©️松竹

 

 

楊琳、舞美りら、京都でラストステージ「レビュー in Kyoto」開幕

 

OSK日本歌劇団のトップコンビ、楊琳と舞美りらの南座ラストステージ「レビュー in Kyoto BAILA BAILA BAILA南座バージョン」(荻田浩一構成、演出)が13日、京都南座で開幕した。東京・新橋演舞場での「夏のおどり」千秋楽の811日付で退団を発表した楊・舞美コンビにとって本拠地関西でのラストステージとなる。

 

 4月に大阪松竹座で上演された「レビュー 春のおどり」の洋物レビュー「BAILA BAILA BAILA」を1時間20分にバージョンアップしたOSKならではのダンスレビュー。オープニングはOSKの当たり狂言「闇の貴公子」からインスパイアされた「安倍晴明ファンタジー」から。漆黒の闇をバックに純白と赤の衣装が映える式部たちとともに安倍晴明に扮した楊が登場、源博雅に扮した翼和希がからみ幽玄なムードはかもしだされる。

 

 構成、演出の荻田浩一は元宝塚歌劇団の演出家だったことはご存じのはず。大劇場公演のショーでは「パッサージュ」「バビロン」などの佳作があり、バウホール公演では「夜明けの天使たち」「凍てついた明日」「アルバトロス南へ」などが印象深い。2008年「ソロモンの指輪」を最後に退団して以来16年、OG公演はじめ様々な分野で活躍、今年は宝塚ホテルでの彩吹真央のディナーショー演出で久々に里帰り、OSKレビューの構成、演出にも携わり著しい成果を上げている。

 

 荻田氏の演出の特徴の一つに出演者一人一人の個性と実力を見極め、それぞれに対する丁寧な心配りがあることがあげられ、これは宝塚在団中から変わらずOSKでも生きていてトップスター楊はじめ32人の出演者一人一人の長所のみせどころが巧みで見ていて非常に心地いい温かいレビューだった。しかも32人という人数とは思えない空間の埋め方も天才的。京都という場所柄、和洋折衷の構成で、特別専科の朝香櫻子ら娘役3(舞美、白藤麗華、城月れい)が同じ振りで踊るOSK伝来の「鏡の夢」など定番をそろえながら、宝塚のレビューとは一味違った工夫で楽しませてくれる。衣装のデザインと素材にもう一工夫あればさらゴージャスさが増すだろう。

 

 先般のNHK朝のテレビ小説「ブギウギ」効果もあって初日から場内は三階席までほぼ満席の盛況。「ブギウギ」に出演してすっかり売れっ子になった歌唱力抜群の翼をメーンに「ブギウギ」のレビューシーン「胡蝶の」再現や「東京ブギウギ」「ジャングルブギ」などのブギウギメドレーもダイナミックそのもの。上り調子OSKの勢いをみせつけた。

 

 OSK100周年を牽引した楊と舞美は8の新橋演舞場公演「夏のおどり」で退団するが、彼らに続く次代を担うスターも翼のほか華月奏、椿りょう、登堂結斗、壱弥ゆうと実力派が育っており、娘役も千咲えみ以下唯城ありすら綺麗どころが溌溂と活躍、そんななかで和涼華をほうふつとさせる若手男役の知颯(ちはや)かなでのアイドル的容貌が際立っていた。

 

 楊、舞美退団後のOSKの公演としては、1121日から万博とコラボする、レビュー「Road  to 2025」を翼和希、千咲えみのコンビをメーンにクールジャパン大阪で公演することが決まっている。

 

©宝塚歌劇支局プラス715日記  薮下哲司