頭痛持ちの筆者がこれまでにない痛みで脳神経外科を受診したのは5月25日。MRI検査の結果、脳内は異常なく、片頭痛と診断された。医師から片頭痛が起こるメカニズムの説明を受け、予防薬が処方された。片頭痛に予防薬があるというのは驚きだった。その効果だと思うが、受診以来片頭痛は一回も起きず気分よく過ごしている。▶5月最終週、これまでまったく感じたことのない不安、気分が沈む、やる気が起こらない…そんな気持ちに苛まれた。仕事や家庭などで原因めいたことは思い当たらない。何だ?この違和感。▶ひょっとすると?処方された片頭痛の「おくすり説明文書」を確認した。「おくすり」ではなく「くすり」でいいんじゃないの?気分が沈んで言葉へのこだわりもいまいち鈍い。そこには副作用及び注意事項として「不眠、不安、やる気が起きない、気分が沈む、イライラする等の症状が起きた時は、すぐにお知らせください」…これだ!間違いない。▶薬局には知らせないまま、痛みと副作用とを天秤にかける。何より痛みを排除したい。薬の投与を続けよう。ところが、予防薬の副作用を認識してからはそういう気分がなくなった。江戸時代からあるらしい慣用句「病は気から」。それに近い気持ちでぱっと副作用から解放された。▶かつて中島みゆきさんは「明るい顔ができるまでには クスリたくさん必要よ」と歌った(「あわせ鏡」)。筆者の今の心境はまさにそれ。頭痛のない日々、明るい顔をするには、予防薬たくさん必要よ。「あわせ鏡」はさらに「大丈夫よって言えるまでには お酒 必要よ」と続く。いや、今、筆者に酒は必要ない。大丈夫よって言うには「あわせ鏡」を口ずさみながら予防薬だけでいい。それがいまのきもち。(虹)2024.06.07-
中島みゆき/アルバム「いまのきもち」