最近、高齢者の権利保護の意識が高まり、
成年後見や任意後見が増えてきています。
成年後見契約は、現在ボケてしまっている人が対象で、
裁判所から成年後見人が選任され、
本人にかわって、財産管理や身上監護をしてくれます。
任意後見契約は、将来ボケたときのことを予想し、
あらかじめ後見人となってくれる人を選任し、
契約します。
契約は公正証書で行われます。
実際に本人がボケた時は、
後見人候補者が裁判所に後見開始の申し立てをして、
裁判所の決定が出ると、
後見が開始します。
これ以後は、成年後見人の仕事と同じです。
任意後見契約は、ボケていない時に契約するものであるため、
後見人候補者はかなりの信頼を得ている人物がなります。
弁護士が後見人候補者に紹介されたような場合でも、
やはり最初は本人と世間話をしながら、
人柄をお互い理解し、
「信用に足りる人物である」と判断してもらう必要があります。
ですから、任意後見契約をするには、
こういうプロセスをきっちり踏んでいくことになるので、
何度も面談し、時間をかけて行います。
現在、私も任意後見契約に向けて準備をしている案件がありますが、
時間をかけて、ゆっくりと行っています。
一方、成年後見人の場合は、
本人はすでにボケているので、
人間関係とか、信頼関係はあまり関係がありません(意思疎通が難しいケースが多いです)。
成年後見人、任意後見人にしても、
本人の財産関係一切を預かり、管理することになるため、
高い倫理感が求められます。
「本人のために何かベストか」というスタンスが基本となります。
親族間で、深刻な対立があるような場合は、
その争いに巻き込まれるようなこともあります。
しかし、あくまでも中立・公正な職務執行が必要です。
本人の親族が後見人となっているような場合、
事実上横領している場合も起こっています。
これは、後見人としてはあるまじき行動です。
業務所横領で刑事告訴される可能性もありますし、
裁判所からは事実調査の結果、
解任されることになるでしょう。