バックナンバー(49)
ここに掲載しているのは、管理人・藤巻隆が
携帯サイトで運営していた時のコンテンツです。
2007年1月8日号からスタートしています。
1カ月分毎にまとめてあります。
● 2011.01.31
(No.5)<206>
液晶の”次”でも勝つ
片山 幹雄(かたやま・みきお)氏
[シャープ社長]
液晶テレビが産業として、変わり目に差しかかっていることは確かです。
今の延長線上で考えれば、技術的な進化も限界が近づいています。
大型化といっても、人々が求める大きさには限界があります。
ですからシャープは次のステージに移行します。
かつてブラウン管テレビを液晶テレビに替えてみせたように、産業の新たなステージを切り開いてみせます。
それができなければ、垂直統合モデルを追求している意味がありません。
具体的にはまだ話せませんが、液晶テレビが有機ELに転換するというレベルのものではないことだけは言っておきます。
的外れのことをしていたら、次の10年は市場から干されてしまいます。
しかし、チャンスをしっかりつかまえれば、次の10年も大きく成長できます。
もっとも、新ステージに移行しても、5~10年も経てば、低価格化が進み、また「水平分業の方がいいのではないか」などと言われそうです。
そうなれば、また次のステージにシフトするまでです。
● 2011.01.24
(No.4)<205>
永遠におもねらない
ウランツ・フェーレンバッハ(Franz Fehrenbach)氏
[独ボッシュ取締役会会長兼CEO]
創業者の最後の遺書には、「会社の社会貢献と、持続的な成長を両立させる道を探せ」とありました。
その遺志に従って後継者の見つけた答えが、非営利の慈善財団が会社を所有するという企業形態だったわけです。
株式の7%を持つ創業家の存在も重要です。会社の後ろにボッシュがいる。
そのことが、社員のアイデンティティーにつながるからです。
自動車業界の値下げ圧力はすさまじい。
毎年、3~5%の値下げを要求されます。
しかし、技術でイノベーションを起こし、競争を先んじることができれば、数年はそのプレッシャーから逃れることができます。
金融危機後、世界の自動車業界は新興国のローコストカーにシフトしています。
技術だけではなくコスト面でもリーダーシップを取らないといけない。
技術のイノベーションは、短い間しか我々を守ってくれませんから。
● 2011.01.17
(No.3)<204>
女性が働き続けるニッポン
西田 厚聰(にしだ・あつとし)氏
[東芝会長]
坂東 眞理子(ばんどう・まりこ)氏
[昭和女子大学学長]
<坂東>女性が働き続けていくことを後押しする制度作りでも、日本は米国から大きく後れを取っています。
日本政府は2005年に、「社会のあらゆる分野で2020年までに、指導的な地位の女性の割合を最低で30%程度になるよう期待する」という閣議決定をしています。
閣議決定までしているのに、ほとんどの日本人はその事実すら知りません。
<坂東>21世紀に入って10年が経ちました。今こそ政府は「男性の公共事業」から「女性の公共事業」へと、雇用対策の軸足を移すべきです。
<西田>製造業からサービス業へ、産業構造を転換すべきというご意見ですね。
おっしゃる通り、製造業はどちらかというと男性中心の職場でしたが、サービス業は女性の労働力にもっと頼ることができる産業です。
ただ、米国と比べれば、日本は経済の構造転換が遅れているのが実情です。
<西田>これからは新興国など海外事業が拡大していくことになるでしょう。
ですが、東芝は日本の会社ですから、日本で雇用を確保していきたい。
そのために国内にも積極的に投資を続けていきます。
ただ、日本の労働人口が減ることを考えれば、女性をもっと積極的に活用しなければなりません。
● 2011.01.10
(No.2)<203>
歩みが遅いわけではない
豊田 章男(とよだ・あきお)氏
[トヨタ自動車社長]
インド市場はチャンスが大きい。
保有台数がまだ少なく、新規保有がどんどん伸びている。
エティオスの発売で、本格的なモータリゼーションの波に乗りたい。
先進国と比べて、新興国は本当に元気だ。
その成長に遅れないようトヨタも頑張りたい。
エティオスをベースにしたクルマでインド以外の新興国も開拓する。
トヨタにはスピード感が足りないという声もあるようだが、決して遅いということはない。
開発や人材の育成に時間をもらったということだ。
エティオスを展開する中で、クルマを生産する人材やアフターサービス担当の人材が育っていく様子を見てから、再度評価してほしい。
● 2011.01.03
(No.1)<202>
「社会的責任」よりも「社会の共有価値」創出を
マイケル・E・ポーター(Michael・E・Porter)氏
[米ハーバード大学経営大学院教授]
CSVは米ハーバードビジネスレビュー誌の2011年1月・2月合併号に共著で発表した『Creating Shared Value(共有価値の創出)』で提唱した。
2006年の論文に「戦略的CSR(企業の社会的責任)」と表現したものを発展させた。
従来のCSRは企業の名声を高めるため取り組むことが多く、慈善事業や寄付でいいと思われていた。
だがCSRが戦略と分離しては意味がない。
名声が高まるのはよいが、それを目的にするようでは社会に大きなインパクトをもたらせず、利益にもならない。
企業の利益につながり、社会にも新しい価値を生み出すには『共有価値の創出』が重要だ。
それがCSVだ。
CSVは、資本主義の本質を変えながら利益を生み出していく企業活動だ。
CSRの発想からもっと先に進まなければならない。
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