<2024.04.14起稿>

 

注意展開中のツアー内容に関する詳細記載あり注意

 

 

松山千春コンサート・ツアー2024「友よ」

 

 

 

ツアー2公演目の福生市民会館(東京都)に参加したので、その所感(レポート的なもの)を。

 

まずはセットリストは以下のとおり。

 

(一部)
01.男と女
02.あたい
03.銀の雨
04.Sing a Song
05.祈り
06.愛した日々

(二部)
07.オホーツク
08.決意
09.兵士の詩
10.山の向こう
11.物語
12.です。
13.友よ
(アンコール1)
14.長い夜
15.人生の空から
16.今日は終らない
17.大空と大地の中で
(アンコール2)
18.明日のために

 

 

16時ちょっと前、福生市民会館に到着したら、ツアートラックが置いてある付近にほとんど女性ばかり30人ほどが松山千春を入り待ちしていた。

 

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まぁ、せっかく早く着いたので…私と、一緒に行った方の二人もその列の一番端に並んだ。その約5分後、窓を開けた車が走ってきて、後部座席?に松山千春がいるのがすぐに分かった。濃紺?のマスクを着用していた。

 

路上のため「千春~!」とは叫ばず、二人で普段以上の少々大げさと自覚した笑顔で大きく手を振ったら、松山千春もそれに応えて手を振ってくれた。

 

これは嬉しかった。40年以上コンサートに通い続けて来て初めて入り待ち的なことをしたが、ステージ以外で松山千春と会うのは嬉しいものだなと思った。

 

松山千春が通り過ぎた後、隣にいた見ず知らずのご婦人、私よりもはるかに人生の年輪を重ねておられるであろうご婦人が私に向かって「よかったわね!!今夜は楽しみましょうね!」と明るくもの凄い勢いで言われた。

 

その勢いに押されて、私も間髪入れずに「はい!!」と大きな声で応えてしまった。”俺、こういう反応するタイプじゃなんだけどなぁ…”などと考えることなく、人生の年季が入った女性千春ファンのパワーってすげぇな!と単純に思った。

 

幸先のいいスタートだった。

 

 

会場に入り、初めてお会いする矢沢永吉さん熱烈ファンのご夫妻を含めて二組、4名の方々にロビーでご挨拶し、しばし立ち話を。有り難く嬉しい出会いだった。今後も繋がっていけるといい。

 

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18時30分、オンタイム開演。

 

東京国際フォーラムの一階席後方や二階席と比べれば、すべてが近くて大きい。松山千春本人やバックバンドメンバー、ステージ後方に表示される歌詞の文字も国際フォーラムの10倍ぐらい大きく見える。

 

久しぶりに聴く「男と女」でスタート。

 

初日、4月4日の鎌倉公演の1曲目がむしろイレギュラーで、本来は「男と女」スタートなのだろう。

 

「男と女」の後のMCで福生についてふれた。その時、上に書いたご挨拶した方が、自席から福生の名物を松山千春にアピールした。そうしたら松山千春が「何??待て、待て、今、仕事中」と返して、会場は爆笑だった。

 

「あたい」の後のMC

 

「今、俺は68歳。3月に白内障(右目)の手術をした。まだまだ歌っていくつもりだ。ここまで来るまでに毛は抜けて、歯は抜けて、爽やかさがなくなったけど、歌は若々しく歌っていきたい」(一部要旨)

 

「祈り」の前のMC

 

「男女、別れるようなことがあっても、後悔や恨みはなしで。できれば、別れた相手のことを祈れるような一人ひとりであって欲しい」(一部要旨)

 

鎌倉で歌った「物語」を歌わずに「愛した日々」で一部終了(19時18分)。

 

 

「男と女」から「愛した日々」まで第一部6曲すべて、いつも以上に歌唱が不安定だった。去年春のツアー、東京国際フォーラムの記憶が蘇って、二部以降大丈夫かな?…私の中で心配だけが残った一部だった。

 

不安定な歌唱だと聴く方もなかなか歌の世界に自分を投影しにくくなるもので、とくに「男と女」「Sing a Song」「祈り」は楽しみにしていたんだけど。

 

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二部に入って歌唱が安定してきた。二部から最後までの12曲で、私の気持ちにがっちり絡んで、よかったなぁ!と思ったのは「決意」「物語」「です。」「友よ」「人生の空から」「今日は終らない」そして「明日のために」

 

その中でも「友よ」「人生の空から」「今日は終らない」「明日のために」の4曲は文句なく、松山千春本来の高い歌唱力とパワーが発揮されていた。

 

ひとつだけ強く気になったのが…。これは甲府公演でも同じ感想を抱いたが。

 

「兵士の詩」ではさびの「マリア~マリア~♪」の部分に夏目一朗のコーラスが入っていた。とくに高く上がる最初のそれの時に、松山千春の声(音)が上がり切っていないため、音程が合っている夏目一朗の歌唱とまったくシンクロしていなかったこと。

 

「山の向こう」の後のMC

 

