公平公正が信頼を生む
古川 貞二郎(ふるかわ・ていじろう)氏
[元内閣官房副長官]
振り返ると、若いころの体験が
大きな支えになりました。
まずは厚生省入省時です。人事院の
上級職試験に落ち、次善の策として
長崎県庁に入った私は再度挑戦し合格。
面接を受けるため上京しようとした際、
伊勢湾台風の直撃で列車のダイヤが
大幅に乱れ36時間もかかってたどり
着きました。疲労困憊のまま面接に臨み、
不合格になってしまいました。
このままでは引き下がれません。結果を
知らされた翌朝、厚生省の人事課長に
直談判しに出向き、国のために仕事が
したいと全身全霊で訴えました。
その結果、その日の夕方に吉報が届いた
のです。肝の太い人事課長や幹部に巡り
会えた強運に感謝するとともに、以後、
「決して諦めずに当たれば、道は必ず
開ける」という信条が様々な場面で生きる
ことになりました。
もう1つは、高校生時代の「ごぼう掘り」
の経験です。短いものはすっと畑から抜ける
のですが、長く根が張ったものはそうは
いかない。金棒を使ってごぼうの先端を
傷つけないように根を切る必要があり
ました。
ところが、それでも抜けない大物がある。
腰も痛くなり、とにかく寒い。
それでも再び体勢を整え土を掘り、根を切る
とごぼうが抜けるのです。忍耐強く継続し、
最後の一押しをいとわない。ごぼう掘りから
得た教訓は私の助けとなりました。
こうした信条に加え、官房副長官時代に
自らの判断基準と心がけたのが「公平・公正」
です。
公平・公正の視点は人事でも重視しました。
(2013.09.09号から)
公平公正という言葉で、思い出すのは、
機会の平等と結果の不平等です。
どういうことかと言いますと、機会は平等に与えなさい。
門前払いはいけません。
しかし、結果で差がつけば結果通りに扱いなさい、という意味です。
今、小学校などでは運動会で徒競走の順位をつけないそうですね。
これはおかしなことです。
必ず、順位に差がつくのですから、1位、2位、3位・・・・・・とすべきです。
それを全員同着では、悪平等です。
徒競走をやめたほうがいいです。
この世の中は、すべて競争の上に成り立っています。
競争がないと寡占が進み、一部の企業や人だけが
いい思いをする一方で、過半数の企業や人は不利を被ります。
ランキングは大事なことです。
全体を見て、自分の位置はどこにあるのかを確かめることで、
更に上がいるを知り、努力することが大切なのです。
小学校などでは、モンスターペアレンツの存在が、
機会の平等と結果の不平等を阻害しているのでしょう。
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