ベルヌーイの定理は適用できない・1 | 長谷川隆のブログ 

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 Web上で「揚力」、「飛行機はなぜ飛ぶ」などで検索すると、多くの解説が、

・翼が空気中を進むと、翼の上面の流れが下面より速くなる。

・よってベルヌーイの定理で上面の気圧が下面より低くなるから翼に揚力が発生する、としています。

 

 翼の上面の流れが下面よりなぜ速いのかは、ひとまず置いといて、

 

・翼の上面の流れが下面より速い。

・翼の上面の気圧が下面より低い。

 

 この二つの事象は現実としてありますが、この二つを結びつけるのに、ベルヌーイの定理は適用できないことを実験でお見せします。

・空気が上から下に向かって流れています。その境目に画用紙を垂らしてみます。

 翼の「上面・下面」と同じように画用紙の「左側・右側」で流れの速度差があります。つまり、翼の上面が画用紙の左側、翼の下面が画用紙の右側に当たります

 もしベルヌーイの定理が当てはまるなら、画用紙は左側に引き上げられるはずですが、全くその様子はありません。

 

 流れとの境目にある平らな画用紙が左右に全く動かないということは、画用紙の左右で気圧の差が全くないことを示しています。

 

 もともとベルヌーイの定理には「理想気体でのみ成り立つ」などの条件が必ず付記されます。

 これは「粘性や圧縮性のある現実の空気には適用できない」、ということなのです。なのに・・・。

 

 その大きな粘性があるために生ずる「コアンダ効果」と一緒にもう一度見てください。

 

 大きな粘性のために画用紙に沿って流れが曲がる(コアンダ効果)時に、その反作用で画用紙が左に引き上げられます。

 

 もし、速い流れが遅い流れより気圧が低いのなら、平らな画用紙も左に引き上げられるはずです。

 

 「ベルヌーイの定理は現実の空気中では適用できない」

のです。

 

*「コアンダ効果」を調べるとほとんどが噴流の場合に限って説明していますが、コアンダ氏がジェットエンジンの試験中に、噴流で発見したということであって、この効果自体は噴流に限定せずにどのような流れの場合でも発生します。

 画用紙の両側に空気を流しても、コアンダ効果は再現します。つまり、コアンダ効果は噴流だけで生じる、とするのは間違いなのです。

 

*ところで、流速の差からなぜ気圧の差が生じないのでしょう?

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