私の揚力抗力測定装置は世界一小さいかも! | 長谷川隆のブログ 

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 Hase Aerodynamics Labo

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 今日は試験装置について。

 

 一つ:その昔(約40年前)、私の所属した実験部署では高価な試験設備の導入が叶わず、大型試験機は他社の設備を借用していましたが、自分たちの欲しい試験設備はまず自分たちで造ったものでした。

 サイドドアやバックドアの開閉耐久試験機などは自分たちのアイデア満載でした。

 

 二つ:そしてその頃、経緯は忘れましたが、なぜか小型風洞を実験室で分解して欲しいとの依頼で、丁寧に分解したことがありました。

 小型といっても幅3m、高さ2mくらい、ブリキ製の50cm角程の、四隅に流れを曲げる羽根を備えた、今にして思えば回流型の立派な風洞でした。

 測定部が約15cm角以下の流れしか無く、図体の大きい割には有効エリアが随分と小さいものだと驚いたものでした。

 

 だから、、、だと思うのですが、風洞に代わる、飛行機の翼の性能を調べる小型の試験機として、どんなものをどうやって造ればいいのか、そんな漠とした思いが長いこと心の片隅にくすぶっていたのです。

 

 そしてリタイア後、ほとんど消えていたそんな思いがまたくすぶり出し、6年間の中国常駐の間に、自分の欲しい試験機のイメージが大方出来上がっていて、帰国後、早速製作に取り掛かりました。

 とにかく小さな試験機が欲しかったのです。

 

 全ての部品を3回以上造り直して、ようやく出来上がったのが、私の「揚力抗力測定装置」です。

 

 ライト兄弟の風洞よりも、容積で少なくとも6分の一以下のようです。結局、当初のイメージとは随分違った構造になりましたが、これ、恐らく世界一小さい試験機かもしれませんね。

 

 

 ファンを含むモーターの振動を如何に計測器(電子秤)に届きにくくするかで、随分苦労しました。(車のNVH対策の経験が奏功)

 揚力と抗力を同時に測定できます。揚力と抗力の互いの影響をキャンセルする方法も施しました。

 モデルの固定装置はワンタッチでモデル交換は1分で可能。迎角変更もワンタッチで5秒で可能。

 発想の転換で、流れの中に翼を置くのではなく、翼に流れを当てるのです。そうする事でモデル固定装置の影響を受けず、断面形状の違いだけが数値に現れます。このアイデア特許に出来たかも!(笑)

 アイデア満載、操作性抜群、満足度100%です。

 作ってみたい方にお手伝いします!

 

 また、「プロペラ性能比較装置」も造ってみました。

 ブーン・・空気を切る音!たまりません!!

 

 いずれも計測モデルのわずかな形状の違いをしっかりデータで示してくれます。

 

 そして何より、いつでも自分の好きな時に、至福のひと時を提供してくれるのです。(嬉々)

 

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