こども医療費の無償化に賛成した理由を本会議で述べました | 西宮市議会議員・たかのしん公式ブログ

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兵庫県西宮市の若手市議、鷹野伸(たかのしん)の公式ブログ。1990年(平成2年)生まれ・35才、政党無所属、現在2期目。日々、地元・西宮を奔走しています!

本日は、9月議会に上程された議案について、討論・採決が行われる日(決算認定を除く)。
先日お伝えした通り、今回、最も高い関心を集めたのが、石井市長が前回の市長選挙で公約に掲げていた「こども医療費の無償化」でした。

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2025/8/28「医療費無償化と決算と~9月議会に向けて~」
https://ameblo.jp/takanostyle/entry-12925793779.html

とても悩ましい判断でしたが、熟議の結果、私たち会派・ぜんしんは当該議案へ賛成することとしました。
以下、本会議での意見表明をそのまま転載いたします。

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会派・ぜんしんは、「議案第387号 西宮市医療費助成条例の一部を改正する条例制定の件」ならびに後ほど採決されます「議案第392号 令和7年度西宮市一般会計補正予算(第5号)」に賛成の立場ではありますが、以下の通り、意見を申し述べます。

本件は、乳幼児等・こども医療費助成制度のうち、一部自己負担の発生している「1歳~15歳のうち所得基準額以上の世帯のこども」「16歳~18歳のこども」の通院費用を無償化するものです。今回、上程されている補正予算は令和8年1月・2月の2ヶ月分で、約1億1,800万円ですが、通年で実施するには約6億円の予算を必要とする施策です。

会派・ぜんしんは、子育て世帯の経済的負担の軽減については、積極的に推進するべきと考えています。乳幼児等・こども医療費助成制度の拡充は、会派として以前から実現を求めてきた政策でもあり、方向性には賛同しますが、今回、提案に至った経緯には、強い違和感を抱いています。本来、こうした大型の新規施策は、年度当初の予算案に盛り込み、歳入とのバランスや、他の施策との優先順位について、広範な議論が行われるべきものです。しかし、令和7年度当初予算案に本件は計上されず、年度途中の本定例会で、条例改正ならびに補正予算が提案されました。このタイミングでの提案となったことについて、市は民生常任委員会で「財政的に見通しが立つと判断できるようになった」と説明していますが、想定より状況が好転したとはいえ、令和6年度決算における実質単年度収支は、依然として赤字です。収支の改善も、地方交付税の伸びや土地の売却等に伴う一時的な収入を主たる要因とするもので、恒常的な性質のものではありません。総務常任委員会で報告された通り、現在進められている財政構造改善の取り組みで、効果額が年間6億円以上、上振れしたわけでもありません。財政構造改善のために各部署が歳出を厳しく切り詰めていることもふまえると、これだけの大型事業を実施するのにふさわしい状況が整ったとは到底言えません。

所得制限のない18歳までの医療費無償化は、令和4年の市長選挙において、石井市長が目玉政策として掲げた公約でした。客観的に見て、実施可能な財源を十分に確保できたとは言えない現状において、年度途中に補正予算を編成してまで強行しようとするのは、市長が自らの公約を実現したいから、実績としてアピールしたいから、に他なりません。令和7年度当初予算に盛り込めなかった時点で、今任期における市長の公約実現は不可能になった。それを正直に認めることが、政治家としての誠実な姿勢だったはずです。

前回の市長選挙は、石井市長が現職として2期目に挑んだ選挙です。石井市長は当然のことながら、選挙の時点で市の財政状況に精通していなければなりません。当然、医療費無償化を公約にするのなら、その財源についても確保のめどを立てておくべきでした。2期目のスタートから3年半が経過した後の提案では、財源確保のめどもないまま公約にしたと言わざるを得ません。

本件を公約として掲げて当選した市長が行うべきだったのは、行財政改革を徹底的に進め、無償化が可能となる財政基盤を確立することでした。しかし実際には、市長就任後の7年間、実質的な赤字を計上し続け、本市の財政を危機的状況に陥らせたのが石井市長です。この度の議論において、私たちが最も強く批判するのは、市民との約束を果たすための努力を軽視し、放漫な行政経営を続けてきた市長の無責任さです。そんな市長に、今後の西宮市役所を預け続けることは出来ません。

前回の市長選挙の結果をふまえるなら、医療費の無償化は市民が求めた政策であり、今回の議案を否決すれば、市民が利益を享受することができない、もしくはそのタイミングが大きく後ろ倒しされることになります。それは、市民にとって、望ましいことではありません。医療費の無償化については、過剰な受診を招く可能性も指摘されていますが、共働き世帯の多い昨今、忙しい保護者が、医療費が無償になったからといって、必要以上に何度も何度もこどもを病院に連れていくのかという疑問もあります。また、現状において、自己負担額の存在が、受診の抑制につながっている可能性も否定できません。すでに本市では1歳未満のこどもや、1歳~15歳の所得基準未満の世帯のこどもは制度の対象となっており、無償化自体の是非を議論すべきタイミングではないと考えます。子育て世帯の経済的負担の軽減は、全てのこども、全ての子育て世帯を大切にするという観点から、所得制限を設けず実施するべきものであり、本議案には賛成することとしました。

会派・ぜんしんは、長年にわたり行財政改革の必要性を強く訴え、時には市民からの反感を受けかねない取り組みも提案し、持続可能な行政運営の実現に心血を注いできました。この度の6億円の歳出増は、石井市長が残した負の遺産となりますが、私たちはその分の財源捻出も果たす役割を背負い、覚悟をもって市民のために自ら行動してまいります。以上、申し上げ、会派・ぜんしんの賛成討論とします。

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採決の結果、賛成多数で可決され、来年1月から18歳以下の医療費が完全に無償化されることとなりました。

こども医療費無償化は前回市長選挙の公約であり、民意を尊重して議案に賛成する。
しかし、無責任な行政経営により危機的な財政状況を招き、石井市政を継続させてはならない。
だから、その分の財源を生み出す役割も背負って、自ら覚悟を持って行動する。

これが、私たちの導いた結論です。
多様なご意見があろうかとは思いますが、今後の私たちの行動にご注目いただければ幸いです。


(先週、しぶや議員と北部地域のポスティングに繰り出しました)