<2024.04.02>起稿

 

事前告知より急きょ放送時間が30分押しで2024年3月28日(木)午後10:30~午後11:14に放送されたNHK MUSIC SPECIAL「中島みゆき~映像に命をふきこむ歌~」

 

 

そこで使われていた映像は何度も観たり、ライブディスクとして持っているものばかりだったが、テレビ放映用に編集された番組を観て、「地上の星」「世情」「浅い眠り」「誕生」「空と君の間に」「命の別名」など160㌔級の剛速球ばかりを投げ込んだような選曲に改めて中島みゆきの歌の力を実感した。人の心を震わせずにはおかない「中島みゆき」=「力ある歌」、心からそう思う。

 

 

「Nobody Is Right」、これも間違いなく「力ある歌」

 

オリジナルアルバム『I Love You,答えてくれ』(2007年)初収。

 

 

その後ベストアルバム「中島みゆき・21世紀ベストセレクション『前途』」(2016年)、セレクトアルバム『ここにいるよ』(2020年)の初回特典DVDに収録されている。

 

2001年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロからイラク戦争へと続く世界情勢と宗教対立などを下敷きにしていると言われている。「夜会VOL.17 2/2」のテーマにもなった「“正しさ”とは何か?」を問う作品(要旨引用:中島みゆき研究所から)

 

(「Nobody Is Right」を歌う中島みゆき)

 

「正しさ」は人の数だけ存在する。

 

「正しさ」は価値観と言える。それぞれが育った環境やそれまでに経験したこと、学んだことなどを通して培われるのだろう。

 

時に、その自分なりの「正しさ」がすべてとなり、自分だけが正しいと思い込む。

 

そうなると、目に映る人々や出来事は間違いばかりである。

 

そうなると、自分では気づかないが、その人の心は辛さやイライラ、寒さ、他者への軽蔑だけに占められる。

 

そうなると、自分だけが正しいと思い込んでいるその人の日々は無機質で空しく、温かな心の触れ合いはなくなる。それに気づかない。

 

人を攻撃したり、何か人にもの申す時の根底には、意識的であれ無意識であれ、必ず自分だけが正しいという気持ちが働いている。

 

自分だけが正しいと思い込んで、それを通そうとした時に、周囲に押し付けようとした時に、講じる手段として最低で最悪、最も野蛮なのが「暴力」であり「戦争」

より根本的な次元で言えば、この世の中で唯一”正しくないこと”は命を傷つけることであり、命を奪うこと。

 

「正しさ」は人の数だけ存在する。逆に言えば、Nobody Is Right、絶対的に正しい人は存在しない。

 

それぞれが大切にする「正しさ」、一見相容れない「正しさ」と「正しさ」を橋渡しし、互いに認め尊重し合うためには、根底に相手のことを分かろうとする気持ちが必要。そしてその手段としては「対話」、「話してみること」が唯一の方法だろう。

 

より根本的な次元で言えば、この世の中で唯一”正しいこと”は命を守り大切にすること、命を育むこと。

 

そう考えると「正しい人」は「地上の星」の数ほどいるのかもしれない。

 

中島みゆき「Nobody Is Right 」

ダイジェスト動画(2分14秒)

 

Nobody Is Right, Nobody Is Right, Nobody Is Right, Nobody Is Right
Nobody Is Right, Nobody Is Right, Nobody Is Right, Nobody Is Right
Nobody Is Right, Nobody Is Right, Nobody Is Right, Nobody Is Right
Nobody Is Right, Nobody Is Right, Nobody Is Right, Nobody Is Right

もしも私が全て正しくて とても正しくて 周りを見れば
世にある限り全てのものは 私以外は間違いばかり
もしもあなたが全て正しくて とても正しくて 周りを見れば
世にある限り全てのものは あなた以外は間違いばかり
つらいだろうね その1日は
嫌いな人しか 出会えない
寒いだろうね その1生は
軽蔑だけしか いだけない
正しさと正しさとが 相容れないのはいったい何故なんだ
Nobody Is Right, Nobody Is Right, Nobody Is Right, 正しさは
Nobody Is Right, Nobody Is Right, Nobody Is Right, 道具じゃない

悪い人などいないだなんて あいにくですが頷けません
正しい人こそいないんじゃないか カンペキ正しいってどういう人だ
争う人は正しさを説く 正しさゆえの争いを説く
その正しさは気分がいいか
正しさの勝利が気分いいんじゃないのか
つらいだろうね その1日は
嫌いな人しか 出会えない
寒いだろうね その1生は
軽蔑だけしか いだけない
正しさと正しさとが 相容れないのはいったい何故なんだ
Nobody Is Right, Nobody Is Right, Nobody Is Right, 正しさは
Nobody Is Right, Nobody Is Right, Nobody Is Right, 道具じゃない

 

 

(同 上)