「緊張していますか?」
手術室に案内する看護師が聞いてきた。
「ぜんぜん!むしろ楽しみですらありますよ。手術が終わったら鼻がスースーに通っているかと思うとね」
若い女性の看護師に対し余裕ぶりたかったのか、うつ病から回復途中で前向きな考えだったのか、私はなぜかワクワクしていた。
手術室に到着すると、
「おー、医療ドラマではよく見ますけど実際に自分がその立場になるのは初めてですよ」
手術を行う医師以外のオペ看護師、麻酔医などが待ち受けており、名前や手術内容などの確認を行う。
手術台に横になり様々な準備を終え、ついに全身麻酔をかける段階になった。
麻酔で眠ってしまえばあとは自分としては手術が終わって鼻が治っているのみだ、と気楽に考えていた。実際に緊張はなかった。
ここで麻酔がかかり意識がなくなる。
「きくらげさん、起きてください!手術終わりましたよ!わかりますか?起きてください!」
腕だか肩だかをポンポンと叩かれながら朦朧とした私に看護師だか麻酔医だかが話しかけているが、なかなか意識がはっきりしない。
おぼろげに「ああ、手術が終わったのかなぁ」と感じたが、なかなかすっきり目覚めるまでには意識が回復しない。もう少し寝ていたい。
「ああ、寝ちゃダメダメ、起きてください!息を大きく吸ってはいて!」
全身麻酔の為、挿管チューブが口から喉に挿入されている為、そんなことを言われてもなかなかうまく呼吸ができない。
それでもなんとか意識がはっきりしてきて必死に呼吸を試みる。事前に聞いてはいたが挿管チューブは意識が戻ってから抜くのだ。
「じゃあ、挿管チューブ抜きますよー。ちょっと苦しいけど我慢してねー」
うぇぇ。。。
一瞬ではあったが喉から太いチューブが抜かれる瞬間、強烈な吐き気。
胃カメラを起きたままやった人はわかると思うが喉に指を突っ込まれたような苦しみだ。
看護師たちの会話が聞こえてくる。
「すんごい汗!びしゃびしゃだね。これじゃ術着を変えなきゃ!」
「鼻血が止まらない!あーあー、凄い垂れてくる。どうしようどうしよう!」
こんな会話が聞こえてくると、なんか異常なのかと思って焦ってくる。看護師の焦りが余計に不安にさせる。
手術をした執刀医(主治医)が
「大丈夫、大丈夫、止血の処置もしたからそのうち血は止まるよ」
さすが医師は余裕だ。医師まで焦っていたら手術が失敗したんじゃないかと余計に不安になる。
医師は言う。
「きくらげさーん。わかりますかー?全部の処置を終えて手術は成功ですからね。安心してくださいねー」
そうは言われても止まらぬ汗と鼻血。
その横になった状態のまま、病室に運ばれる。
病室に到着したら、術着を脱がされ別の病院着に着替えされられるが、鼻血が止まる気配は一向にない。
「あー、すごい鼻血!あーベッドにまで垂れちゃった!きくらげさん、ティッシュはどこ?綿球(コットンの鼻栓)はどこ?」
そんなのとりあえず病院にあるやつでなんとかしてくれよ、こっちはまだ麻酔から覚めきれなくて身動き取れないんだから、と思いながら
「スーツケースの中。。。」と答える。
「スーツケースね。あ!鍵がかかってる。開かないよぉー。どうやって開けるのかなぁ。あ、暗証番号か。。。」
「きくらげさん、スーツケースの暗証番号は?」
ティッシュと綿球の為に暗証番号まで聞いてスーツケースを開けるのか。
「7、7、7」
鼻血を吹き出しながら息も苦しい中、なんとかしゃがれ声で暗証番号を答えた。
「あー、開いた開いた、よかったー。じゃあ綿球詰めますからね!また鼻血が垂れてくるようならナースコールしてくださいね」
ティッシュと綿球でなんとか鼻血を食い止めた看護師は、とりあえずその場から去って行った。
それでも鼻血の勢いは止まらない。綿球など詰めてもすぐに真っ赤になり、綿球越しに鼻血が垂れてくる。
そのたびにナースコールを押しまくる。
自分でティッシュで拭いて綿球を詰めればいいのだが、体が自由に動かないのとパニック状態で、今自分がどんな状態なのかわからず、とにかく鼻血が垂れてくることだけはわかる。ナースコールに頼るしかなかった。
さすがに鼻血の勢いが凄いので、看護師も
「これ、先生に来てもらって診てもらった方がいいかなぁ?」
またまた不安なことを言う。
結局医師がやってきた。
「きくらげさーん。鼻血止まらないの?どのくらいの頻度で綿球変えてる?」
「そんなの5分に1回は変えてますよ」
「そうですか。でも安心してください。手術でも止血処理はしてあるんで、そのうち止まりますからね」
医師はいたって冷静だ。そうでなきゃ困るのだが。
とは言え、本当にこの鼻血は止まるのか。手術前に想像していた「鼻スースーに通る」なんてのは夢のまた夢。
通るどころか両鼻から鼻血があふれ、綿球も詰めまくっているので鼻はドン詰まり、口呼吸のみで呼吸は速くなる。
しばらくして、なんとか自分で綿球を変えられるようになった。
あらかじめ用意していた1袋の綿球がどんどん血に染まっていく。どんどん減っていく。
体は動ける状態ではないので、病院の売店に綿球を買いに行くこともできない。
せっかく回復してきたメンタルが弱ってきた。まずい兆候だ。
この夜、更に強烈な処置!をすることになる。
(つづく)
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2021年11月09日 13:41