前回までに引き続き、本日のテーマも大谷記念美術館の運営について。
市は2020年に引き起こした経営危機(→補助金増で対応)をふまえ、2021年2月に24項目の運営改善策を掲げました。
その内容は添付資料の左側に示した通り。
項目としては、必要と考えられるものが概ね網羅されていると考えています。
でも当然、改善策を掲げるだけでは意味がなくて、実際に取り組んで成果をあげることこそが重要です。
そこで私は、改善策の発表から2年経過したこのタイミングで、担当課へ進捗状況をヒアリングしました。
するとその回答は当初、「おいおいおい…」と思うものばかり。
「取り組んでいる」「検討している」といった表現のオンパレードで、数値的な結果が示された取り組みはごくわずかでした。
これらは、私の感覚では到底「進捗状況」と呼べるものではなく、こういうところでつくづく民間との違いを痛感します。
会社で「進捗状況どうなってる?」と上司や取引先に聞かれて、そんな答え方したらブチ切れられると思いますけどね…
協議段階で回答の具体化を何度も求めた結果、ようやく示されたのが資料右側の取組状況(一部、こちらで趣旨を損なわない程度に編集してます)。
これでもまだ十分とは思いませんが、愚痴はいったん横において、今回の質問はこちらの内容をベースに行いました。
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24の改善策のうち、企画展の回数や料金体系の見直し、喫茶スペースの運営形態変更などは、この2年間で一定の進捗が見られました。
一方で、今でも具体化な取り組みの見られない項目が多く存在しています。
例えば、⑥西宮ゆかりの事業の充実や、⑱入館料以外の収入事業のうち図録・関連品の販売は、以前から行われていた施策をそのまま記載しただけであり、運営改善策の策定以降に回数が増えたり、目新しい取り組みが行われたりした様子はありません。
⑦コレクション情報のデジタル化によるデータベースの充実も、2017年度からすでに実施されており、特段、2021年度以降に新たな取り組みは行われていないばかりか、アクセス件数すら把握していないとのことでした。
⑨ホームページ・SNS等の連動と情報の多言語化や、⑰友の会制度の導入は、いまだ検討中の段階で、結論に至っていません。
⑭近隣市、県などとの連携事業は、あくまで協議や情報交換を行っているにすぎず、具体的な事業には結びついていません。
㉒入館者数及び有料入館者率向上においては、「2020~2021年度にかけて前年度の10%以上の増」と肯定的な回答となっていましたが、これは2020年度の入館者数が新型コロナの影響で落ち込んでいたためであり、2019年度と比較するとむしろ減少傾向であることが明らかです。
このように一つずつの改善策を細かく見ていくと、項目を多く並べることで多様な運営改善策を進めているように見えるものの、実態が伴っているとは言えない状況です。
改善策を掲げるだけではなくて、進捗状況を正確に管理し、実際の成果に結びつけなければなりません。
そこで私は、以下の質問を行いました。
(たかの)
24項目の運営改善策について、実効性のある取り組みを早期に進めるとともに、進捗状況を定期的に公表すべきと考えますが、市の見解をお聞かせください。
(答弁要旨)
大谷美術館の安定的な運営に向けては、運営改善策として実施する取組の進捗管理が必要であると考えています。そのため、検討委員会において市と大谷美術館で協議・連携・情報交換を行い、十分意思疎通を図るとともに、運営改善策の取組状況については、定期的に市のホームページで公開するよう取り組んでまいります。
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この答弁は、進捗管理の必要性を認めた上でホームページでの公開も約束した点において、前向きに受け止めています。
今後は答弁の通りに取り組みが進むのか、厳しくチェックを続けてまいります。
質問で取り上げた事項以外にも、SNSでの発信手法や展示入替に伴う閉館期間のあり方など、検討すべき課題は多岐にわたるため、私自身も調査や提言を継続していく所存です。
こうした政策課題に引き続き取り組める環境をいただいたことに、改めて感謝ですね。
それでは大谷美術館シリーズ、次回が最終回の予定です!