バックナンバー(33)
ここに掲載しているのは、管理人・藤巻隆が
携帯サイトで運営していた時のコンテンツです。
2007年1月8日号からスタートしています。
1カ月分毎にまとめてあります。
● 2009.9.28
(No.4)<139>
政策はあくまでも部品
佐々木 毅(ささき・たけし)氏[学習院大学教授]
世界を見渡しても、公務員が政党の中に入って政策論議に参加するというのは非常に珍しい仕組みです。
日本にしか存在しない、与党と官僚組織の独特な相互補強の関係だったわけで、党と官僚が互いに助け合いながら「権力に関与している」という満足感を味わってきた。
いわば、政治家間平等主義と役人間平等主義とでも言いましょうか、役人も実に多くの人間が政策に関わることができた。
皆でわいわいやって、部分最適を積み上げれば全体最適になるという公式の下にずっとやってきた。
ところが、これによって政策のクオリティーは著しく落ちてしまいました。
あえて言いますが、政策とはとても言えないようなものが大量に出てくるようになった。
しかも、その効果を十分に検証する間もなく、政策を入れ替えていかないと予算がつきません。
政策を回転させていくこと自体が目的になっている。
いわば、「政策ビジネス」ですよ。
政策に一定のクオリティーと一貫性を担保するためには、少数精鋭の官僚と政治家が意思決定すべきだと思うんですが。
● 2009.9.21
(No.3)<138>
国語こそ競争力の源
水村 美苗(みずむら・みなえ)氏[作家]
日本は数多くの傑作を含め、世界でも稀れに見る豊かな文学と歴史を持つ国語があるにもかかわらず、自分が恵まれていることを知らず、世界的視野で日本語を見ていない。
だから、国語を大切にしようという問題意識もない。
世界的視野で見た時に、非西洋言語としての国語が1つ、立派に存在するということはとても重要なんです。
脳科学でも分かっているように、英語とドイツ語ですら脳の動く場所は違う。
まして英語と日本語なんていったら、全く違うわけです。
特に「読む」という行為を挟むと、脳の働き方はさらに違ってくるそうです。
日本語を読むということを通じて、私たちは英語の脳とは別の脳を持っているとも言える。
ですから、それをきっちり作動させなくなることは、人類が貧しくなる、退化することを意味するわけです。
● 2009.9.14
(No.2)<137>
M&Aより技術革新が軸
東 哲郎(ひがし・てつろう)氏[東京エレクトロン会長]
当社は(1999~2000年に)指名委員会と報酬委員会を設置しましたが、社長は委員ではありません。
会社を私物化せず、透明性を高めるのが原点だと考え、導入したのです。
その後、取締役の構成についても米国人の意見を聞きました。
CEO(最高経営責任者)とCOO(最高執行責任者)の2人ぐらいが社内で、ほかの取締役は外部という形態が日本で可能なのかどうか、随分迷っていたんです。
すると米国の知人は「それは本質的な問題ではない」と言う。
「取締役の運営を自分にとってやりやすいものにするのか、それとも透明性を維持して、やりにくいけれでも、いろいろな意見を大事にする経営形態にするのかをまず決めた方がいい」と。
ならば形だけ整えても無意味だと思いました。
取締役は社内の人材でも、きちんと議論ができればいい。
株主の代表という意識で、取締役会の在り方を変えていく方法にすべきだと考えたのです。
● 2009.9.7
(No.1)<136>
働く人が資本に負けた
水野 和夫(みずの・かずお)氏[三菱UFJ証券チーフエコノミスト]
売上高変動費率で言えば、原油相場が企業の製造原価の中の変動費として表れてくるのに9ヵ月かかります。
ということは今年の1~3月の30ドル台の原油は、今年の10~12月まで続きます。
ですから売上高変動費率は4~6月、7~9月、10~12月と下がってくる。
安い原油を使って企業経営者の自助努力と関係ないところで、少なくとも水面上には出てくる。
しかし、70ドルの原油が来年1~3月から製造原価に入ってきます。
また売上高変動費率が上がる。
さらに固定費を削減しなければやっていけない。
来年、また賃金の引き下げ圧力が強まり、所得はさらに下がる。
それが景気にとってマイナス要因です。
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