頑張る飲食店ですら早期に債務超過の可能性も~休業要請に関わる業種の地代家賃は全額支援とすべき~ | めげない!たかちゃん日記

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藤岡たかおオフィシャルブログ

 

1.外食業界が立ち上がった

 

◎コロナウィルスの影響で多くの事業主が苦境に晒されている中で、特に自粛の影響が直撃しているのが言うまでもなく外食産業である。今、この窮状を救うべく、元タリーズコーヒージャパンの創業者である松田公太元参議院議員らが立ち上がり、名だたる外食産業経営者100名以上が地域を越えてつながり、外食産業の多くの声を背負い、必死の活動を展開している。

 

◎その動きは、生き残りをかけてテナントの賃料の支援を求めるものであり、与野党を問わず、政治を揺り動かすものとなっている。

 

◎こうした動きをみていて、各都道府県において明確な休業要請や協力依頼があるかどうかはそれぞれによって異なるが、外出自粛が求められる中でいわば「補償なしの実質的な休業要請・協力依頼」などが行われている状況で、困っている事業主・働く者がなんとか救われて欲しいと思い、私も言論メディアのアゴラさんに休業補償の試算をした原稿心折れる雇用調整助成金の原稿を掲載してもらったりし、かつて何度も政策の議論をさせて頂いた松田公太さん(ブログはこちら)と連絡をとらせて頂いた。

 

◎すると、現場の状況を熱心につぶさに教えて頂くことができ、この状況をもとに様々な試算をざっくりと出すことが可能となったことから、政府に進んで欲しい道筋をまとめてみたいと思う。

 

◎結論からいえば、外食産業の経営者は家賃の猶予という控えめな要望となっていたが、私は、この自粛の影響が直撃し、かつ、新しい生活様式なるもので更に厳しい影響が続く飲食業界には、国が全額家賃を負担すべきと思う。理由をいかに示す。

 

2.頑張る飲食店ですら早期に債務超過~新しい生活様式で更に打撃~

 

◎飲食業の実態をみると、中小企業庁の中小企業基本実態調査(平成30年度)を参考にすれば、中小法人企業の飲食店76,603店(持ち帰り・配達サービス業を除く除く)の純資産は約5,903億円であり、1店あたり約770万円である。

 

◎年間の売上高は約62,855億円となり11月あたり約683万円となる。売上総利益は約39,670億円であり11月あたり約431万円となる。

 

◎仮に、厳しい環境の下、年内の売上高が毎月従来の75%(実際はもっと厳しい)となったと仮定し、この場合は本来売上高に占める原価率は上がると思われるが、売上原価に占める仕入れ原価などが9割であることも踏まえ、あえて、年内の売上原価が毎月従来の75%と仮定すると、売上総利益は11月あたり107万円の減少となる。

 

◎コロナ以前と人件費・地代家賃・水道光熱費などの販管費が同等との支出を前提と仮定し、上記調査で経常利益が11店あたり約10万円であることに鑑みれば、毎月約97万円の赤字となる。ざっくりとした試算だが、これを前提とし、1店あたりの純資産が約770万円であることを踏まえれば、8ヶ月で債務超過に転落する。

 

◎ちなみに、3月、4月で既に打撃を受けていると、あの持続化給付金を200万円もらって、3月、4月の赤字を穴埋めできても、(雇用調整助成金が複雑すぎて人件費の助成を諦めてしまうと仮定すると、)5月起点で年内又は年明けには普通に頑張っている平均的な飲食店ですら債務超過という衝撃的な結果となる。

 

◎これが新しい生活様式により客席を減らしたり、宴会・外食自粛が続き、売上5割減と仮定すると、8月末には債務超過ということになる。

 

◎もちろん、中小企業の1/3が債務超過(中小企業庁委託調査:平成30年度財務情報に基づく中小企業の実態調査に係る委託事業最終報告書 平成313月 一般社団法人CRD協会より)という実態であり、資金繰りがもっと重要だとしても、平均的な飲食的が4ヶ月で債務超過という衝撃は大きい。

 

◎ちなみに上記調査によれば中小法人企業の飲食店の平均的な地代家賃負担はひと月458千円であるが、今朝報道された自民党の家賃補助案で仮に中小の飲食店全店に対して上限一杯の約50万円が毎月半年間補助されても、売上5割減ならば5ヶ月で債務超過となる。まして、家賃の高いところで営業している相当数のお店では補助が足りない。

 なお、同家賃補助案だと金融機関からの融資を受けることが条件のようにみえ、これだと実際には家賃補助を受けられなくなる店が相当数出てくるのではないか。こういう条件がついているのだとしたら危機の時に外した方がよい。

 

◎これ以上は細かな試算をする必要はないだろう。超弩級の厳しい経営環境である。だからこそ、地代家賃ぐらいは全額補助し、かつ、人件費の支援にかかわる心折れる複雑な雇用調整助成金は抜本的に危機モードにあらためることが必要だ。

 

3 家賃補助にいくらかかるのか

 

◎ちなみに、飲食業だけでなく、今回のいわゆる休業要請などに関わる業種に対して3月からさかのぼって年内の地代家賃を全額補助するとなると、一体いくらぐらいかかるのかもざっくりと試算してみた。

 

◎詳しい試算や財源の分析は、拙者のアゴラ掲載の原稿を参考にして頂きたいが、同様の計算方法に基づくと、約26,952億円だった。このぐらいの水準ならば十分対応可能である。政府には、飲食業はじめ、休業要請などに関わる業種の厳しい現状をよく捉えた上で、常識に囚われない大胆な支援を行うことを決断して欲しい。

 

◎この問題提起で今、苦しんでいる事業主・働く者が1社でも1人でも多く救われることを切に願う。

                                   藤岡たかお

 

注 この原稿は58日の早朝の報道までの情報を前提に書いています。試算はあくまで厳しさのイメージをつかんで頂くためのざっくりとしたものです。本ブログでいう家賃支援はあくまでコロナ終息で日常を取り戻すまでであり、まずは年内を想定した試算です。