「流星ワゴン」最終回後感想(ネタばれあり) | 物語の構成区分,要約,あらすじまとめなど

物語の構成区分,要約,あらすじまとめなど

物語の簡潔な要約をしていきます。

2015年冬ドラマ「流星ワゴン」最終回後の感想です。

重松清原作,西島秀俊と香川照之のW主演作品。

リストラされ,子どもは中学受験に失敗後引きこもって家庭内暴力をし,妻は突然家を出ていきしばらくしたら離婚届が送られてくるという絶望的状況で,死んでもいいと思った主人公のところにワゴン車が来て,それに乗ると過去にさかのぼるという展開。奇しくも前クールに「素敵な選TAXI」という車に乗って過去に戻ってやり直す作品がありましたが,あちらが1話完結型,コメディ全開,チープなのに対し,こちらは最後まで途切れることのない人間ドラマ主体の本格的作品でした。

単に主人公が過去に戻るだけではなく,確執のある父親が若い姿で現れて一緒に行動し,主人公は成長していきます。そして妻や子供が抱える悩みが徐々に明らかになるにつれ,主人公は自分と父との過去も振り返り,嫌っていた父の行動にもいろいろと理由があったことに気づいていきました。

しかし,過去での行動をやり直すことにより未来が変わるかというと,そういうことはなく,次の時系列に進むと再び状況は元に戻っています。ここは,似たような重い展開が何回も見せられるため,くどく感じた点です。子供に対するいじめっ子グループのいじめと,借金を積み重ねる妻ですね。この2つの問題は,最終的に問題の克服はしているものの,これまで何度も悪いイメージを積み重ねてきた割にはあっさりとした印象がぬぐえません。

中盤には,ワゴンの乗員である親子にスポットが当たりますが,これは尺を稼ぐための引き延ばした部分だったのでしょうか。この部分は綺麗にまとまっています。

終盤は,主人公が親のような行動で主人公の妻子と向き合った場合と,自分なりの方法で妻子と向き合った場合の2通りの選択肢をとった場合のIFストーリーが提示されます。そして,最後に主人公は最悪な世界でも生きていきたいと宣言し,ワゴンの旅は終わって現在に戻ります。主人公が死ぬ間際の父に会うと,父もワゴンで旅をしてきた記憶があることが示して親子の和解が成立し,親は安らかに息を引き取ります。未来を知って過去をやり直すわけではなく,過去を知って未来に向けて努力するという主人公の成長が見事に描かれていました。妻との子ともうまくいきそうな気配が示されてエンド。

上記感想には出てきていませんが,本作の最大の見所は主人公の父を演じる香川照之の熱演ですね。やくざ風の凄みを利かせた演技も,気のいいおっちゃんの演技も素晴らしい。

他方,妻については,妻が主人公に対し息が詰まる思いであったということ自体は理解できるにしても,だからと言ってパチンコに競馬にとギャンブルにのめり込み,家の蓄えを使い切り,さらには闇金から500万の借金を作ったにも関わらず,それを悪びれる様子はほとんどなく,主人公のせいでこんなことになったのだと開き直っています。なぜこのような人とやり直したいと思うのかさっぱり分からない状況でした。