<2024.06.06>追記

<2024.05.30>追記

<2024.05.28>起稿

 

前作『BLACK  TRAIN』から約7年ぶり、5月22日に発売された長渕剛のニューアルバム『BLOOD』

 

(初回限定盤)


昨年6月、長渕剛の「ニューアルバム、今、超特急で制作中」発言以来長らく待たされた感があったが、久しぶりにオリジナルアルバムを再生するワクワク感に浸った。

『BLOOD』、通しで15回は聴き、各曲の顔立ちがはっきり認識できた。いいアルバム。

 

(通常盤)

 

いいなと思ったのは「路上の片隅で」「ひまわりの涙」「ジャッキーレディ」「ZYZY」「ダイヤモンド」「BLOOD」。とくに「ジャッキーレディ」と「ZYZY」は素晴らしい。

「ジャッキーレディ」は長年、コーラスとして長渕剛の楽曲とライブに携わってきた盟友・高橋ジャッキー香代子さんを歌っている。ジャッキーさんは2013年の8月、舌癌のため死去された。

 

この曲がとにかくいい。長渕剛とジャッキーさんの音楽的相思相愛、ベストパートナーだった様子が伝わってくる。ジャッキーさんを追悼する長渕剛らしいこういう歌詞だからこそ、疾走感溢れるメロディと音作りがよく合っている。

「ZYZY」も長渕剛の長男が生まれた時から歌詞を書き起こし、長渕剛の両親をも思い、孫を愛おしむ。詩人的な面を発揮した長渕剛らしい見事な表現で長渕家4代を歌っている。嬉しさを歌に託し、長渕剛の笑顔がこぼれ孫と遊ぶ情景がよく伝わる。

また、「ダイヤモンド」と「BLOOD」が入っていなければこのアルバムは成立していないだろう。

 

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(TOWER RECORD新宿店/5月24日筆者撮影)


売上は、店頭に並ぶ発売日前日の21日から26日までのオリコンデイリーランキングで2位→2位→5位→6位→5位→7位。推定売上枚数は確認できた限りで13,000枚を超えていた。

 

発売日を含む6月3日付(2024年05月20日~2024年05月26日)の同週間ランキングでは第4位(推定売上枚数16,455枚)

 



第2週のランキングは第12位。推定売上売数3,320枚。2週合計で推定19,775枚。現在では20,000枚は超えているでしょう。

サブスク、YouTubeでも発売日に一斉配信していたので、発売初週での16,000超、第2週合わせて約20,000はじゅうぶんな売上だと思っている。

 

また、オリコン週間合算ランキングは、換算売上ポイント:17,426ポイントで第4位

 

さらに、Billboard JAPANダウンロード・アルバム・チャート“Download Albums”では729DLで第5位。ちなみに1位はRM「Right Place, Wrong Person」で1,634DL。

 

5月22日夜、『BLOOD』の発売を記念してTOWERRECORD渋谷店で300人規模のライブを行った。その模様が日テレNEWSカルチャーで公開されていた(以下)。

 

映像はトータルで10分36秒、『黒いマントと真っ赤なリンゴ』『かましたれ!』『とんぼ』、そしてアルバムタイトル曲の『BLOOD』、さらにアンコールで『乾杯』を歌っている。

 

 

 



『BLOOD』に収録されている幾つかの楽曲について、長渕剛への2つのインタビュー―①「長渕剛 挑戦と覚悟」(音楽ナタリー)🔗②「長渕剛が真摯に語る」(Rolling Stone)🔗―から、長渕剛の楽曲に対する思いを拾い上げつつ、紹介する。



<アルバム全体について>
 今度リリースされるアルバムは「BLOOD」、つまり“血”を題材にしています。血は傷付いて出てくるものであると同時に、温かいものでもある。
 バンドメンバーと話し合いつつ、スタジオでセッションしながら作った曲が多いです。今ではPCを使って宅録することもできますけど、それだとなかなかいいものが生まれなくて。バンド体制だからこそ作れるものを追求しました。



◆「路上の片隅で」(1曲目)
 貫いてると言えるような格好良いもんじゃないかもしれない。単純に我慢できない(笑)。「もう我慢できない、ギター持ってこい!」と。限界までは我慢しているんですよ。でも、もう無理だと思ったらギターを持つしかない。あと、今回の「路上の片隅で」で書いていることは「僕も君もおまえもそう思っているよね?」という前提ですね。それがコンサートという集合体になったときに炸裂するといいなと思いながら作りました。

 

 

 

