最後に全員でオープニングをやって終わろう


ヤダよ、絶対泣いちゃうやつじゃん


マイクもつけずに、大きな劇場のセットの中、自分の紹介の時に、地声を張り上げてありがとうございました、と叫ぶ


自然と今まで出演した作品のオープニングを頭の中で回想し、またさらに涙が流れる



あぁ、これが本当に最後なんだな



大大大好きなオープニングの曲




初めてハイキューの舞台に立てることになった初日から、舞台袖で何回も何回も聞いて

毎回心を奮い立たせてくれる


自然と涙が流れてくることもある



あぁ、この曲を聞くのも、最後なんだなぁ



全部の感情が揺れる




そして、目が覚める。



自分のベッドだった。




いつもより少し寝過ぎちゃったな。



おはようツイートしないと。

心配させちゃってるかもしれない。




おはようむいん







初めて出演したはじまりの巨人




ずっとずっとずーっと出たかった演劇ハイキュー

初めての稽古場

こんなところで稽古やってるんだ

ほとんどみんな初めまして



今日はバレー練習だ

セッター同士で組んでね

同じく途中参加の田中尚輝と組む



セッターはオーバーの練習をひたすら



ボールが回転しないように頑張る



難しい

トミーが教えてくれる


恐らく年下と思ってるみたいだった

めっちゃ上手くなったじゃん!


嬉しいけどおれもう25歳よ、



えっ歳上なんですか!すみません、ハタチくらいだと思ってました





そして、演劇の稽古が始まる



相方のこうきは別作品後に稽古合流


しばらくは1人だ



でもバレー練習でちょいちょい顔見知りになったから気は楽



対戦相手のネコマの2人と初対面



タカトとショウリ



最初はお互い探り探り


この人はどんな人だろ


一緒にお芝居するのに


なにもまだ知らない



休憩時間にバレーしようよって声をかけてくれる


レシーブまだ全然できないやん!!笑


タカトに笑われる



オーバーしか練習ほぼしてないもん笑



難しいよねぇ




そんな会話をした




ちょっと、知れた



初めて座長の須賀健太に会う


うわー、須賀健太だ

最初めちゃくちゃ緊張した


稽古場の空気をちゃんと作ってくれる
素晴らしい座長だった

こうやってハイキューは作られていくんだなって





そしてこうきが合流



赤葦役の髙﨑です



木兎役の吉本です



宜しくお願いします




今回のチームメイト

そして、相棒



なんて呼ばれるの?

俊吾とかゴーちゃんとかゴーくんが多いかなぁ



んじゃ、ゴーくんで!




すぐうちとける



ついに一緒に稽古が始まる



でも、梟谷のシーンはまだ全然だ



休憩中にバレーの練習やダンスの練習


そんなある日

こうきが足をおさえて痛がってる


えっどうしたの!?


ずっと痛かったんだよね


すぐさま病院へ




まだ連絡来ない



大丈夫なのかな





数日後、こうきが降板することが決定した




どう、なるの、?



代役をいまお願いしようと思っています



代役?立てられるの?今から??



木葉役で進化の夏に参加していた東くんにお願いしようと思います




木葉役?!えっマジか!!




その次の稽古から拓海がやってきた




赤葦役の髙﨑です



木葉や、いや、木兎役の代役を務めさせていただきます、東拓海です




この子なら、大丈夫な気がする


直感で感じた



それから拓海と毎日一緒に帰って稽古中もずっと一緒にいて


最初は敬語だったのもダンダンと心を開いてくれて



木兎のウィッグもピッタリ

ウィッグつけるとちょっとだけおれより背が高くなる




初めて拓海が言った


へいへいへーい



めちゃくちゃ、頼もしい



喉痛めそう、頑張る



うん、頑張ろ!






