<2024.02.04>起稿
松山千春は、2010年5月12日に66枚目のシングルとして「慕う」を発表した。
それはその年の10月1日に発売されたシングルコレクションアルバム『起承転結12』に収録されている。
松山千春はこの曲を五木ひろしに提供し、自身でも歌いシングルにした。アルバム『五木ひろし全曲集2011』の15曲目に収録されている。YouTubeでは「五木ひろし 慕う(唄 五木ひろし)」で検索するとヒットする。カラオケ映像ながら、歌声は五木ひろし本人。
「慕う」、ライブで強く記憶に刻まれているのは―。
2010年3月29日、閉館を迎える東京厚生年金会館としての最後のアーティスト公演を松山千春が ”ファイナリスト”として飾った。シングル発売前、この時は弾き語りで歌った。
歌い終わった後、「久しぶりでしたね。レコーディングやりながら、涙が出てくるっていうぐらいの…」と「慕う」への思いを語った。
YouTubeから挿入したその時のライブ映像。今後削除された場合はご容赦を。
コンサート・ツアーでは「ツアー2010 『慕う』」でフルバンドで歌った。私は11月18日、東京国際フォーラムに参加した。この時は1階席中盤だったと記憶するが、ライブで聴きたいと願っていたので心から嬉しく、感動したことを明確に覚えている。
2012年8月4日にはデビュー35周年記念野外ライブが、北海道十勝エコロジーパーク ピクニック広場で開催され、この時もフルバンドで歌った。
(ライブ会場の十勝EP 2022年10月1日筆者撮影)
吉幾三は名曲「ありがとうの唄」(2001年)に綴った。
人生の曲り角 涙と故郷(くに)の酒
呑みながら口ずさむ 父から聞いた唄
ありがとう星空よ ふるさと見えました
夏の夜に浮かびます 笑った母の顔
会いたいが帰らない ひとりでここで呑む
眼を閉じてここで酔う ひとりでここで泣く
「ふるさと」という言葉の中に、その響きに、父も母も、家族も、友だちも、先生も、山や川や空も、幼き日々も、すべてがある。
(松山千春のふるさと足寄/2022年9月30日筆者撮影)
慕情…「ふるさと」を慕う気持ちは、懐かしさと感謝の念に置き換わる。
ふるさとを慕えば、心の中に涼風が駆け抜けたような気持ちになる。
ふるさとを慕えば、溢れる涙とともに、あの時誓った自身の志と望みを確認できる。
ふるさとを慕えば、都会の隅で「疲れた」などと言っていられない。まだまだこれから―ふるさとの空や山々とともに、あらためての決意が湧きがある。
遠く遥かなふるさとを慕えば、私の宝である幼き日々に、懐かしさと感謝をもって合掌する。
「慕う」を聴くと、松山千春流フォークソングの源流にして真髄を確かに実感する。
花は名も無く清らかで
流れる河は美しく
遠く遥かな ふるさと慕えば
にわかに風が 駆け抜けたようで
今も志(こころ)に曇り無く
高き望みに憂い無く
好きで離れた ふるさと慕えば
あふれる涙 ただとめどなく
都会の隅に生きてます
疲れたなどと言えません
せめての願い ふるさと慕えば
おだやかな空 変わり無き山
遠く遥かな ふるさと慕えば
幼き日々は 私の宝
幼き日々は 私の宝