ベルヌーイの定理は適用できない・2 | 長谷川隆のブログ 

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 前回、空気中の事象にはベルヌーイの定理は適用できない例を、実験で見て頂きましたが、今日は適用できないのはなぜか?そのメカニズムを説明します。

 

 誰でも知っていることですが、音は空気中を1秒間に340mの猛スピードで伝わります。(15℃、1気圧)

 感覚的には、あのリニア新幹線のちょうど2倍の速さです。

 

 音は空気の振動であり疎密波です。つまり、疎(空気が薄い:気圧が低い)と密(空気が濃い:気圧が高い)の縦波がものすごい速さ(音速)で伝わるのです。

 伝わる、というと直線的に感じますが、音源から球状に膨れ上がるのです。

 

 爆発事故の動画で、この疎密波の幕が球状に音速で膨れ上がるのを見ることができます。空気中に突然高気圧域が発生して、瞬時に気圧差が解消されていく様子なのです。

 その反対に、もし空気中に真空の域が発生したなら、あたかも大きな風船が縮む動画を何十倍もの高速で見るように、気圧の差は瞬時に(音速で)解消されるでしょう。

 

 ということは、

1)「空気中に存在する気圧の高低差は音速で解消される」、ということなのです。(私見の重要ポイント)

 そして、

2)「気圧差が連続して発生すれば、空気は気圧差に応じた速度で気圧の高い方から低い方へ流れる」、

ということなのです。(私見の重要ポイント)

 

・前回の私の実験で言えば、風を送るファンで圧縮(高圧)された空気がファンを離れる途端に膨張して気圧は下がり、吹き出口を出る時には完全に周囲と同じ気圧になっていたのです。

 つまり、画用紙に当たる時には周りと同じ気圧になって、慣性で流れていたのです。

 

 空気は慣性で流れているので、画用紙の左右に気圧の差は存在していないのです。

 

・JAXAの調布航空宇宙センターには、気圧差を利用して超音速の空気の流れを作り出す風洞があります。毎年3月末頃に一般公開されます。