国家試験に合格した長女が晴れて大学院を修了(卒業)した。その大学院は国家試験に合格するためにあると言っていい。修了式(卒業式)には家族が二人まで招待されたので妻とともに列席した。妻はメイン会場、筆者は同時中継会場。小学校1年の時からトータルで18年間の学び。とくに大学と大学院時代は寝る間も惜しんで勉強した6年間だった。長女に拍手を送った。▶筆者が大学を卒業したのは1990年。その2年前に母が亡くなった。父が卒業式に来てくれ、前日筆者のアパートに泊まった。自分の妻を亡くして2年。母亡き筆者の2年間を思ってくれたのだろう。朝起きたら机の上に父が詠んだ二首の和歌が置いてあった。一首は母の名前の漢字を入れて詠まれていた。その二首は今も大切に残しているが、父が亡くなる3年前、その二首を書道有段者の長男に短冊に書いてもらって、感謝を込めて父に贈った。▶卒業式典が終わった後、父は筆者と一緒に写真を撮りたがったが、筆者は一緒にいた友だちの手前、照れくさくてそれを拒んだ。今思えば、筆者の気持ちなどさておき、なぜ父と一緒に撮らなかったのかと後悔ばかりが先立つ。あれから34年の歳月が流れた。▶長女の修了式。学部総代や表彰で壇上に出て来る学生さんたち、会場にいる卒業生のみなさん一人ひとりにはここに辿り着くまでにいくつものドラマがあり、愛情を注いだご両親をはじめ多くの人たちの思いがぎっしり詰まっていることだろう。みんなが応援している。旅立つ卒業生のみなさんが一人ももれなく健康で、それぞれの道で大成することを。(虹)2024.03.21-

 

(ユキヤナギ/2024年3月19日筆者撮影)