「失敗から得る教訓」だけ
吉田 忠裕(よしだ・ただひろ)氏
[YKK会長]
改めて痛感したんです。どんなにありがたい
話でも、自分自身が体験していないことは、
いくら熱弁を振るっても共感は呼べない、と。
父の真似をやめ、自分の体験や失敗のみ話す
ようになったのはそれからです。
カリスマ創業者の言葉だけを真似ても、
人の心は動かせない―――。考えてみたら
当たり前のことですよね。でも、その当たり前の
ことになかなか気づくことができないのも人間
です。ではどうすれば、そうした仕事で大切な、
教科書やマニュアルに書いていない基本を学べる
のか。それはもう、やってみて失敗して心に刻む
しかない。
失敗の共有こそが企業を強くするというのが父の
考えで、「叱るのも諭すのも、人前でなく個室で
やったらどうか」と意見されても聞かなかった。
私は父のようなことはしません。失敗が社内で
共有される仕組みを別に築いています。言った
でしょ。カリスマ創業者の形だけ真似てもうまく
いかないですって。
(2013.09.02号から)
YKK(旧吉田工業)はファスナーで世界一の会社に
なりました。
バッグや衣料品でYKKのファスナーを使用していないと、
その製品は信用出来ない、とまで言われています。
今では、ファスナーだけではなく、YKKAPという子会社で
窓枠などの建材を製造しています。
この分野でも成長しています。
ちなみに、APというのは、Architectural Products=建材の略です。
YKKと言ったら、ファスナーというイメージが、
出来上がっていますが、それだけではありません。
ファスナーメーカーとしてのブランドは、
不動の地位を築いていますから、
今後は建材の分野でもYKKAP
ブランドを揺るぎないものにしていくことでしょう。
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