稽古も進み、ついに初日


早くも泣きそうな拓海

おれの木兎、お客さんは受け入れてくれるかな


そんな気持ちが透けて見えるようだった


大丈夫、拓海の木兎さんは、最高だよ
おれにはもう拓海は、木兎にしか見えないよ



袖で鳴り始めるオープニングの曲




キーーーーーーーーン




盆が周り始まる




うわぁ、これだこれだ、ついに自分がハイキューの舞台に立つんだ



心が踊り狂ったのを覚えてる




そこからはもう無我夢中




公演のごとに、
うわぁよかった、赤葦役を勝ち取れて本当に良かった


毎回思う



地方公演が始まる


初めて行くところばっかり



全部の劇場が初めて



すげぇ、地方ツアーってこんな感じなんだ
移動日は比較的余裕あるからご飯行けるね、なんて

拓海とケンジとタカトと鉄板焼き行ったり



福岡
今日は夜公演しかないから朝、明太子重を食べに行きたい

拓海を起こし、お散歩して20分ほど


めちゃくちゃ美味しかった




大阪
ちょっと遠出して、京都の嵐山に拓海といった


壮大な竹林に囲まれて色んな話をした

そして芸能で有名な車折神社にもお参りした



いつか絶対に



そんなことを心の中でお互い誓ってるのもわかって
相棒でもあり、そして切磋琢磨するライバルでもあるこの関係が、ずっと変わらずいたいなと思った


ハイキューによって初めて来れた地方の数々
そのどこでも全てが自分にとっての初めての景色で
また、赤葦と出逢えてよかったなぁと常々思った




そんな地方公演も終わり


また東京へ



でも東京でも劇場は違う
日本青年館とTDC

どっちも初めて



ハイキューは本当に大っきい劇場でやれるんだなぁ
どこか自分がめちゃくちゃ売れっ子になった気分にさせてくれる



千秋楽



ついに最後かぁ



楽しかったなぁーほんと


もっともっとやりたいな



カーテンコールの挨拶


隣の拓海を見ると、堪えてる


フフフ


拓海、大丈夫だって言ったでしょ
みんな、受け入れてくれるって


うん



初めての演劇ハイキューは終わってしまった







次の作品は東京の陣



拓海は木葉をやる


だから新しい木兎を決めますって



そかそうだよね、拓海は本来木葉役でハイキューに決まったんだもんね


おれからしたら木兎としてしか印象がない
どうなるんだろ?



新しい木兎はどんな子が来るかな




ビジュアル撮影


うぉ、背高いなぁ

拓海の木兎で慣れてたから久しぶりな見上げる感覚



赤葦役の髙﨑です


木兎役の桜庭です


宜しくお願いします



あら、この子、役者っぽくない


話を聞いてると、そうか、初舞台なんだ


なんか、めちゃくちゃ初々しい



撮影で、めちゃくちゃ苦戦する



もっと元気よく!
木兎ぽく!



難しそう


声出してみたら!



おっ!と閃いたような顔
声出していいんだ、って



そこから一気にいい写真が撮れまくる




また新しい、面白い相棒ができたな






そして梟谷全員と出逢う


拓海はチームの中にいるとこういう感じなのか、不思議だ

ゆうきくん、ジュン、シオンと初めましてをする



みんな、探り合い



ラバは、萎縮してる
木兎が1番萎縮してる

なんか面白くなってきた




そこから稽古が始まり


一幕は自分たちの試合シーン


ネコマに勝たないといけない


みんなでアイディアを出して、稽古前に早くから集まってダンスや芝居の練習したり


たまに本当に険悪なムードになった



でも、また話し合ってぶつかり合って





そして、チームになった




東京の陣は大阪公演が初日



2週間近く大阪に滞在するのか、初めてだ



初めて立つ梅田芸術劇場


芸術を、やってるんだなって


誇らしくなる
背筋もピンとする




タカト座長のもと、みんなで円陣
いざ始まる、大阪の陣
しゃあーっす笑



ついに初日を迎える


烏野のいない初めての作品



とんでもない熱量で挑んだ初日



カーテンコールで大きな拍手をいただけた


感無量だった




ただただ、圧巻だった




それから公演も順調に進み、東京に


タカト座長の円陣
いざ始まる、東京の陣
しゃあーーっす!!



そして、千秋楽


梟谷学園高校の応援、本当にありがとうございました!
ありがとうございました!!!!!!


