バックナンバー(38)
ここに掲載しているのは、管理人・藤巻隆が
携帯サイトで運営していた時のコンテンツです。
2007年1月8日号からスタートしています。
1カ月分毎にまとめてあります。
● 2010.2.22
(No.4)<159>
インフレは輸入できるか
新谷 元嗣(しんたに・もとつぐ)氏
[米ヴァンダービルト大学経済学部准教授]
輸入業者が値上げできるかどうかは市場の競争環境に大きく左右される。
例えば、値段を気にしない固定客がいる高級ブランド品では、輸入コストの上昇を値上げに反映させることは比較的容易である。
つまり高級ブランド品の価格転嫁率は高くなる。
反対に、いくらでも代わりが探せる日用品は、業者が値上げを躊躇するので価格転嫁率は低い。
だが消費者の思考が時代とともに変わってくれば、市場の競争環境も変わり価格転嫁率も変わってくる。
もちろん、特定商品の価格上昇は相対価格の上昇であって、すぐに物価全体の上昇に結びつくわけではない。
しかし、同業他社が一斉に値上げに踏み切った場合、顧客も失わず、物価全体への波及効果も大きくなる。
現実には値下げの場合にも、常にライバルの動きを意識しながら戦略的に根付けするのが一般的だ。
● 2010.2.15
(No.3)<158>
即決する組織が商機つかむ
塚本 勲(つかもと・いさお)氏
[加賀電子会長]
需給のバランスが崩れて半導体や電子部品の単価が高くなったら、お客さんには業界の事情を説明して高く買っていただく。
逆もあって、単価がどーんと下がる場合は、お客さんに安く提供します。
だから当社の粗利益率はいつも変わりません。
そもそも在庫を持たないのは、創業当時にお金がなかったからです。
時にはお客さんに前金を頂いて売りつなぐしかなかったので、「在庫ゼロ」は当社の社風として定着したのです。
在庫については、棚卸しを月2回実施しています。
株式上場企業で月2回の棚卸しを行っている会社はないと思います。
当社の締め日は毎月15日。
15日に在庫があると1カ月分の金利がかかります。
もう1回の棚卸しは月末です。
例えば、それぞれ3日分以上の在庫があるとコンピューターがチェックし、異常値として知らせます。
その場合は、なぜ在庫があるのか理由をしっかり報告させる。
● 2010.2.08
(No.2)<157>
クラウドの主導権を奪え
西垣 浩司(にしがき・こうじ)氏
[情報処理推進機構(IPA)理事長、NEC元社長]
人間が筋肉労働に代わるものとして動力を手に入れた。
それが産業革命でした。
ITはそれに匹敵する革命です。
頭脳労働をITが代行し、コミュニケーション範囲が広くなり、単純な記憶を受け持つようになりました。
産業革命で手に入れた動力は経済性や資本蓄積というフェーズに移っています。
クラウドは、社会進歩の原動力となります。
社会生活や企業行動に大きな変化が起こる。
コンピュータ製造や活用例を根底から見直すものとも言えます。
クラウドや組み込みソフトをいかに活用するか。
ここに日本の浮沈がかかっていると言っても、過言ではありません。
● 2010.2.01
(No.1)<156>
「分業」が国境を越えて拡大
アナリー・サクセニアン(AnnaLee Saxenian)氏
[米カリフォルニア大学バークレー校情報学大学院長]
なぜシリコンバレーはネットワークの中心であり続けられるのか。
その理由は、新たな技術を商業化するスピードと、そのためのインフラが整っていることにある。
かつて商業化された技術にしても、シリコンバレーで発明されたものでは必ずしもなかった。
トランジスタはベル研究所、インターネットの原型は米軍が発明した。
これらの技術がシリコンバレーで花開いたのは、商業化のインフラとスピードゆえである。
商業化のスピードが速いのは、技術の革新に即応できる柔軟性を備えているからにほかならない。
そうした柔軟性は簡単に獲得できるものではない。
米国でも、ボストン周辺に林立したミニコンメーカーやデトロイトの自動車産業は、垂直統合型の産業構造を変えられなかった。
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