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物語の構成区分,要約,あらすじまとめなど

物語の簡潔な要約をしていきます。

映画「エイプリルフールズ」の感想です。

最近ではリーガルハイやデートの脚本を担当した古沢良太脚本の作品。

エイプリルフールに起こる7つの嘘の物語を描いた作品です。いわゆるグランドホテル形式の群像劇ですが,ゲーム「街」が近いです。または,三谷幸喜の「有頂天ホテル」も彷彿とさせます。

作品は4月1日になるところから,4月1日が終わって少し経つところまでのほぼ1日に起こる7つの話にまつわる人々の物語を時系列順に描いていくというもので,一部回想シーンはありますが,それぞれの話の進み方としては,時間は未来に流れるのみです。そうすると,7つもの話を混ぜているので,話がわかりにくくなるかと思いきや,そんなことはありませんでした。それぞれの話の個性が強く,各キャラクターの個性も強いため,場面が変わるとすぐにその話のことが分かるからだと思います。

各話はある程度独立して進んでいきますが,ある話の登場人物が他の話にも関わってくる,といった形で関連しており,非常に多くの登場人物がいる割には各人物の存在理由がしっかりしているのも大したもの。

さらに,10分に1回程度は笑えるシーンが入ってきます。これも,時系列順にいろいろな話を混ぜているにもかかわらず,飽きないように構成できていて良かったです。

他方,賛否ありそうな点としては,殴ったり,実弾を発射したりとコメディーの域を超えて暴力シーンが多く,性描写も多い点,上記でそれぞれの話が関わり合うと書いていますが,42年ぶりの生還の話と,宇宙人の話は他の話との関連性が非常に薄く,大学生2人の話も話が短い点などがあります。
ニッカの創業者夫婦をモデルにした朝の連続テレビ小説「マッサン」の最終回後感想です。

外国人女性が主人公ということ,NHKにも関わらず実在の企業をモデルにしているということが注目を浴びた作品。主演のシャーロットさんはぎこちないところもありますが方言も含め微妙な日本語を感情豊かに表現し,表情,歌声などもしっかりしていました。日本への慣れが少ないらしいということも,作品中のキャラクターと似ていて感情移入を高めます。

前半の大阪編では,主人公のマッサンはウイスキーへの情熱は語り続けるものの,単なる頑固者で,いろいろ言い訳して働かないという感じで,残念でした。ここは堤真一演じるサントリーをモデルとした会社側の方がはるかに魅力的で,それで話がなんとか持っていた感じです。情熱を語るウイスキーづくりについても,工場建設の部分はあっという間に終わってしまうなど,苦労が伝わってきません。仕事のことよりも,主人公夫婦の人間ドラマ,特にエリーの苦労を描きたかったのでしょうか。

後半の北海道余市編になると,マッサンは突然いい人のようになり,ウイスキーづくりの苦労話も出てきます。ここにきて,成長したマッサンとエリーの養女エマや,兄貴分の敏兄などの周囲の人物の恋物語にもスポットライトが当たります。ロケの都合なのか,スコットランドを舞台とした物語はほとんどなかったため,主人公夫婦は物語開始時に結婚していましたので,脇役の恋物語をもって代替したように感じます。

終盤になってくると,エリーは戦争のため目をつけられているということで,それに悩む姿はあるものの,存在感は非常に弱くなってきます。最終回では,ウイスキーのことはわからなかったと告白しているとおり,ウイスキーづくりが本格化してくると活躍のしどころが難しいのでしょうね。最終週になってくると,脇役の将来がおおむね固まり,それほど山場もないままエリーは天寿を迎えました。

前半はエリーの頑張りが伝わってくるもののそれ以上にマッサンにイライラさせられ,後半になるとマッサンもエリーも平凡になって,尻すぼみ的に終わりを迎えた作品でした。
2015年冬ドラマ「デート~恋とはどんなものかしら~」最終回後感想です。

