10月16日(日)、帝国劇場公演「エリザベート」ソワレを観劇しました。

座席は1階11列かなり上手よりの席で、舞台まで近かったです。

 

全体の感想はこちら↓

 

 

私が観た日のキャストです。

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キャスト(敬称略)

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エリザベート 花總まり

トート    古川雄大
フランツ 佐藤隆紀
ルドルフ 甲斐翔真
ゾフィー 涼風真世
ルキーニ 黒羽麻璃央
少年ルドルフ 三木治人
ルドヴィカ/マダム・ヴォルフ 未来優希
リヒテンシュタイン 秋園美緒

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全体の感想で書き忘れていましたが、観終わった後、初めて私的に宝塚を含めて今まで観劇した中で一番良かった、と感じた舞台でした。

 

 

では、キャスト別の感想です。

ここからはネタバレしますのでご注意ください。

 

 

 

・エリザベート:花總まり(お花さま)

 

とにかく圧巻のシシィでした。

少女のころは素直で活発な可愛い少女だし(それもすごい。本当に少女に見える)、結婚してから、「皇后は気づき始めた、その美貌が武器になると~」のあたりから本当にどんどん大人の美しさになって、ゾフィーとの戦いに勝ち、でもとても人間的に身勝手な部分もきちんと見せながら(ルドルフを取り返したのにほおっておくみたいなところ)、自由を求める自分を曲げられずに苦悩して孤独になっていく2幕の様は目が離せなかったです。

自由を求め続けたシシィに酔いしれた3時間でした。

 

1幕での結婚直後の失望とそこからの決意を表す「私だけに」は鳥肌が立ちました。

もうその段階でお花様のシシィにのめりこんで観ていた私は、「私だけに」の「細いロープたぐって上るの スリルに耐えて世界見下ろす」の歌詞が、最後の昇天(帝劇版は昇天じゃないけれど)に繋がってると初めて感じたのでした。
もうその時からシシィは自由を選び孤独を選び死を選ぼうとしていたのかな、と感じたのでした。
そう思うと、なぜだか涙が流れました。
 
お花さまの目は3時間の間、幾度となく涙でキラキラと輝いていてとても美しく、可愛い表情も、失望も、憎しみも、孤独も、苦悩も、どの表情も生き生きとしていました。
本当に凄い役者さんであると同時に、何をしても品があってお姫様だし皇后に見えるのです。
 
 
前回は2幕で少し幼く感じたのですが、今回は2幕も本当に素晴らしかったです。圧巻としか言いようがなかったです。
歌唱も前回観た時より一層上手くなっていたと思いますし、感情を乗せた歌声は聴きごたえがありました。
 

プログラムで「今の私だから演じることのできるエリザベート」と書かれていましたが、本当にシシィそのものだったと思います。

集大成としてふさわしい姿でしたし、これでシシィをもう演じなくなるのは本当にもったいないと心から思いました。

 

そうそう、ウェディングドレスは舞台上で黒天使たち(トートダンサーと言ったほうがいいのかな)が手伝って着替えてたり、最後に白のドレスに変わるところは舞台上で自分で上に着ていた黒のドレスを脱いでいたりして、それも新鮮でしたね。

 

・トート:  古川雄大

 

登場シーンが上からおりてきてびっくり!

トートの声は全部エコーがかかっているのですね。

最初ちょっとっそれに違和感があったのですが、慣れてくると「死」という存在を声でも表しているんだなあと思うようになりました。

古川さんのトート閣下は、ビジュアルは美青年ですがかなりの俺様トートでした。

そして人間たちを操るのを楽しんでいて、でもなぜかエリザベートだけは操れなくて、きっとそこに惹かれたのでしょうね。

トートは常にシシィとは呼ばず「エリザベート」と呼んでいるのにも初めて気づきました。

よく考えると当たり前なのでしょうけれど、今回気づいたことがいっぱいあったのでした。

 

そして、ラストは、トートとエリザベートが愛し合うのはほんの一瞬なんですね。

キスをしてこと切れてしまうエリザベート。

その一瞬のためにトートはエリザベートを追いかけたの?

