社の売上高で中国が占める比率は2割程度でしたが、春節以降も需要の回復がなければ、今期は10%前半まで落ちると考えています。全体から見れば少ない比率です。
最近、今後の経済予測を言わないようにしているのは、予想外のことが起こりやすくなっているからです。
これだけ急速に円高が進むと価格を上げるしかありません。
日本の製造業が抱える問題点の1つは、雇用を守ることを大義名分に、シェアの拡大に力を注ぎすぎることです。しかし、これはおかしい。いくらシェアを維持しても、利益が出なければ雇用は守れません。まず重視すべきは利益です。
● 2011.12.26-2012.1.2
(No.1)<251>
内向きの時代に抗う
小林 健(こばやし・たけし)氏
[三菱商事社長]
トップが代わる選挙の時には、どうしても国民の目線を内側に向けるということをどこの国でもします。これは政治的、社会的、経済的にもそうで、内向きにナショナリズムを喚起して、求心力を高める。従って経済は保守主義になりかねない。現にそういう傾向が出てきています。
各国、特に大きな国が経済的に内向きな傾向になった時に、やはり一番叩かれやすいのは日本です。これは経済が弱いせいではなく、政治が弱いためです。円高で日本が苦しんでいても放っておけと。
資源にしても、ほかの分野にしても、短期的には変動があります。問題はどういうスパンで見るかですね。目先の案件はどうしてもボラティリティー(変動性)が高いから、その都度方向転換していては大変です。やはり5年度くらいを見ないと見えてこない。
これははっきり言えますが、会社の、私たちの財産は人間です。その人間を活性化するためには資源だけではできない。だからいろいろなことをやる。それぞれの部門に責任を持たせる。
私は震災直後に、社員に対して、短期的にはまず自分の対面業界を助けろ、それから中期的には復興を一緒に考えろ、長期的にはその先でどういうビジネスができるか企画を出せと言いました。その3段階で、今はともかく助ける時期、今は復興の時期なんだと。
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