豪雪地:白鳥を食す | 長谷川隆のブログ 

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 Hase Aerodynamics Labo

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 1952年頃の話。中学校と小学校が同じ校舎で体育館は大きな建物でした。

 その体育館の屋根から下ろした雪の坂で、そり遊びをしていた時、こづかいさん(住み込みの用務員さん)に呼ばれました。面白いものを見せてやるとのことだったのです。

 

 びしょ濡れのコンクリート床の薄暗く広い炊事場でした。

 高い天井から長い首の、私の背丈よりはるかに大きい真っ白い鳥が逆さにぶら下がっていたのです。

 見た瞬間、白鳥だということはすぐにわかりました。

 垂れ下がった口先から時々血が垂れていて、頭の周りの白い毛があちこち赤く染まっていました。

 あまりの異様さに恐怖を感じました。

 

 次の日の晩、我が家の食卓にも「白鳥の肉汁」が出たのです。

 味は覚えていません。それよりも白鳥を食べたことに、子供ごころになぜか罪悪感を覚えたものでした。

 白鳥は本で知っていたが、目にしたのはもちろん初めてだったし、なぜか獲ってはいけない神聖な生き物のイメージがあったからです。

 

 しかし、山間の村に白鳥が降りる湖があるでもなし、一体どうやって獲ったのだろう、今思い出しても大きな謎でなのです。

 

 しかし、あの村で食べた全てのものが、今食べるよりもずっと美味しかったのはなぜでしょう。

 野菜は勿論、豚肉や牛肉など、今食べるものよりもずっとその味が濃く、はるかに美味しかったのは間違いないのです。

 鶏肉も、特にヤマドリ(キジ)や鴨の肉がとても好きでした。

 ウサギの肉も独特な味で美味しかったのを覚えています。

 熊の肉も食べましたが、ボソボソしていて舌触りが悪く、美味しいとは思わなかったです。

 そういえば熊やキジ、ウサギもあの村を出てから一度も口にしていないなぁ。

 

 今食べるほとんどの肉や野菜が、あの村で食べた時よりも味がとても薄いのは一体なぜなんだろう?

 

 それとも、長いことタバコを吸ったせいで、味覚がダメになってしまっているのだろうか?

 

 味が薄い・・・味気ない・・か。