チームとしての最初で最後の演劇ハイキューが、終わった




そして次は最強の挑戦者



今回は梟谷からは3人みたい


そんなことをラバと拓海と3人でLINEして


チームメイトみんなの気持ちを背負って頑張ろう

そう固く誓って臨んだ




烏野が新生になり、初めてご一緒する


みんなずいぶん若いなぁ


ハイキューの現場も歳下がめちゃくちゃ増えたなぁ


気付けば選手役としては一つ上がいるだけでほぼほぼ最年長



演劇ハイキューも3作目の出演

しっかりと頼もしい人でいたいなと、思った



稽古序盤あたりから、コロナって言う未知のウィルスが世間を騒つかせるようになる。


まだまだコロナっていうものが何なのか何もよくわからず、日々報道される感染者数に一喜一憂する



手洗いうがいをすればいいのか
そもそも日頃から体調管理というものには徹底してきたし、職業柄手洗いうがいは当たり前、マスクもすることが多い


稽古も滞りなく進むと同時に、世間の演劇というものに対する風当たりが強くなりつつあるのを感じた



稲荷崎のメンバーや烏野のメンバーと仲良くなっていくのも感じるし、今までの作品の中でも見てるこっちがしんどくなるような運動量


カンパニー全員で必死になって作り上げた作品
梟谷の3人として、これまでの作品の中でも一番見せ方とかを考えた時間でもあった
3人しか、いないから



稽古終盤で赤木役のリクが怪我をしてしまって、急遽アンダーとして入ってくれていたタクちゃんが代役として出演することになった



怪我は、怖い



はじまりの巨人で身近で怪我の怖さを体感してるから余計




そこからさらにカンパニーとして団結を強めた
身近に迫る初日を迎えるために




世間では、


公演中止


という文字をよく目にするようになり、決して人ごとではないその文字にいつまでも怯えながら初日を迎えることになった



東京公演の初日を迎えられたのは本当に奇跡だったと思う


政府の対応のちょうど抜け目の土日

カンパニーで初日を迎えられた喜びで溢れかえった



そしてそこから始まる地方公演も、できるんじゃないか

そんな期待が大きく膨らんで希望しかない


そんな面持ちでいられたのは一瞬だった



緊急事態宣言の発令



最強の挑戦者 公演中止




悔しくて悔しくて悔しくて悔しくて



たったの4公演でも作品としてドンドン進化していく兆しが見えていた


とんでもない作品に進化していったであろう




でも、ハイキューは下を向いちゃいけない
バレーボールは上を向くスポーツだから






カンパニー全員、みんな上を向いて未来を向く決意をした






そして次が、頂の景色・2

今回も梟谷からは3人
そして今回で演劇ハイキューシリーズの最終章だという話もされた

最後

そうか、そうだよな


ラバと拓海と最後に携われるのはめちゃくちゃ嬉しい

ただ、最後は正直チームメンバーみんなで臨みたいと思ってもいた
そして、一緒に卒業したかった




ゴミ捨て場の決戦を経たハイキューのカンパニーは、ひと回りもふた回りも大きく強く逞しくなっていたのを感じた


コロナ禍で途中公演中止が出てはしまったものの、千秋楽をちゃんと迎えられた

それは間違いなく大きな自信になっていて


とても頼もしかった。



コロナ禍で対策というものが少しずつ確立されてきて、一年前にはわからなかったことも段々とわかるようになってきて


稽古の形態も変えて


正直最初は戸惑うことも多かった。

梟谷の3人も稽古に呼ばれる日と呼ばれない日があったり


呼ばれた日には最高のパフォーマンスをする

より瞬発力と器用さも必要になる




そして新しく仲間に加わった優作

梟谷と狢坂を4人で描く



稽古に呼ばれない日も電話チャットしたりしてめちゃくちゃ話し合ったり


ヨシナリの力も借りて、お互いに試合で戦いあっている感覚



そしてようやく出来上がった今作



東京の初日公演


コロナ禍で不安の中劇場に足を運んでくださった沢山のお客様の気持ちに、想いに、感動した


そして同時に、またさらに演劇ハイキューの歴史に、ちゃんと幕を下ろすことが出来ることに改めて感謝した



そこから地方公演が始まった



徹底した感染対策


公演時間の変更


今までのハイキューではなかったイレギュラーさ


でも変わらず、芯になってる演劇ハイキューの魂はブレない



今まで繋がってきたハイキューへの魂を胸に、今日も赤葦京治として舞台に生きる



そうしてなんとかやってきた地方公演



本当に奇跡的なことだったと思う
20公演誰一人欠けずにやってこれたこと





そして決まった

公演中止

昨日のことです



正直、まだ全く実感していないし

今すぐにでも公演したいし


そして何より、ちゃんとご挨拶をしたい。


演劇ハイキューで得たものは本当に数えきれなくて


本当に数えきれないくらいの素敵な景色を見られて


応援してくださる皆様に会えて


そして、一生離したくないと思える仲間ができて



感謝してもしきれないくらいのモノを頂いた演劇ハイキュー



本当に本当に、心から感謝しています。



そして、演劇ハイキューをずっと支え、応援し、見守ってくださった皆様



本当にありがとうございました。




赤葦京治として舞台で生きたのは97公演。



97回も舞台上から皆様にお逢いできた。




僕は本当に幸せ者です。




演劇ハイキュー!!
はいつまでも皆様の心の中にあります。

そして、いつまでも僕の中にその魂は流れています。




沢山の夢を叶えてくれてありがとう。


これから先、皆さんにも僕にも沢山の道が続いています。

またどこかでその道は交わって、ずっとずっと続いていきます。

大丈夫。







"道は作りますので"






梟谷学園高校 副主将 セッター 背番号5
   赤葦京治役   髙﨑俊吾