高等遊民を名乗るニートの長谷川博己と人の気持ちのわからないアスペルガー症候群的な杏という2人の恋愛不適合者が,恋愛ではなく計算により結婚しようとする月9には似合わないようなラブロマンス。古沢良太脚本。

毎回,オープニングにその回の山場となるシーンを突然見せた後,時系列をさかのぼってその山場に至った経緯を描いていくという特徴的な構成。

初回において,杏さんはアヒル口上目づかいというモテテクニックを実践してみるものの非常に気持ち悪い表情になるなど,恋愛ものの定番の逆を行く展開が非常に面白いです。1話終盤,恋愛の価値を訴える恋敵役中島裕翔と,恋愛無価値で意気投合する長谷川及び杏,それに巻き込まれる船長という4人の会話劇は非常にテンポが良いです。

2話において,早くもプロポーズという急展開になりますが,ここでも恋敵役の中島の登場により筋書きがずれながら必死に合わせようとする流れでの長谷川らによるフラッシュモブプロポーズ,その後の男が働かなくて何が悪いという迫真の訴えも素晴らしい見所です。その後このフラッシュモブシーンは完全版がyoutubeに公式アップロードされていますが,こちらも恋敵役国仲涼子のぎこちないダンスなど見応えあり。

その後はやや普通のラブロマンス的な展開が多くなってきますが,脚本のキレは見事です。年越しイベントでは年越しキスができるとのことで,主人公カップルがキスするのかと思いきや,両恋敵が乱入してそれぞれファーストキスへ。

そこからドロドロの4角関係に突入するのかと思いきや次の話ではキスのことは忘れられたかのように話は進み,主人公カップルは結婚に向けて話が進んでいきます。ところがやはり杏は恋したいはずだということで別れ,互いに恋敵役とカップルが成立。

最終回には,とはいえ主人公たちこそがお似合いのカップルだということで恋敵たちには出て行かれ,二人はりんごを食べ合い初めてのキスへ。ここの描写は非常に艶めかしいです。そして,二人は,実は過去にも出会っていて魅かれあっていたという王道エピソードも挟まり,1話を彷彿とさせつつも成長した二人の様子も描かれてきれいに終わりを迎えます。スペシャルバージョンなどの続編も作りやすそうですし,是非作ってほしい良い作品でした。
2015年冬ドラマ「残念な夫。」最終回後感想です。

玉木宏と倉科カナのカップルの子育てもので,他にも高校生の進路に悩む家族,夫の束縛や暴力に悩む家族という2家族も並列的に話が進んで行きました。

前半は玉木宏が残念な展開で喧嘩になるものの終盤に思い直してう仲直りするもののやっぱり残念な点は残る,というコメディ展開が1話完結型で続きます。とはいえ残念というほど残念といえるか疑問であり,むしろ倉科カナの方が自分もミスしているにもかかわらず玉木宏に責任を押し付けてヒステリックに起こっている感が強かったです。とはいえコメディ路線なのでそれもまたギャグかと思えば気にならない程度。

中盤,玉木宏ともうひと家族の妻が大学時代の元恋人だったということが明らかとなり,3家族がそろった状態で気まずいパーティーが開催されるというところは,いい感じに緊張感が出て面白かったです。

その元彼女との浮気を疑われるコメディ展開になるのかと思いきや,そちらは夫からの暴力に悩んであっさり倉科カナが協力することに。ところが,玉木宏の職場の同僚バツイチ女性が,既婚者でも構わないと言って過剰なアプローチをして浮気の疑いのある写真を撮影してきて,夫婦は深刻な危機へ。終盤3話は,間に1週の休みも挟み,コメディ展開は影をひそめて妻の実家帰り,別居,離婚調停,離婚届へのサインへと進んでいきます。倉科カナは,子どものためを思えば玉木との同居はあり得ない,子どもが希望するまで父とは面会させない,慰謝料養育費はいらないなどと言っていますが,自分の今後の生活も決まっていないにもかかわらず,そんなことではとてもまともな子育てができるとは思えません。子供のためと言いながら,自分勝手な妻としか思えませんでした。