そんな風にも感じました。

 

歌はもちろん安定していて柔らかで深みのある歌声でした。

「最後のダンス」は宝塚のように黒天使たちともっと踊ってほしかった、と思うのはきっと私が宝塚脳だからです。

 

ちょっと面白いなと思ったのは、寝室の場面、棺桶の場面、宝塚はすっと出てきたりセリ上がったりしますが、トート閣下が自分で登ってたところでした。
 
あとは、実はこの日ルドルフのマイクの位置がずれて声が入りにくくなった「闇が広がる」の場面で、近づいたときにさりげなくルドルフのマイクを直してあげた優しいトートがみれて、「ああ、中の人(古川さん)って本当に優しいし、ちゃんと相手を見て冷静に演じているんだなあ」と感心したのでした。
 


・フランツ:佐藤隆紀

とても深みのある素敵な歌声で、皇帝としての責務と苦悩、そしてシシィへの愛にあふれたフランツでした。

見た目がちょっとおじさん(ごめんなさい)に見えたので、最初のシシィとの出会いでは一方的にシシィを好きになったように見えましたが、それもありかな。

帝劇のフランツは「夜のボート」では宝塚ほど顎髭がなくてさっぱりしていましたね。

 

・ルキーニ 黒羽麻璃央

ルキーニがすっごくイケメンで今まで観た中で一番ルキーニっぽく感じました。

私は麻璃央さんのルキーニがこれまでで一番好きかもです。

ルキーニは本当に大活躍。

最後の凶行に至る時の狂い方も良かったですね。

で、本当のラスト、舞台上にいることに気づいてなくて(エリザベートとトートをオペラで観ていた)、全体像を見ていたかったことが残念。

次回はちゃんと観たいと思います。

 

・ゾフィー 涼風真世

涼風さんは観るたびに期待を上回ります。

ゾフィーも本当に凄かった。

歌も声量もお芝居も素晴らしいとしか言いようがありませんでした。

舞台の質を確実に上げてくれる役者さんです。

宝塚ファンとして本当に自慢できるOGさんです。

涼風さんのゾフィーを観れて良かった(^^)

 


・ルドルフ 甲斐翔真

ルドルフが美青年でした。
そしてめっちゃ汗だくで、飛び散る汗も美しかったです。
ルドルフは美青年枠なんですね。
ハンガリー独立のために戦おうとする場面(暴動なんだろうけれど)に至るまでのルドルフの心の変化を繊細に演じていました。



少年ルドルフもとっても可愛くて、小学5年生なんですね。

歌はボーイソプラノのきれいな歌声でうまかったですし、ルドルフが猫をどうやって殺したかも初めてわかりました(いや前回観てるはずなのに(^^;))

ピストルなんですね。

それで何となく腑に落ちたところがありました。

・ルドヴィカ/マダム・ヴォルフ 未来優希

未来優希さんも宝塚ファンとして自慢できるOGさんの一人ですね。
歌も迫力もお芝居も本当に凄い。
マダム・ヴォルフは下品になるぎりぎりの線で、その塩梅も好きです。
(いやそれにしても、マデレーネの貞操帯の鍵はやりすぎな感じもするけど。もちろん演出のことです)
 
 
トートダンサーたち(明日海りおちゃんの「マドモアゼル・モーツァルト」に出演してくれていた渡辺謙典さんもトートダンサーでした)もそのほか全てのキャスト、本当によくまとまっていて良い舞台でした。
 
 
そう、とにかく素晴らしい舞台でした。
身体も脳みそも活性化された舞台でした。
それは、もちろんお花さまのシシィのすばらしさが一番の要因ですが、カンパニー全体のバランスの良さもあったと思います。
役者たちのパワーバランスがとても良かった。
なので、観ていて「?」となるところがなかったんです。
本当に素敵な舞台でした。
 
 
さて、私はちゃぴ(愛希れいかちゃん)のシシィも来月観ます。
彼女は宝塚時代で演じたシシィも一心に自由を求めるシシィ像でした。
その時の感想はこちら↓

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