「“株式100分割で株価を高騰させることに成功したメリットを最大限に生かため、M&Aチャレンジャーファンドは、ライブドア株を手にすることができる株式交換期日まで待たずに、
堀江氏からライブドア株を借り受け、VLMA1号およびVLMA2号ファンドへ移したうえで、
株価が高騰したタイミングを狙って株を売却していたのである。
そして、株式交換期日にクラサワ社の株主の手に渡ったライブドアの株をM&Aチャレンジャーファンドが買い取った後に堀江氏に返却している”(ライブドア監査人の告白、P.103~P.105より引用)」

という書き込みがあったので、反論する。いかに、この「ライブドア監査人の告白」が自己弁護に終始していて、しかも不適切な時期に、守秘義務に違反して暴露本的に出されているかが分かる。私は正直、憤慨したが、この程度の男だったんだな、と思って逆にかわいそうになってしまったのだ。

そもそも、一般の人たちがライブドア株の高騰と呼んでいるものは、いわゆる権利落ち日以降の旧株市場における需給逼迫(のように見える)による高騰であろう。しかし、この時期にVLMAファンドは株式を売っていない。これは地裁に提出された証拠からも明らかである。

なぜ起こった?エッジの株価15日連続ストップ高

この記事にあるような、2003年12月25日から2004年1月20日まで15営業日連続ストップ高が、一般的にライブドア株の100分割での高騰、と呼ばれている時期であろう。しかしこの時期にはVLMAファンドはライブドア株式を売っていない。それ以前に売られていたのだ。つまりいわゆる高騰する前である。そういう意味で、上記の「ライブドア監査人の告白」の記事は間違っている。

そもそもなぜ、私からの貸し株でVLMAファンドが株式を早く売却したかったのには理由がある。それはそもそもこのスキームが株式交換ではなく現金買収を望んだ買収先の旧株主に現金を先渡しするためのものだったからだ。株式の値下がりリスクを考えて価格が安定している間に、出来るだけ早く売却をしたかったわけで、わざわざ貸し株をして早期に売却して値段を確定したわけです。
そもそも、12月末基準で、会社四季報に掲載される持ち株比率が算定されますし、貸し株をしているとその分減ってしまうので社長が売ったのではないかと疑念も抱かれます(1%は超えていないので変更報告書の提出は必要ありませんが)。なので、12/25以前に貸し株分は戻ってきているのです。
この返却分は、どうやら別の大株主から借りたようです。

100分割をしてもあがらない可能性もあるし、そもそも貸し株をしてそんな時期に売却すると堀江名義の株式が流出するわけですから、市場に悪影響を及ぼすのは間違いないでしょう。また、大量保有報告書の問題も出てくるかもしれないわけです。ですから、私所有の株式は権利落ち日前に帰ってきています。

また、そもそもクラサワ社の株主には、株式交換の発表時点で買い取り価格分の現金が渡っています。M&Aチャレンジャーファンドにはライブドアファイナンスが大部分を出資しているわけで、その現金が株式の買取に使われています。そして、株式交換後、クラサワの株主からM&Aチャレンジャーファンドに株券がわたり、その後売却されているわけです。

参考記事:ちょうどよかったので株式100分割について語ろう
     続・株式100分割について

「100分割で株価を高騰させて、売り抜ける」というのは全くのデタラメだったわけですし、「ライブドア監査人の告白」に書いてあるこの部分の、多くは事実とは全く異なるデタラメなのです。この辺は、裁判の提出証拠に出てきていることであるので、正確です。このようなデタラメな著作が世に出ていることに疑問を持ちますが、3年前のライブドア&私へのバッシングの状況を考えれば、このような著作に異議を唱えることすら、憚られるような状況であったことは間違いありません。

宮内氏ですら、「虚構」P.180で、「ファンド利用の利益の付け替え計上などは、「粉飾と断定されても仕方がない」とは思っていはいるが、「粉飾ではない」という見方だってあると思う」と記述している。
だったら争えよと思うのだが、あれだけのバッシングの中、自身の横領疑惑も抱え、検察と一戦を交えるよりは、素直に投降し執行猶予狙いで行くという戦術を取ったのだろう。「ライブドア監査人の告白」の田中慎一氏も逮捕されるのではないか、と怯えたと作中に書いてある。

はっきり言ってあの集団に「徹底抗戦」しようなどと考える、キレてる人間は私くらいなものだったのだろう。

だが、真実を明らかにし、誤解を解くために今後もブログで訴え続けていく予定です。

ライブドア監査人の告白
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虚構―堀江と私とライブドア
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皮肉な事に、田中氏は別の事件で逮捕される。また宮内氏は実刑になってしまった。改めて思うのだが、彼らも「徹底抗戦」するべきだったのではないかと。