©️梅田芸術劇場(撮影:薮下哲司)

 

 

榛名由梨らレジェンド大集合!「ベルサイユのばら50~半世紀の軌跡~」開幕

 

 初演から50周年を迎えた宝塚史上最大のヒット作「ベルサイユのばら」のアニバーサリーイベント「ベルサイユのばら~半世紀の軌跡~」(植田紳爾監修、谷正純構成、演出)が、514日大阪・梅田芸術劇場メインホールから開幕した。初代オスカル榛名由梨はじめレジェンドが集結した一大フェスティバルの初日前に行われたゲネプロを観劇した。

 

ピンク色のカーテンに「ベルサイユのばら」と描かれた文字の前でかわいらしい小公子、小公女たちが「ごらんなさい、ごらんなさい」と歌いかけるとそこはもう砂糖菓子をくるんだ「ベルばら」の世界。幕が開くと華やかなコスチュームに身を包んだ愛月ひかる、彩凪翔がマントを翻して登場夢の饗宴のプロローグがゴージャスに繰り広げられる。

 

饗宴の進行役は初演の舞台に出演していたという未沙のえる。メルシー伯爵の扮装でまずは初演の映像の紹介から。初風諄のマリー・アントワネットなど懐かしい映像が流れたあと、初演でオスカルを演じた榛名由梨を筆頭に鳳蘭、安奈淳、麻実れいと初演シリーズのレジェンドがそれぞれの持ち歌を歌いながら集結。

 

演出の植田氏を囲んでのトークコーナーでは榛名が一人一人に話を聞き、花組編でオスカルを演じた安奈が「50年も前ってすごいこと。生きててよかった」といえばシリーズ最後の星組編でフェルゼンを演じた鳳も「私にはオスカルはでけへんしどうしようと思ってたらフェルゼン編を作って頂けて」と感謝の弁。「ベルばら四天王」の一人、汀夏子は欠席したが榛名が「ジュンちゃん(汀の愛称)に電話したら声は元気だったけれど、体調が完全ではないというの。格好のいいところばかり見せてきたからファンの人の前で不細工なところ見せられへん。ファンの人の夢を壊したくないからって。ファンを大事にしてきたジュンちゃんらしいと思った」汀の近況を報告。当時、汀の相手役のアンドレに抜擢された麻実も「そうだったんですね」と納得、自身は「初めての大役で無我夢中だった」と振り返った。

 

榛名は「月、花、雪、星とつないでバトンタッチしていって。オリンピックで金メダルを取った。そんな感覚でした」と当時のヒットぶりを表現した

 

続いて「平成のベルばら」メンバー、日向薫、紫苑ゆう、安寿ミラ、涼風真世、一路真輝、麻路さき、湖月わたるが登場、それぞれの持ち歌を披露した後、賑やかにトーク。ニューヨーク公演から帰って二日目にオスカルを演じたという安寿は「緊張で足が震えた」と今だから話せる裏話などで盛り上がった。

 

続いて衣装を着けてのダイジェストシーン、この日は元宙組トップの和央ようかがフェルゼン、凰稀かなめがオスカルにふんし上演。アンドレが緒月遠麻、アントワネットが星奈優里、アランが彩凪、ジェロデルが愛月という配役。退団してすぐの彩凪や愛月はまだしも和央など20年近くになるが、いますぐにでも宝塚大劇場にたってもおかしくないほどのかっこよさ。

 

衛兵隊員たちやバスティーユの市民たちに扮したアンサンブルメンバーも含めて全員がタカラヅカマジックでタイムスリップしたかのような舞台が実現した。フィナーレナンバーも充実、安寿の「小雨降る径」や凰稀の「バラのタンゴ」の再現などファンならずとも垂涎の場面が連続、この日は龍真咲がフィナーレだけに出演した。

 

最後に「ベルばら」50年の歴史の中で亡くなった順みつきや大浦みずきらのスターやスタッフを偲ぶコーナーが設けられ涼風が献歌、和央が羽山紀代美さん振付の黒燕尾の群舞でセンターを務め、先人たちにオマージュを捧げた。休憩をはさんでたっぷり3時間。「ベルばら」ならではの二度と見られぬ豪華なイベントだった。大阪公演は19日まで日替わりで出演者が変わる。引き続き東京、名古屋でも上演される。

 

©️宝塚歌劇支局プラス 5月15日 薮下哲司 記