「この曲は歌詞に物語がある。こういうところに俺の”天才ぶり”が発揮されている(笑)。おい、これはまったくメンバーにも言ってなかったけど、恋愛の歌で、同じように歌詞に物語がある歌に『物語』という曲がある。(歌詞の内容を若干説明し)そういう内容です。『物語』」

 

と語って「物語」に入った。

 

ところが、本来一部で歌う「物語」を突然、二部のここで歌うと松山千春が言い出したものだから、松山千春が歌詞の説明をしている間にバンマスの夏目一朗が後ろでメンバーひとりひとりの所に行って何やら業務連絡を始めた。

 

ベースの高野逸馬に伝えようとした時、夏目一朗が大きく躓き転びそうになった。その絵が客席からもよく見え、躓いた音は会場に響き、笑いが起きたぐらい。

 

「物語」を歌い終えた松山千春が「これまで数多くのコンサートをやってきたけど、二部に入って一部の曲をやったのは初めてだな」と言って、会場から拍手が起きていた。

 

とは言え、それも夏目一朗(下の写真前列中央)が頑張ったこともあるでしょう。

 

 

「友よ」を歌う前のMC。語りで伝えるメッセージとしてはここがこの今ツアーのホシだろう(甲府公演では違うメッセージだったが)。松山千春の思いが伝わるいいメッセージだった。

 

「みんな何らかの障害を持って生まれてきた。みんなその障害を乗り越えて今日を生きている。これからもいくつもの障害があるだろう。でもそれを乗り越えて生きてくれ。長生きしてくれ。そして一回でも多く松山千春のコンサートに来てくれ。俺は死なないから。お前らの人生を見届けるからな。お互い、いろんな障害を乗り越えていこう」(要旨)

 

「友よ」…松山千春らしさが溢れる曲と歌唱、本当によかった。

 

 

アンコールに入って、これまでこれでもかと言うほど歌われ続け、聴き続けてきた「人生の空から」、これがまたよかった。これまでで一番深く私の中に食い込んできた「人生の空から」だった。

 

そして何といってもラストの「明日のために」

 

一時期、公演の最後の曲として頻繁に歌っていた頃があったので、歌い始めるまでは、正直、できれば違う歌が出ないかな?と思っていた。

 

聴き始めると、これがとにかく素晴らしい。聴きながら感動で涙が溢れそうになった。心を込めた歌唱、歌声と歌詞から伝わる松山千春が参加者に送ったメッセージ、気迫、パワー。私の感覚では、ここ数年の中では最高のパフォーマンスだった。

 

この一曲だけでも参加した甲斐があった。

 

重複するが、上に書いた「決意」「物語」「です。」「友よ」「人生の空から」「今日は終らない」「明日のために」―この7曲で感じた松山千春の見事な世界。

 

こういう歌唱、パフォーマンスを続けているうちは、そう簡単にファンは離れていかない―本当に久しぶりに心からそう思った。

 

「明日のために」を歌い終わって、マイクのケーブルを持って3回ほどマイクをグルグル回し、最後は大きく投げてステージを去った。福生のみなさまの温かな歓迎と応援が相当嬉しかったのだと思う。

 

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甲府でもそう感じたが、第一部を経て、第二部に入ると歌唱が安定してくる。結果的にだが、第一部がリハーサル的な要素を帯びているようにさえ思った。

 

緞帳が上がった一曲目から本調子で、本来の松山千春の歌唱力が発揮できるよう、開演前にこれまで以上に入念にリハーサルをして気持ちと喉と体を温めることが必要かもしれないと、素人目線ながら思った。

 

あとは、これも素人感覚だけど、歌うキーを2つほど下げた方がいいように思った。下げればまだまだ高い歌唱力を安定して発揮できると思う。

 

客席で聴いていて、「その部分、上り切るかな?⤴上がり切るかな?⤴…ああ、上がらなかったぁ~⤵」…この繰り返しで聴く側に気持ちのゆとりが無くなり、体までこわばるような感覚がある。

 

キーを下げないのは松山千春のプライド、意地だとじゅうぶん理解しているつもりである。ただ、何より参加者目線に立ち、参加者が気持ちの面でゆとりをもって聴けてるようキーを下げた方がいいような気がする。気持ちにゆとり(安心)があれば、松山千春の歌の世界により浸りやすくなると思う。

 

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公演開始前に松山千春に会えて、二部に入ってからの7曲、ラストの「明日のために」―後半良ければだいたいよし、終わりよければすべてよし!最初から最後までいいライブだった。

 

近くにはキャパ2,021人のJ:COMホール八王子もある(4月10日は機材点検のため貸し出していなかったが)。また、ちょっと離れるけどこれもキャパ2,027人の府中の森芸術劇場もある。

 

それでもキャパ1,062人の福生市民会館に、福生という街に足を運んで歌を届ける―素晴らしいことだと思っている。これこそ松山千春、松山千春の根本スタンスを改めて体感した。

 

ファイナルの札幌まで無事完走できるよう、各地でファンのみなさまが松山千春との心に残る出会いがありますよう。