◆「ジャッキーレディ」(3曲目)
 何年も前からできていた楽曲で、やっと発表することができました。サウンドは古い自分を打ち壊したくて、新しい要素をどんどん取り入れたけど、それでも「自分らしさは残るんだな」と思いましたね。いくつかアレンジのパターンを考えてレコーディングし、そこから選びました。

 

 

 

◆黒いマントと真っ赤なリンゴ(4曲目)
~ミュージックビデオを制作することを前提にして書き上げた楽曲~
 テーマは“自由”で、「俺たちは自由になれる」というイメージを映像に落とし込みました。映像を作る場合、ある程度構成を固めてから撮影に挑むけど、このMVは場所だけを用意し、思いのままに動いて自由を表現しています。

 



◆ZYZY(7曲目)
 やっぱり、自分の子が一番になりますね。「やめてくれよ」「その愛が疎ましいんだよ」と思われそうだけど、僕も親から愛情をもらったときは気恥ずかしかったからよくわかる。だから「ZYZY」は子供に対する大きな愛の贈り物で、「お前の親父はこういうことを考えていたんだよ」と残しておきたかった。奥さんに対しても「どうか息子をよろしくお願いします」という気持ちで、この歌を贈りました。

 そのふたり(長渕剛の長男夫妻)の最初の子は死産だったんです。家族みんなで弔いました。泣きました。その悲しみを乗り越えて、やっと生まれた健康児がLaLa(ララ)だったんです。女の子。そこで「三つ目の涙を流してる」という歌詞にある通り、僕は泣いたんです。何が言いたいかと言うと、親はみんなそうだと思うんですけど、あのときのあの赤子がひとつの家庭をつくったと。これが何物にも代え難い喜びであり、何物にも代え難い……寂しさなんですよ。そこには表裏があるんですね。そういう想いがあって、やっぱりLaLaを抱きしめたときは「WATARU」と息子の名前を心の中で呼んだんです。そのことをWATARUに残しておきたかった。だから歌にしたんです。

 

 


◆「ダイヤモンド」(9曲目)
 少年の頃の思い出を歌った曲で、「川伝いに歩いていったら海があった」というストーリーを軸に、小学生時代の出来事を紡いでいます。最初はライブと近いアレンジで仕上げたんだけど、アルバムが完成する1日前に「ごめん! もう1回録り直そう」と仕切り直しちゃったんです。
 「ダイヤモンド」はアルバムの終盤に収められるのですが、アルバム全体を通して聴いてみると、当初の暗いアレンジでは救われないまま終わってしまう気がして。だから哀愁ある夕焼けの情景を口笛を吹きながら歌い、「負けない 負けない」というメッセージをもっと軽快にしたかった。そこでレゲエ調にアレンジしたことで、全体のバランスも整いました。

 

 


◆「BLOOD」(10曲目)
 確かに、人生の振り返りや、自分の生き方を自己確認する問いでもあるかもしれない。この曲は「血は温かいもの」だと示していて、愛を感じて体中の血が騒いでいることを歌っています。人間そのものは優しい生き物なんだよ!って問いたかったんです。
 僕の中では、何かしら“血”というテーマで歌をつくりたい。その想いがすごく強くなっていたんですよね。で、これがいちばん新しい歌なんですよ。アルバムの情報をリリースする手前で、早急にアレンジして組み立てた楽曲なんです。そこで僕は何を歌いたかったのかと言うと、青年時代に「何の為に、誰の為に生きるか」と問い続けたのと同じように、今は「何の為に、誰の為に死ぬのか」ということの大義を必要としているんだと思うんですよね。それは……言葉を恐れずに言うと、みんなの心の中に実はその大義はあって「俺が! 私が!」という我欲だけではなく、誰しもが「誰かの為に生きたい」とか「誰かの為に命を捧げたい」という想いを持っているんですよ。

 

 

 
<生み出す楽曲について>
 長年ライブをやっていくうちに「歌は自分のものだけじゃない」と気付いて。昔作った曲がさまざまな人の心を渡り歩き、僕のもとに戻ってきます。するとさまざまな人たちの思い出と紐付き、ダイヤモンドのような輝きを放つようになる。そこで「歌は聴く人のもの」であると知ったんです。
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新曲、オリジナルアルバムを出してこそ待っているファンの喜びは増す。必然的にそれとタイアップしてのライブが楽しみになるもの。10月の有明アリーナ。このアルバムからどの曲を、何曲歌ってくれるか、どんなパフォーマンスを披露してくれるか、今から楽しみにしている。