大谷記念美術館の今後 | 西宮市議会議員・たかのしん公式ブログ

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兵庫県西宮市の若手市議、鷹野伸(たかのしん)の公式ブログ。1990年(平成2年)生まれ・35才、政党無所属、現在2期目。日々、地元・西宮を奔走しています!

長丁場の9月議会も本日で閉会。
決算認定を終えたこのタイミングで、私の所属する「会派・ぜんしん」は例年、市当局への予算要望(政策提案)を提出しています。
本日はその内容から、今回新しく追加した「西宮大谷記念美術館の今後」についてお伝えします。



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香櫨園にある西宮市大谷記念美術館は今年11月に開館50周年を迎えます。
1972年に市内在住の実業家、故大谷竹次郎氏から土地・建物・美術品の寄贈を受けて開館し、現在は公益財団法人西宮大谷記念美術館が運営しています。
市は毎年、財団に約1.4億円の運営補助金を支出しているほか、施設改修費についても数千万円を補助しています。

そもそも美術館や博物館は利益を目指すような事業構造じゃありませんし、公設の美術館である以上、一定の公的負担が発生するのは当然のことと思っています。
歴史的な経緯や文化的な価値を度外視して、お金がかかってるからいらん!削減や!なんて言うつもりは全くありません。
ただ、気になる点は色々とあるんですよね…

2020年度、市は大谷記念美術館に対する運営補助金を約3,000万円上積みしました。
これは、財団が資金ショートを起こしそうになったことを受けた緊急的な支援で、「人気のあった展覧会の収益を繰り越し→翌年度以降の事業に充当」という、悪く言えば自転車操業的な財政運営の脆さが露呈した形です。
まずは繰り越しに頼った運営から脱却し、単年度の資金収支を均衡させることが必要です。
当然、そのために補助金を無制限に増やしていいわけではありません(1つのラインとしては、従前の約1.4億円/年まで、という水準が考えられます)。
さらに、今後は建物が築50年以上となり、修繕・更新の費用も会計を大きく圧迫していきます。

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こうした状況をふまえ、市は2021年2月に「西宮市大谷記念美術館の運営改善について」を発表しました。
ここでは「広報の充実」「教育普及事業の拡充」「コア来館者の獲得」「収入事業の取り組み」など、24の改善策が掲げられているものの、このたびヒアリングしてみたところ、あまり具体的な進捗が見られませんでした。
悩ましいところではあるんですが、大谷の代名詞ともなっている「ボローニャ国際絵本原画展」や、数年前に人気を博した「マリメッコ展」を除いて、企画展は残念ながら「やればやるほど赤字」というものが多いもので…実施回数の見直しが急務と言えます。

また、公費を支出する上では、金額だけではなくその性質にも注目するべきです。
以前に一般質問で文化振興財団を取り上げた際にも指摘しましたが、行政が行う文化振興は、民間など他の主体では実施できない施策だからこそ、税金を投じる意味があります。
美術館の場合も、とても有名な作品を観たい!大規模な施設に行きたい!というのであれば、大阪や神戸に出かけていただけば良いのかな、と思っておりまして。
最も身近な市が運営するからこそ、地域に開かれた事業であったり、青少年が美術に触れたり、といった方向性を強化するべきです。
実際、大谷記念美術館の評価では「利用者・市民・地域との関係」が平均値を下回っており、現時点では公設美術館としての役割が不十分と言わざるを得ません。

さらに、将来的な美術館のあり方についても検討が必要でしょう。
文化振興の観点から一定の公費を投じるとしても、建替となれば億単位。
市全体で施設の総量削減に取り組んでいる中、この費用を捻出することは、決して簡単ではありません。
運営形態も、今のように公益財団法人による運営のままでよいのか。
庭園や建物の雰囲気がとても魅力的なので、そちらに主眼を置くような手法は考えられないか。
「とりあえず今なんとか運営できているからOK」ではなくて、今後の大きな方針の議論も始めるべき時期に来ています。

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今回の予算要望ではこれらの状況を指摘したうえで、

・運営改善策の確実な遂行&進捗状況の公開
・企画展の回数見直し
・市民に親しまれる参加型美術館を目指した取り組みの強化
・美術館及び財団の将来的なあり方についての抜本的な検討

等を求めました。

日頃は、「私は●●するべきだと考える!」と自分の考えを明確に打ち出すことを心がけていますが、この件(特に将来的な美術館のあり方)については、市民全体で議論していくべき課題だと考えています。
皆様のお考えを伺いたいと思っておりますので、是非お気軽にお声をお寄せくださいませ!

それでは今日はこのへんで。