倉科カナも,他の家族や自分の父,玉木の母などからの説得,玉木が最近は家族のことを思って変わった様子などを見て,離婚を思いとどまる感はありますが,だからと言って積極的な行動をとるわけではなく,玉木からのアプローチを受けて元鞘に戻るのみ。散々周囲を巻き込んで大事にしたのだから,反省もしてほしいものですが。

また,浮気疑惑をもたらした女性についても,エピローグで浮気は潔白だったという話はあるのと,表向きはヘッドハンティングで会社を辞めたと言うが,本当にヘッドハンティングがあったのか単に居づらくなって辞めただけなのか分らないようになっていましたが,迷惑をかけた割には結末はあっさり。

その他の2家族もそれなりに円満に収まるというもので,1カ月かけて大がかりな鬱展開をしてきた割には,最終回は実につまらない終わり方でした。
2015年冬ドラマ「流星ワゴン」最終回後の感想です。

重松清原作,西島秀俊と香川照之のW主演作品。

リストラされ,子どもは中学受験に失敗後引きこもって家庭内暴力をし,妻は突然家を出ていきしばらくしたら離婚届が送られてくるという絶望的状況で,死んでもいいと思った主人公のところにワゴン車が来て,それに乗ると過去にさかのぼるという展開。奇しくも前クールに「素敵な選TAXI」という車に乗って過去に戻ってやり直す作品がありましたが,あちらが1話完結型,コメディ全開,チープなのに対し,こちらは最後まで途切れることのない人間ドラマ主体の本格的作品でした。

単に主人公が過去に戻るだけではなく,確執のある父親が若い姿で現れて一緒に行動し,主人公は成長していきます。そして妻や子供が抱える悩みが徐々に明らかになるにつれ,主人公は自分と父との過去も振り返り,嫌っていた父の行動にもいろいろと理由があったことに気づいていきました。

しかし,過去での行動をやり直すことにより未来が変わるかというと,そういうことはなく,次の時系列に進むと再び状況は元に戻っています。ここは,似たような重い展開が何回も見せられるため,くどく感じた点です。子供に対するいじめっ子グループのいじめと,借金を積み重ねる妻ですね。この2つの問題は,最終的に問題の克服はしているものの,これまで何度も悪いイメージを積み重ねてきた割にはあっさりとした印象がぬぐえません。

中盤には,ワゴンの乗員である親子にスポットが当たりますが,これは尺を稼ぐための引き延ばした部分だったのでしょうか。この部分は綺麗にまとまっています。

終盤は,主人公が親のような行動で主人公の妻子と向き合った場合と,自分なりの方法で妻子と向き合った場合の2通りの選択肢をとった場合のIFストーリーが提示されます。そして,最後に主人公は最悪な世界でも生きていきたいと宣言し,ワゴンの旅は終わって現在に戻ります。主人公が死ぬ間際の父に会うと,父もワゴンで旅をしてきた記憶があることが示して親子の和解が成立し,親は安らかに息を引き取ります。未来を知って過去をやり直すわけではなく,過去を知って未来に向けて努力するという主人公の成長が見事に描かれていました。妻との子ともうまくいきそうな気配が示されてエンド。

上記感想には出てきていませんが,本作の最大の見所は主人公の父を演じる香川照之の熱演ですね。やくざ風の凄みを利かせた演技も,気のいいおっちゃんの演技も素晴らしい。

他方,妻については,妻が主人公に対し息が詰まる思いであったということ自体は理解できるにしても,だからと言ってパチンコに競馬にとギャンブルにのめり込み,家の蓄えを使い切り,さらには闇金から500万の借金を作ったにも関わらず,それを悪びれる様子はほとんどなく,主人公のせいでこんなことになったのだと開き直っています。なぜこのような人とやり直したいと思うのかさっぱり分からない状況でした。